昨日、こういう名のシンポジュームが慶応の三田であり行ってきました。


ジャパン・ソサイエティ、慶応大学、国際交流基金日米センター共催イベントで、ジャパン・ソサイエティは100周年を記念し08年にかけていろんなイベントをやるようですがその1回目で、慶応は150周年記念事業の一環でした。


日米の社会起業家が登壇しお互いにやり方を語る会でした。セッションは3つあり、「社会問題の発見と解決のデザイン」「社会起業のスケールアウト(拡散モデル)」「ソーシャル・ファイナンス」で、それぞれ日米2人の社会起業家が出てきて、マイウェイを語ってました。


ビル・ストリックランド(Bill Strickland、マンチェスター・クラフトマンギルド、ビッドウェル・トレーニングセンター社長、ホワイトハウスで「次世代の人物」賞をヒラリー・クリントンから授与)が、ピックバーグで社会の底辺にいる青少年にテレビ番組製作やデザイン、工芸、ミュージシャンの技術を教え、能力のエンパワーメントを行って被雇用力をつける教育センターをつくった話、これから全米、世界中へ展開するそうです。安部さんの再チャレンジ政策、これやったらいいと思って聞いてました。


キャメロン・シンクレア(Cameron Sinclair、Architecture for Humanity共同創設者、04年フォーチュン誌の「世の中をよくした7名」に選定)、英国で建築学を学び、ニューヨークに移住し、ホームレスの避難住宅、津波災害地を復興する都市計画デザイン、アフリカのエイズ病院のデザインなど、インターネットで世界中の建築家によびかけて叡智を集める事業をやってますが、デザイン、アーキテクチャーの概念を社会を変える設計にまで広げる話でした。専門化が自分の持分を広げて社会を変革するデザインまでをやるんだという思潮は、新しいものでその代表のような話でした。


法律→制度→社会が変わるでなく、社会を変える知的なデザイン、専門家の叡智によって市民に直接呼びかけて、インターネット時代にこんなことは容易にできます、思いを集めて成果を出す、その一番初めのデザイン、アーキテクチャーとは斬新な考え方です。


とても全部は書けませんから面白いと思った話を一つだけ書きます。それは三番目に登場したアラン・ウェーバー(Alan Webber)の話です。彼はハーバード・ビジネス・レビューの編集長のあと、ビジネス誌 Fast Companyを創刊し成功した人で、この雑誌では社会起業家賞選定などやってます。


「現状維持は高コスト、変化こそ安いコストになる」(旧来のやり方で社会サービスを提供することが高コストになり、代わって新しい解決の仕方でやると安くなる意味)、「(社会起業の資金調達は)助成金申請書を書くのでなく、問題解決の新しいビジネスモデルを資本家にぶっけてカネを出したもらう」「非効率な助成財団は、ぼやぼやしてると社会問題を解決するのでなく、問題の一部になってしまう」。。。


こういう言い方は大好きで気に入りました。マーケット・オリエンテッドな社会起業の雰囲気をよく伝えてくれた話で、アメリカでは、こんな思潮が社会に広がり、みんなのコンセンサスになりつつあるんだろうと想像しました。小さな政府と民営化、これは破壊ですが、それが進化し、もう完全に創造する時代に入っており、創造のいろんな挑戦が行われてるんだと思わせてくれる話でした。


ちょうど、この会合の前日、「宮崎は変わらんといかん」といって、そのまんま東さんが知事に当選したばかりのときで、宮崎市民の直感もこれで、保守王国なんてもう昔のことで、政治家と官僚、企業は遅れてるが、市民はずっと先に行ってるんだと思ったのです。


このシンポジューム、日本がかかえ出口のなさそうな問題解決には、すぐに使えるいいアイディアがたくさんあり、久しぶりに、先が見えたぞと気分よく帰宅しました。