エニックス出版-ドラゴンクエストがあたえた影響 | テレビゲームのソムリエになりたい - yzxのつぶやき

エニックス出版-ドラゴンクエストがあたえた影響

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かつて、 とある神様 は『4コマが描ければ漫画家は描ける』とおっしゃったようなのだけど、今日は『ドラゴンクエスト・4コマ漫画劇場』の話題から。

1990年4月に初版が発行されたこの漫画、「4コマ漫画と言えば?」と言われたら、私の同世代から少し若い人なら代表作に挙げる人は少なくない。当時はドラゴンクエストに関する書籍は少なく、ユーザーがドラクエを渇望していたという側面もあり、この漫画は3巻発売時にはすでにトータル100万部の売り上げを記録していた。

しかしながら、当時のエニックス出版は多くの作家を抱えていたわけではなく、発刊にこぎつけるまでに作家陣を揃えるのに苦労していた。『お姉ちゃん、漫画描かない?』というナンパをされ、当時勤めていたリクルート社をやめて漫画を描くことになった柴田亜美先生 の有名なエピソードから、いかに編集者が作家とのツテがなかったことを端に表しているのではないだろうか。

とはいえ、彼女も「ドラゴンクエスト」を作っている会社だという事実がなければ、その声をかけてきた人の会社を信頼することはなかっただろう。この『ドラゴンクエスト』というブランド名が多くの人を惹きつけ、結果と作家を集める事に成功したのは紛れもない事実ではないだろうか。

その後、作家を集めることに成功したエニックス編集部は1991年に『月刊少年ガンガン』を発刊。ここでも『ドラクエ』というブランドを最大限に活用し、『ロトの紋章』をヒットさせることに成功する。その後、『南国少年パプワくん』『ハーメルンのバイオリン引き』『突撃!パッパラ隊』といった作品も好評となる。

もっとも、月刊少年ガンガンの成功は『毎月、全国の書店から継続して情報が発信できるようになった』ことが大きい。それは、ガンガン誌上による、エニックス漫画大賞の設置、そして『ドラゴンクエスト4コマ』の誌上募集によって『新たな作家』を『継続』して集められるようになったことである。

ドラクエ4コマは突出して応募数が多く、ここでも『ドラクエ』というブランド力は大いに発揮された。企画からたった2,3年で、漫画家を集めることに苦労していた編集部は、独自の作家を生み出すことが可能になったのである。

また、雑誌には雑誌コードが割り当てられるのだが、これは自由に取得できるものではない。書店でいう“書籍扱い”での実績がとれないと、取得できなが実情だ。しかし、この雑誌コードには、定期刊行する雑誌に加えて“増刊”を別に発行することが可能となっている。

これにより、増刊の実績次第で定期刊行が可能となるのだが、雑誌であれば『読みきりばかりを集めた漫画』でも読者側にとって受け入れやすく(要するに売りやすい)、広告を集め易く掲載しやすい点と書籍を発行する必要がないという点においては非常にコスト面で優れているため、出版社が『新たなモノに挑戦』する際のリスクを大いに減らすことができる。

そのため、この雑誌コードがあるかないかで、業績は大きく変わってくる。実際に、この雑誌コードは高値で売買され、ある意味それを多く持っている会社が出版社として体力のある強い会社と言える。

これをエニックス出版にあてはめると、初期のガンガン増刊は“フレッシュガンガン”であるが、これは後に今の“ガンガンWING”である。フレッシュガンガンの定期刊行化に成功する(雑誌コードを新たに取得する)と、次には“Gファンタジー”の定期刊行化にも成功し“ヤングガンガン”や現在の増刊である“ガンガンパワード”の定期刊行化にも成功することとなった。

中には“ギャグ王”“ステンシル”といった失敗もあったが、それらが多くの作家を輩出したのは事実であるし、ドラクエ4コマの成功は他のゲーム系4コマ、ゲーム系のアンソロジーコミックに多くの作家を輩出している点や、今は亡き(ノ∀`)『ゲーメストの新声社』がアーケードゲーム系4コマを発行した際にも、ユーザー側では受け入れられる下地ができていたことを考えると、その影響は多岐にわたる。

他にも、このエニックス出版の成功は編集者を育てること、作家を結びつける点においても非常に有用に作用されている。

かの、お家騒動があった エニックス出版部だが、『突撃!パッパラ隊』において『嫉妬マスクのモデルになった宮本君』と『工兵の杉野君』はそれぞれ、コミックブレイド(マックガーデン)、コミックゼロサムとコミックREX(ともに一迅社)を新たに創刊し、そこから“面白い漫画の発信”に成功しているからだ。

こうして、エニックス出版だけにスポットを当てて見返してみると、ドラゴンクエストが漫画業界に与えた影響は非常に大きなものがある。先週発売のファミ通(現在発売中の号ではない)では、一番最後の浜さんのコラムで漫画と日本ゲーム業界の関わりがすこし伝えられていて、それは漫画の影響あってのゲーム業界であるが、ゲーム業界から影響をうけた漫画業界といった感じで見てみるのも一つの趣として、面白いものがあるのではなかろうか。