GWという普段よりも忙しい合唱週間を過ごし、急に現実に引き戻されて休みボケしています。
GWは4月29日に行われた東京カンタートの合唱指揮コンクールで幕をあけました。
コンクールの概要は前回の記事の通りです。
http://ameblo.jp/yuto-yy57/?frm_id=v.mypage-ameblo--myblog--blog
さて、珍しい企画なのでどんなコンクールであったのか簡単に紹介しましょう。
まず朝は9時に集合、出欠確認と進行説明、演奏順の抽選などが行われる。
まずは初見課題の順番とルネバロのリハーサルの曲目や順番を抽選で決めることに。
12名の参加者のうち、
初見課題:6番
ルネバロ課題:1番
まさかの一番で頭を抱えることに。。。
初見課題は密室の空間で初見楽譜を手渡され15分間の譜読み。終わったらまた回収され、すぐに通し演奏(この時に楽譜が返されます)。
この初見課題は寺嶋陸也先生によるもので、予想こそしていたものの想像を超える難曲。。
まずテンポが基本的に早い、そして錯綜するフェルマータや繰り返し記号、変拍子やテンポ変化など目まぐるしい課題や罠の数々で通すのも一苦労でした。
演奏後は楽譜返却を行い、どんな演奏だったのかも分からず、とにかくよくわからず過ぎ去っていった一瞬でした。
さて、すぐにルネバロ部門の12分間のリハーサルと通し演奏。
入念に12分間で曲の構造や関係性、言葉の強弱を伝え、練習の構成を練って行ったつもりだったが、どうも練習が自分の思惑と噛み合わないというか、違和感を感じたまま終了。なんの手応えもなく不思議なモヤモヤを残して終了。
その後他の参加者さんのリハーサルが聞こえてきたので聞いていると、テンポ感や音量設定など三者三様で、練習の進め方もそれぞれであったが全体的に自分にとっては抽象的だったり、一部分にすごく拘っていて曲の中で練習密度にムラがあるなぁなどと思っていた。
結果は予選敗退!!
残念無念!以外でもなくやっぱりなぁという印象だった。
そしてその後は予選を抜けたファイナルのリハーサルを見て、今回の自分にとっての一連のモヤモヤや勘違いに気づくことになる。。
結論からいうと、
「合唱コンクールと指揮者コンクールの違いをはき違えていた!」
まず噂には聞いていたもののそれ以上のリハーサル合唱団のレベルの高さに驚いた。
もちろん自分もその場で指導していた訳だが、やはり自分の段取りで進めることに執着してしまい、合唱団のレベルがここまでとはその時気付けなかった。
別に何もしなくてもそのままの味付けで演奏会に出せるだけのクオリティがあって、その中に指揮者の音楽的な好みや分析で味付けしていくということを競うコンクールではあったが、私は合唱団が事前にクリアされていた基本的な部分をまとめあげることに注力してしまい、指揮者のエゴを出すことを避けた。
そしてファイナリストのリハーサルをみていて、それまで自分が他の参加者の練習に感じた抽象性や一部の拘りに対する練習のムラへの違和感こそが指揮コンにとって重要なことであり、私の大きな勘違いであった。
「練習作って、音楽作らず」
これが今回の指揮者コンクールにおける自分の大きな反省であったように思うし大きな勘違いであった。悔しい思いはしたものの、良い勉強になった。
ファイナリストの方々は本当によく音楽を研究されており、自分の音楽的な素養の低さを改めて感じさせられた。素晴らしい方々でした。
さて、このような思いや勘違いがあったということを、自分で他の参加者にいうのは、悪い結果の言い訳みたいなもので恥ずかしいと思い、黙っていたら同じ地方から参加されていた方から全く同じ感想を聞かされ、意気投合してしまった。
そしてその理由も自分の未熟さを念頭におきつつ違う視点でも考えられた。
今回の参加者のほとんどは栗友会や主催者関連団体のメンバーの方々で、団内指揮者や下振りの人たちが多く、音楽的指導を鍛えられている一方、自分で合唱団を指揮している方はほとんどいらっしゃらなかった。
そして自分含め地方から参加されているメンバーは多かれ少なかれ自分の合唱団を指揮し、活動している人たちばかりでした。
前者の方々はそもそも複数回出場であるとか、モデル合唱団の中の団員さんだったりと勝手がわかっているし、団体として「音楽の高み 」を追求され続けている合唱団のメンバーの中であるから、指揮コンで求められる要素は至極当然にリハーサルされるわけである。
しかし 後者の私たちはというと、地方の合唱団は私たちも含め優秀な人材に恵まれているわけでもなく、平凡な技術や知識の中にある「合唱団員に寄り添った練習」をしなければならないし、練習の構成も「合唱団員目線」で考えてしまっていたように思う。
しかし今回はそのような面倒な土台作りなどはとっくのうちに済まされ最高の食材が目の前で用意されているから、好きなように味付けしてあらゆるジャンルの料理を作れるよ!といわれているにもかかわらず「下ごしらえばかりしていた」そんな練習だった。
また、指揮者と合唱団の音楽的対決を競うべきが、私はいつものように「本番は歌い手はお客さんに歌を聴かせるんだから指揮者をあまり見なくていいですよ」と言ってしまい、不思議な顔をされたものであった。
審査員が審査するのは指揮者と合唱団とのコンタクトであり、きちんとリハーサルで求めた演奏のための棒を示せるかであった。
なにはともあれ、結果的になんともったいないことをしてしまったのか!
あの恵まれた環境の中で もっと本当に自分の音楽的なアイデンティティを出し、理想の音を追求できる場をなんともったいない時間にしてしまったのか。。
その悔しさが大きかったと同時にもう一度今度は「自分の音楽とは何か?」を追求するために参加してみたいと感じた。
以上のことから「指揮者コンクールと合唱コンクール」で求められる要素や心構えが違うことが後になってようくわかった1日だった。
今回優勝された麻山さんは第一回から出場されており今回で5度目の挑戦にして優勝された(ほぼ全ての賞を総なめにされていた!)。
麻山さんが打ち上げで言ってくださったことは「このコンクールに出続けると、次の2年後までの指揮者としての過ごし方が変わるはずだよ!」 という言葉で、本当にそのように思った。
長くなってしまったが、打ち上げでの話や参加してみて感じたことなどはまた次回以降に書いていきたい。
悔しい思いはしたが、本当に得ることの多い有意義なコンクールで音楽の取り組み方を教えてくれる1日だった。