10:7:4:2の法則」というのをご存じでしょうか?

 ある11歳の少年が、各家庭を訪問してゴムスポンジを売るアルバイトをしたのですが、その際に、次のことに気が付いたのです。

 10軒のドアをノックする
 7軒がドアを開けてくれる
 4軒が話を聞いてくれる
 2軒が買ってくれる

 彼はゴムスポンジを1個売ると20セントが貰えたそうです。

 つまり、10軒の家を訪問すれば40セントが儲かることになります。※

 

※アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ『ブレイン・プログラミング』より

 

 当然ながら訪問先で無視されたり、話の途中で追い返されたりと、嫌なことも沢山あったと思います。

 しかし、この少年にとって嫌な態度を取られることは、自分でどうこう出来る問題ではありませんでした。それらは、あくまで訪問先の意志であって、自分ではコントロールできない部分です


 だからこそ少年は、自分がコントロールできる部分にのみ意識を集中させました。それが訪問する数を増やすことだったのです。

 彼は利益を出すため、訪問を繰り返す、つまり数を増やすことに徹したそうです。

 

 この話の教訓は、「1つ1つの個別事象には囚われず、総量に対する平均で考えた」ということでしょう。

 

 これは「平均の法則」なんて呼ばれたりします。

 

 トレードでいえば、1つのルールに基づいてそれを繰り返す。

 1回1回のトレードではなく、全体のトレード総量での利益を考えるわけです。 

 これはこれでアリですよね。


 ところで、この話には、もう少し違う視点で見ることも可能です。
 もし、少年が自分のコントロールできる領域をもう少し拡げられたらどうでしょう。例えば・・・

 

 ドアをノックする

  →ノックのやり方を工夫する
 ドアを開けてくれる

  →第一印象を工夫をする
 話を聞いてくれる

  →話術に工夫をする
 買ってくれる

 

 つまり、それぞれの段階で、相手が次の行動に移してくれる確率を上げる工夫をすれば、最終的に買ってくれる個数は2個からもっと増えたかも知れません。

 11歳の少年にとっては、自分がコントロールできるのは、ただ訪問数を増やすことだけでした。しかし、この少年がもっと成長して色々な経験や知識を得て行けば、きっと自分がコントロールできる領域は増えて行くはずです。

 

 トレードに当てはめれば、1回1回の仕掛けるルールに工夫を凝らすことで勝つ確率を上げて行くよう努める。その上で全体の総量で利益を考えるのです。

 つまり自分のコントロールできる部分を見極め、その精度を上げることで、全体の勝率や利益率といった確率を上げることが出来るはずです。

 

 その確率を上げて行く、ということが、それがこれまで説明してきた数々のファクターをチェックして有望な銘柄を発掘することであり、チャートの波動からエントリーやエグジットのタイミングを見極めることであり、複数回の負けが続いても、資金が枯渇しない資金管理であったりするわけです。

 

 ところで、将棋、以後、ポーカー、麻雀と4つの写真がありますが、

 株式投資に近いゲームはどれだと思いますか?

 

 

 10回の勝負を行たった場合、将棋や囲碁でアマチュアがプロに勝てることは100%あり得ません。10回中10回全部負けるでしょう。

 しかし、ポーカーや麻雀は10回の内、アマチュアがプロに勝つ事は何回かあるでしょう。

 

 両者の違いは何か?

 

 将棋や囲碁は、手筋を100%自分でコントロールできるからです。そこに確率の要素はありません。

 その反面、ポーカーや麻雀は勝負を100%コントロールできません

 運の要素が強いです。配られた手札や配牌によって勝敗の条件がかなり変わってきます。幾らプロでも手元のカードや牌が悪ければ、素人にすら負けることもあるでしょう。

 しかし、配られたカードを元に如何に優位な役を作るか、如何に相手との心理的な駆け引きを有利に持っていくかなどは、自分がコントロールできるものです。

 プロと呼ばれる人は、そういう部分に長けているのです。従って勝負の回数を増やして行けば、ほぼ確実にトータルでプロが勝ちます。

 

 私は、そういったことから、株式投資は将棋や囲碁より、ポーカーや麻雀に近いと思っています。

 

 株式投資に当てはめてみて下さい。

 もし、専業投資のプロと投資初心者が、1銘柄だけの勝負をしたら (そんな勝負あるか分かりませんが)、果たしてどちらが勝つでしょうか。

 

 たぶん、分からないでしょう。プロが勝つかも知れないし、初心者が勝つかも知れない。

 なぜなら、自分の選んだ銘柄が上がるかどうかは、自分のコントロールできる範疇にないからです。たった1銘柄だけでは運の要素が強くなります。

 もちろん、上がりそうな銘柄を探す、上がりそうなタイミングを探る、失敗しても破産しないようなポジションを管理する、といった事柄はコントロールできます。

 逆にいえばそこまでです。

 

 さらに言えば、昨日今日に投資を始めた初心者が、いきなり大儲けすることが稀にありますよね。

 いわゆるビギナーズラックというもので、単に運が良かったとかそんなレベルなんですが、しかし、そんな勝ちを拾った初心者も、初心者スキルのまま株式投資を長く続けて行くと、ほぼ例外なく利益を吐き出して終わります。

 

 一方で株式投資のプロ(というか優秀な投資家ですかね)は、1回の勝負で損切りになることは幾らもありますが、長く続けて行くことで着実に利益を積み重ねていきます。

 

 いずれにしろ、株式投資を1回の勝負で大きく利益を取るものではなく、複数の回数を繰り返すことで、トータル平均的に考えるゲームだと認識すると、投資家としての目線というか風景が変わってくるかと思います。

 

 私がそういう視点を持てたのは、株式投資を始めてから10年以上経ってからです。 

 それまでは、どうしても1回1回の勝負にこだわってしまい、損切りが遅れたり、適切な位置での利確が出来なかったりと、ずいぶんと回り道をしたな・・・と思っています。

 本当にちょっとした心構えなんですが、気持ちを切り替えただけでパフォーマンスが良い方向に変わって来たことを2つのルールにまとめました。

 

マイルール⑦

投資は確率のゲームであると認識する

 

マイルール⑧

確率をコントロールできる部分を強化する

 

 

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最近、いろいろな資料作りや執筆が重なってしまったことから、ブログが後回しとなり、前回からかなり時間が経ってしまいました。

続きを期待して頂いた方々には感謝です。

 

 

前回は、割安を測るファクターとして、PERの代わりにEP(益利回り)という考え方をご紹介しました。EPはPERの逆数です。

 

EP=1÷PER

 

値の大きいものほど割安になります。

益利回りという言葉に馴染みがなく、マイナー過ぎる!?と思われるかも知れませんが、それなりに使用されていて、試しにGoogle先生に「益利回り」で検索してみると、様々な記事が出てきます。

 

例えば、日本株の適正PER15倍と言われていますが、これも何故15倍なのか、益利回りの視点から見ると納得したりするのですが、それについてはこんな記事もありました。

 

ただ、個人投資家がバリュー指針としてPERを参照するよりも、どちらかというと機関投資家が分析するためのファクターとして引用されることが多い気がします。

理湯としては、EP(益利回り)は、PERよりも色々な計算式に当てはめやすいからです。

特に、四半期単位でどのくらいの割安化が起きたかのか?を調べるのにはPERを使うよりもEPの方が使いやすいです。

 

ところで前回、次のような図1を用いて、PERの変化率を考えてみました。

変化率が小さければ小さいほど、業績の向上、あるいは株価の下落によってその銘柄が割安化したという目安になるのでは? という考えです。

 

ただし、1つ問題があります。(ここでブログが止まってしまったので、色々疑問に思われた方々から質問頂いたりもしたのですが、未回答のままだいぶ時間が経ってしまいました(汗)

 

図1 前回の再掲

 

問題というのは、変動する株価をどう考えるかです。

一応、PERのヒストリカルデータなども取れるので、そのままその時点での株価を使用しても良いのですが、ボラティリティが大きい状態であったりすると厄介です。1週間違うだけで、値が大きくズレて来ます。また発行済み株式数の変化があったりすると調整したりも面倒ですね。

つまり株価の変動を前提とした計算式だと、図1は難しいです。

 

そこで、もっとシンプルに考えます。

 

そもそも、PERの値が低くなるとは、株価が下がる、或いは1株益が上がるのどちらかです。なので、PERの変化率を求めるとしたら、それぞれ次の2つの式として整理した方がスッキリします。

 

 

その1は、単純に株価の変化で割安化したかどうかを見るものです。市場全体に釣られて暴落したりした場合には、この値が大きいもの程お買い得となっています。

 

その2は、業績の変化によって割安化したかどうかを見るものです。株価はいま現在、つまり変化後時点でのものを使います。値が小さいほど割安化したことを示します。

 

ここで、もし業績の成長性に合わせた割安化を測るならどちらが適しているでしょうか。もちろん、その2ですよね。

 

しかし、ここで小さいものほど割安化するということは、変化後<変化前の場合、マイナスの値が出てきてしまいます。正数より負数の方が低いことから赤字化すると割安という変な事になりますので、ここでPERの逆数であるEP(益利回り)を使ってみます。

 

 

利益のところには、売上、営業、経常、純益、どれを入れても構いません。

このシンプルな式が成長株の中での割安株を探すのに適したファクターになります。

グロースバリュー株とでも呼ぶと良いでしょうか。

 

利益には通期を入れても良いですが、四半期を入れても成立します。

四半期の利益を入れたものを四半期割安率と名付けています。これも前年同期や前四半期、あるいは2四半期同士での比較も出来ます。

 

参考までに、2020年からプライム市場での5分位分析を載せておきます。

左側がグロースバリューの四半期割安率、右側がグロース要素のみの四半期成長率です。バリュー要素を入れたものの方が、ここ数年は有効に機能しているのが分かります。(三角形に近い形のものほど有効性が高い結果です)

 

 

『四半期成長率とチャート分析』では、この四半期割安率の解説は省いています。四半期成長率のみの紹介となっています。

 

ただし、第5章の実践編では、PERをどう評価するかという視点も随所に加えています。私自身も、四半期割安率をファクターとして正式に取り入れる前は、PERのチェックを加えることで充分に対応可能でした。

 

なので、PERの性質に精通すれば特に必要ないのかも知れませんが、ただ、割安率のファクターを用いると、より素早く精度の高い銘柄選定や保有継続の有無が検討できます。

 

マイルール⑥

グロースとバリューを合わせ技で考える

 

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告知が前日になりましたが、明日、6/5(水)19:30からパンローリング社のトレーダーズショップにて、

『四半期成長率とチャート分析』実践活用セミナー 6/5(水)オンライン開催いたします。

 

いろいろ資料作りに追われていて、ブログ、X、更新止まってました。

また他の取材や仕事など、普段、暇なのに、ここ数週間、何故か多方面からの締め切りが集中していました。

※頂いている質問などの返信は、少し落ち着いてから順番に行いますね。

 

 

サブタイトル「億り人を目指すための株式投資セミナー」と付けたのですが、

原資にもよりますが、どんな投資ジャンルでも簡単に億り人なんて成れるわけがないんですよね。

そこを、あえて自分の辿った道と照らし合わせて、普通の凡人がそれなりに資産を増やして、最終的に億り人を目指すには、どうしたら良いのかな?

なんてことを、真面目に考えてみました。

 

結論としては、やはり真面目にコツコツなのですが、真面目とは?コツコツとは?

そこの部分を間違えると無駄な時間を過ごして終わってしまいます。

私は、投資を始めた最初の頃。10年間ぐらい無駄にしました。

 

 

 

基本は、拙著『四半期成長率とチャート分析』でもメインで書いている四半期成長率なのですが、それにプラスアルファ、バリュー要素を加えたものを紹介しています。

 

5/27に出演したラジオ日経でも紹介したのですが、四半期単位でみるPERというものです。

 

また、パンローリングさんの方で、株式スクールの方を行わせて頂くことにもなりまして、そちらの宣伝告知もありますが、それ抜きにしても、参加者の方々には、四半期単位で見るバリュー判断の方法というのを、手土産にしてもらえたらと思います。

 

スクールに関しては、かなり以前から相談依頼されていて、正直荷が重いと、ずっと断っていたのですが、私自身は、FIRE気取って、毎日、殆んど趣味でフラフラしているという状態で、人間がダメになりそうだったのと(苦笑)、またコロナ流行時に、実家の会社がイマイチ状態となり、このまま亡き父の作った会社を閉鎖と言うのも忍びないし、色々と質問をくださる方も多く、何かやらなきゃと今回、決心した感じです。やるからには真剣に取り組もうと思っています。

 

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本日は普段と違う為替の話です。

 

昨日、週刊SPA!の取材を受けました。

取材テーマは為替関係の話だったのですが、取材の担当記者の方とは2019年の円スパの取材以来、4年ぶりにお会いしました。

 

現在個別株中心に色々書いてますが、FX取引も行ってまして、一時期、絶滅危惧種と化したスワップ取引がメインです。

(10年以上前に、本も書いているんですよね…💦)

 

ただ、現在、各国の政策金利が上がってきていることと、当分、円安の方向性が変わらないと思われることから、もしかしたら、またスワップ派ブームのようなものが起きるかな?なんて思ってます。

自分の戦略は「持つFX」というスタンスです。

 

詳しい内容は、6/11発売予定の記事まで書けませんが、2022年以降、世界各国のインフレ率が凄いことになってiいることから、その抑制のために各国が利上げを行ったことから金利が急上昇。

為替相場が現状どうなって今後どうなるか、面白い通貨ペアは何か?という感じの話を1時間ぐらいしました。

 

個人的な意見ですが、米ドル高の流れは当分変わらないと見ています。

恐らく・・・私が生きている間は1ドル100円を割るようなことは無いのかなと。

ただ、それなりに上下しながら、最終的には180円近くまで上がって来る可能性も視野にいれています。

 

※クリックで拡大

 

とはいえ、11月の米大統領選で、もしトラが実現した場合、円安を嫌うトランプの発言によって、ドル円はかなり乱高下をすることが予想されますね。

 

日本株とも絡んでくるドル円為替市場ですが、今年は後半、色々と荒れてくると見ています。

 

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 バリュー(割安)をチェックするのにPERやPBRを使うのが鉄板ですが、今回は、それらとは別、第3の割安指標である益利回りをご紹介します。

 この指標は色々と加工しやすく、汎用性も高いので、わたくしはよくチェックします。

 益利回りの説明については最後の方になりますが、良かったら読んでみて下さい。

 

 それにしても、わたしがPER をよく見るようになったのは、2006年末ぐらいからでしょうか。2006年1月にライブドアショックがあったのですが、それ以降、あれだけ勢いよく上昇していた新興株がピタッと上がらなくなりました。代わりに東証一部大型株がジワジワと上げ始めたのです。

 

 それまで高PERのものを積極的に買っていたのですが、新興株のリーディングストックだったライブドアが上場廃止処分。

 そして、日経平均は上がっているのに、新興市場は延々と下がり続け、(私を含め)新興市場をメインとしていた個人投資家は、買っては損切りを繰り返すハメとなり、悪夢ような日々となります。

 この時期、私の投資関係の知人たちは次々と退場しました。

 

 実際、一回の失敗トレードで退場するという人よりも、上げ地合いが終了して下げトレンドに入ったのに、上昇時代の戦略を変えれず、買っては損切りで資産を失くしていく方が多い気がします。人間なかなか身についた習慣や習性って変えられないんですよね。

 

 そんで、落ち着いて色々調べて見ると、新興市場の成長性がかなり落ちている。それまでリーディングストックとして活躍したライブドア(上場廃止)に類するIT系もそうですが、特に不動産流動化として好業績を出していた銘柄たちの業績が、どんどん悪化。とにかく高PERのものは、ただ只管に売られていきます。

 

 代わりに、一部大型株の中でも高成長を遂げているもの、なにより低PERのものが、派手な動きはないものの、ジワジワと買われていく。

 

 あれ? 好業績でも高PERは売られ、低PERのものが物色されている

 

 ただ、幸い、このとき途中から、方向転換しました。それまで見向きもしなかったバリュー(割安)指標に目を向けたのです。

 すると資産の変動が安定してきました。ただ、バリューに目を向けたといっても、基本は成長している銘柄です。

 

 そんなある時期、こういう発見もしました。

 

 四半期決算でサプライズが出てPERが低くなると、そこを狙って買われる

から、株価はさらに上昇する。

 模式化すると図1のような状態です。

 

図1

 

 ある銘柄の適正PERが15倍だとします。

 1株益100円@1,000円(PER10倍)のものは、1株益100円@1,500円(PER15倍)まで上昇しました。

 そこに1株益が2倍の200円になるサプライズが起きました。

 この銘柄のPERは半分の7.5倍まで落ちます。すると、PER7.5倍から15倍への修正するため、株価が3,000円まで上昇します。

 

 成長株というのは、こういう好循環が繰り返されて株価が上昇していきます。こういう上昇を業績相場といいます。 

 高PERが好んで買われるのは、基本的に思惑相場のときです。それも近い将来、大化けをするのではないか?という思惑がある場合です。

 しかし、思惑は熱しやすく冷めやすい。だいたい1カ月ぐらいで天井をつけて終わります。

 思惑相場がひと段落して、しばらく株価がヨコヨコした後に、思惑が実現するような好決算が発表され、そこでPERが修正されながら上昇していく。こういう好循環に乗った業績相場は、地合いが軟調のときでも順調に上げて行くことが多いです。

 

 そんで、そこから更に思いついたことがありました。

 凄い大発見だと思ったのですが、こういうことです。

 

図2

※この式はもう少し変化します。次回で続きを書きます。

 

 要するに、1株益もしくは株価が変化した際、PERが割安になった率を調べ、その率が小さいもの程(割安化したものほど)、お買い得になっていますよね?

 割安化したもの程、上昇しやすいのであれば、これを全銘柄でスクリーニングすれば、上昇株を発掘しやすくなりそうです。

 

 これは大発見だと思ったので、拙著『四半期成長率とチャート分析』で監修をして頂いた北山広京氏のところを訪ね、ドヤ顔で説明したら、

 

 なにを今さら…、クオンツの世界ではそういうものはとっくに使われているし、機関投資家もそういう視点で割安化した銘柄を売買している

 

 という返事でした。

 

 ただ、クオンツが割安株を分析する際には、PERはあまり使わないみたいです。

 PERのような指標が有効かどうかを調べる際には、5分位分析(※)を使うのですが、その際には「全銘柄に対して、数値が大きい順、小さい順に並べたものが、そのまま有効性の順になっていることが望ましい」のです。

 PERで言えば、値の小さいものほど割安(つまり有効性が高い)とされるので、値の小さい順に並べれば、それはそのまま有効性の順になりますよね。

 

※5分位分析については、既に『四半期成長率とチャート分析』やパンローリングchの動画で詳しく説明しています。ブログでも後日、改めて解説しようと思います。

 

 ただしPERで、そういう分析を行おうとすると、幾つか問題がおきます。

 まず1株益がマイナスつまり赤字の場合、PERは使えません。使えません…というより、意味がありません。

 例えば、株価1,000円で1株益が▲66.7円のとき(▲はマイナスの意味)、

PER=1000円÷▲66.7=▲15 となります。

 これを無理矢理に解釈すれば「マイナス15年分の利益を織り込んだ株価」という事になりますが、ちょっと意味が分かりません。

 だから、yahooファイナンスも株探も赤字予想の場合、PERは記載されていませんよね。

 

 また、強引にPERがマイナスのものも含めて分析しようとすると、小さい順がそのまま優位性の順なりません。

 例えば、PER2倍というのは、相当に割安な値ですが、しかし、PERがマイナスの方が値としては小さいですよね。PERを小さい順に並べると、マイナスから並んでいくことになります。

 赤字企業の方が割安とか、これも完全に意味不明ですよね。

 

図3

 

 PERは、個人レベルで使う場合、割安を計るものとして、多くの投資家が参照していることから、有効性はとても高いです。それに、最初から赤字企業には投資対象にしない、というのであれば、別に問題は起きません。

 

 しかし、バリュー(割安)というものを、より深く追求しようとすると…、定量的かつ網羅的に分析しようとすると…、分析条件を整理する段階で、こういう問題が起きてしまうのです。

 

 ただ、この問題は簡単に解決できます。PERの逆数を取ってやれば良いのです。

 PERの逆数をとったものには、益利回りというちゃんとした名前があります。

 

  益利回り=1÷PER 

  (※%表示するには×100)

 

 益利回りは英語でEarnings yieldというのですが、ここではPERの逆数となる式、

1株益(EPS])÷株価(Price)を略してEP(益利回り)とします。

 

 PERは値が小さいほど割安を意味しますが、EP(益利回り)は値が大きいほど割安を意味します。

 

 先ほどの図3の問題に、EP(益利回り)を当てはめたものが図4です。

 

図4

 

 益利回りを別の見方で解釈すれば、現状株価で1株当たりに生み出される利益率のことで、例えば、株価1,000円でEP1%のときは、1株当たり100円の利益を生んでいる事になります。

 マイナスに関しても、株価1,000円でEP▲1%のときは、1株当たり100円の損失を生んでいるという意味になります。

 

 勘の良い方は気づかれたかも知れませんが、益利回りは配当利回りと同じ考え方です。


・配当利回り=1株配当÷株価    ※株価1000円@1%で1株当たり10円配当
・EP(益利回り) =1株益÷株価 ※株価1000円@1%で1株当たり10円利益

 

で、EP(益利回り)のどこがPERより使いやすいのかというと、EPは割安指標を作るのに便利なんですよね。加工しやすいのです。

 分析する際、赤字企業や並び順などを気にせず、リニアに分析できます。

 

 拙著『四半期成長率とチャート分析』の第2章では、PERの性能を調べるのに5分位分析を行っているのですが、これも、実際にはEPで求めたものに逆数をとって、PERに直してから表をまとめ直しています。

 

 ここから、四半期EP(益利回り)、そして四半期割安率と、とても使えるかなり面白い割安指標、ファクターの話になるのですが、記事ボリュームがでかくなったので、続きは次回にいたします。

 上記の2つは、個人投資家が使うPERよりも、割安抽出に関しては性能が優れている(割安株を見つけやすい)と思います。

 

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