イギリスのブレア首相がすすめている「公設民営校」のことで、これをもりこんだ教育改革法案が、3月15日下院議会を通過した。


対象は、小学校と中学校の義務教育の学校で、成績を向上させるのが狙いである。トラスト・スクールができることは、
1、予算の作成(ただカネは税金)
2、教員の採用
3、入学者の選考
4、カリキュラムの作成

経営できるのは、保護者、企業、非営利法人など、どこでもよい。


ただ、利益を上げるのは不可で、寄付金などのカネをもらうこともできず、授業料も徴収できず、地方教育機関(LEAs)の監督を受けるので、全く自由に経営できるわけではない。


この新学校は、貧しい家庭、能力の低い生徒を締め出す(締め出された結果、近くの学校に行けない)、イスラム教を教えるような宗教学校が出てくる、民間の参入は少なく、大都市に限定されるなどの批判があり、下院の投票でも、賛成458、反対115のうち、反対の半分は、与党労働党左派の造反票だった。こんなわけで、上下両院の協議しだいで、修正案が出てきて、後退してしまう不確かさはまだある。


しかし、イギリスでは、小学校と中学校で、私立へ通ってる生徒は7%で、93%は公立校なので、増える可能性はあり、また、公立校の先生は、社会起業家タイプがすでに登場しており、こういう先生が先頭に出てゆくようになると、進むかもしれない。


学校経営は、社会起業家が活躍できる一大分野だが、公立学校が独占し、それを阻んでいた。それが取り除かれそうになってきており、93%の半分でも社会起業家に明け渡されればたいしたもので、社会起業家の躍進が期待できる。


ブレア政権第二期目の需要課題は教育改革で、これが実現する。アメリカには、同様な学校がチャーター・スクールとしてあり、相当広がってるが、先進国の公立校は、公設民営に向かうのがトレンドになってきた。日本だってそんなことになるのだろうと思う。