シティは10年間で500億ドル、バンク・オブ・アメリカも200億ドルを環境へ投融資する。


対象は代替エネルギー開発、太陽光、風力、水力。。。などで出資、融資、債券引き受け、個人顧客には太陽光発電システムローンを提供する。


これまで支流でやっていた事業を本流に昇格して大掛かりに取りくむのである。CSR活動としてやるのでなく本業としてやるのが斬新である。


シティの場合10年で6兆円なので年6000億円、世界を相手と考えると少ない感じもするが、始まりとしてはまあまあの額である。


このブログの5月11日号で、ハーバード・ビジネスレビュー掲載論文のうち、昨年1位に評価されたのはポーターとクラマーの「戦略と社会」だったことを書いたが、この論文でフランスのクレティ・アグリコール(大手金融機関)が融資を環境に特化した戦略を新しく優れたものだと書いているが、同じような試みがアメリカの大手銀行でも始まる。


金融機関はこの20年買収資金やファンドに運用資金を出しマネー経済に火をつけてきたが、それが一転、社会性の強い実態経済へ事業を広げるのはいいことで歓迎である。


日本の金融機関も追随するはずである。現在は風力発電をつくるのに苦労して投資ファンドを集めてきたが、こんな苦労もなくなる。


問題は用意された資金規模の比べて社会性の強い事業開発が足りないことにある。現在は先進国の金融機関は金余りの状態なので、よいとなればいくらでも投融資規模を拡大できるので、これで社会性の強い事業開発が猛烈な勢いで進む。


昔金融機関が重化学工業をつくったり(アメリカの1910年から20年代ごろの話)、大規模なサービス業をつくったりしたが(1950年から60年代)、それと同じで今後20年ぐらいは社会性の強い事業の開発を金融機関が主導するのだろうと思う。


社会起業にとって待ち望んだ変化である。社会起業へ金融機関のいろんな支援が行われるようになるのは助かる。社会起業が画期的に進むようになると思う。