新しい社会問題が増えるにつれ、自治体では相談窓口が増える。最近の出来事では、欠陥マンション問題から、この相談窓口ができ、また、新規上場株をめぐる詐欺的な事件(上場株をすすめ、株を渡さなかったりする事件)から、金融庁に電話相談窓口で相談できると新聞が伝えている。


当座は起こってしまった事件の相談だろうが、そのうち相談窓口が、うまく機能しだして、事件になる前に予防できるなら、社会コストは減るので望ましい動きである。

昔、伝染病を防ぐために下水道を作ったり、火災を防ぐために建築基準法ができたりと、行政の仕事には「予防行政」があったが、そんな時代に再び戻る予感がする。


しかし、相談窓口は、うまく行くのかどうかは疑問で、こんな話がある。
子どもへの虐待相談窓口は、児童福祉法が4月に改正され、都道府県の児童相談所から市区町村に移ったが、担当者の3割以上が児童福祉司の専門資格を持たない一般職員であることが、厚生労働省の調査で分かった。
さらに、緊急対応のための夜間や休日相談は、過半数の自治体が受け付けていない実態もわかった。


調査は、全国2399市区町村を対象にして6月に行った。担当職員は計6951人(うち専任2016人)、最も多かったのは資格を持たない「一般行政職員」の37%、次いで「保健師・助産師・看護師」の資格を持つ職員が25%、専門知識を持つ「児童福祉司」は5.3%だった。
朝日新聞 、12月2日)


私は、こういう記事を読むと、自治体は自分だけで全部やろうと考えすぎて、すでにある市民の同じような活動とパートナーシップを結ばないのだろうか、そうしたほうが、ずっと効果を上げるのにと思ってしまう。
自治体の職員に児童福祉司を増やそうと思っても、今は職員を削減する時代なので、どこかを削らないとすぐにはできない。


そこで、市民社会で始まった活動と連動すれば効果があがる。パートナーシップなどやったことがないので、初めはとまどうが、新しい行政サービスを創造すると思えばやる気の職員が出てくるのでないか。


90年ごろのアメリカの自治体であった話であるが、相談が多くなりすぎ窓口がパンクして、もうやってられないと相談サービスが、民間の非営利事業に移転した。これを読んだとき、なるほど、自治体のサービスが民力のサービスに変わるのは、こんな当たり前のことが起こって変わるのだ、目から鱗と感心したことがあるが、これから日本でも起こりそうなことである。


行政は、なんでも自分でかかえず、既に始まっている市民社会の社会起業に仕事を譲れといいたいのである。