時間が速い、そして重い。 | 田中佑和の部屋

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6月6日 『時間が速い、そして重い。』

 
 なんだかとても時間が速くて重い。速さは相変わらずだが、重みがとくに増してる。だから余計に疲れる。だから余計なことばかり考えてしまう。余計なことばかり考えると、余計なことなんてこの世にないように思えてくる。だから余計に考えてしまう。だから何も考えないようにする。

 
 何も考えないようにすると仕事にならない。気付くと歩道橋の上にたち尽くし、気付くとどっかの道を歩いていたり、気付くと大体最後はビデオ屋にいる。別に何も借りたくないのに。観てない映画山ほどあるっつうのに。だから帰りにビールだけ買って帰る。ビールなんて飲みたくないのに。だから飲まずにそのまま冷蔵庫にしまう。

  先月でくるりのライブ盤の『GUILTY』を100回は聴いた。そんで100回は泣いた。たぶん、あと10000回は泣ける。


 6月3日

 園子温監督の新作『愛のむきだし』の試写を中川さんらと五反田のイマジカに観に行った。4時間もある超大作。2時間半観て休憩を挟んだ時のロビーで久しぶりに園さんと顔を合わす。去年も誕生日の翌日に園さんに会ったような気がする。園さんはニヤリと笑い、

 
 「凄いだろ?」

 
 と笑いながら言った。

 
 「まだこれ前半だからね」

 
 園さんは続けてまた笑った。残りの1時間半も観終えた。『変態』って言葉と、『勃起』って言葉がそれぞれ200回以上は出てきたと思う。感想を一言で言うなら大傑作だ。でも、こんな4時間もの問題作一体何処で流すんだ?

 上映後、園さん、中川さん、寺内さん、早川さん等何人かで近くのデニーズでビールを飲んだ。


 「とうとう日本の映画会社からオファーがこなくなった」


 そう言って園さんはまた笑っていた。次回作で決まってる2本は、どれも海外の作品で、園さん単身でどちらも乗り込んで撮る予定らしい。蛇にピアスも20世紀少年も園さんの元へ監督の話があったらしいが、園さんが出す意見はどれも却下で、どちらも他の監督へと回ってしまった。園さんの20世紀少年とか凄い観てみたかった。因みに園さんのアイデアはあの20巻以上あるコミックの最初の3巻のある部分で終わらせるものだった。ああ、観てみたかった。6000万くらいの予算で4時間撮れちゃう人だから、70億あったらどんなもの撮っちゃうんだろ。次回の時効警察はオダギリジョーと麻生久美子の顔一切映さないでやろうかななんて冗談で言っていた、ゴダールみたいなナレーション入れちゃったりしようかなとか言っていた、実際誰も怒る人がいなかったら、園さんは冗談でなく本気で何でもやってしまうだろう。そして、それがまた凄いものになっちゃうんだろうな。


 『愛のむきだし』とにかく大傑作だから上映したらみんな観て欲しい。


 その後、園さんと別れ、中川さんや寺内さんらと渋谷で飲む。4時くらいから飲み、楽しく飲んでいたのだが、また余計なブルーなスイッチが急に入ってしまい、一気に悪酔いしてしまい、終電が過ぎた1時くらいに離脱した。場の雰囲気崩さないできちんと僕は退場出来ただろうか。それだけが気がかり。

 
 帰ろうと思ったが、親父から電話があり、タクシーでそのまま三軒茶屋へ。お姉ちゃんのいるスナックでワイン少しだけ飲んで帰る。気分を落とさないことだけに必死で、何を話したか一切覚えてない。親父のメンツだけを潰さないように、親父を褒め、良い息子を演じることだけに集中した。


 タクシーで事務所に戻って、成田に電話したような記憶だけある。あれ?この日じゃなかったかな。


 6月4日


 最高に体調が悪かった。だけど、夜は加賀くんと飲んだ。


 「俺だってゆうわと同じことしたと思うよ」


 その一言で僕は泣きそうになった。相変わらず加賀くんはカッコイイから、僕はタバコが切れたので、加賀くんと同じ銘柄のラッキーストライクを買った。吸った途端に咽て咳が止まらなくなった。加賀くんは僕のタバコを買ってくれ、僕はそのタバコの中身だけをラッキーストライクの箱に移し変えた。加賀くんは笑っていた。

 高校時代の話をした。加賀くんとは高校時代バイトも一緒だったから、全ての話ができる人だ。でも、どうしてこうも同じ青春を送った仲なのに、僕と加賀くんじゃこうも違うんだろう。一緒の教室で勉強して、一緒のバイトでお金稼いで、毎日のように一緒に飲んで、夢の話や女の子の話をした仲なのに、なんで加賀くんは中間も期末もあんなにテストの点数が良かったんだろう。なんであんなにギターが上手いんだろう。なんであんなにオシャレなんだろう。なんであんなに足が長いんだろう。

 そんな加賀くんは僕なんかと一緒にいて果たして何が楽しいのだろうか?何にもない僕とお酒を飲んで彼の何かになってるのだろうか?

 そういう疑問は尽きないにしても、加賀くんはきっと一生僕と一緒にお酒を飲んでくれる気がする。

 
 6月5日


 またしてもとんでもない悪夢を見て起きる。起きたと思ってもまだ悪夢の中だった。大声で叫んでも誰にも届かなかった。動けなかった。ただただ夢の中でもがいていた。

 廃人だった。


 6月6日で今日。


 青春群青色の空の5話のプロット書き上げる。またしてもプロットととても呼べない台詞だらけのほぼシナリオに近い、規定枚数相当にオーバーしたものが出来てしまった。綺麗に4話と同じくらいの量になった。このペースじゃとてもじゃないけど、月末の締め切りに間に合わないので、この半分に抑えたプロットを書けば、少なくとも倍のペースで仕上がるはずだ。

 今日はこれから新宿で俳優の大迫さんと飲む。また飲んでる途中で気分が落ちそうで怖い。


 気持ちも天候も不安定な毎日。だけど、それは僕だけじゃないはず。戦ってるはずだ。だから僕も戦わないと。


 くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお