円高の怖さ | グレッグのブログ

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http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20100508/Balassa_Samuelson_effect_broken


バラッサ・サミュエルソン効果という理論があります。

お恥ずかしながら、僕も最近まで無知で知りませんでした。

ですが、この理論、結構いろいろな経済的意義を含意しています。


難しい理論までは僕も今一つ理解し切れていないんですが、要点としては「貿易財の生産性が非貿易財の価格の高低に現れる」ってもののようです。

つまり貿易財は一物一価の法則が成立して世界中の価格は同じはずである。

だとすれば、生産性の高い先進国の賃金は高い。同一の国では労働市場は同じであるはずだから、それは非貿易財の賃金上昇にもつながる。非貿易財は世界での価格裁定がないし、貿易財に比べて非貿易財は労働集約型であるので価格と賃金が極めて近似する。だから新興国に比べて先進国のサービス産業の価格は高くなる。よって先進国の通貨は高くなり、期待がそれを織り込めば内外価格差となって現れてくる。


なんだか、わかったようなわからない話しなんですが、要するに先進国の物価が高いのは貿易産業の生産性が高いから、っていう結論らしいんですね。

個人的にはエーッと思いましたね。なるほど・・と。


よくテレビで「サービス産業の生産性を上げよ」とか言ってるわけです。

サービス産業の生産性を上げてサービスの相対価格が低下すれば内外価格差が小さくなり、円安になり輸出競争力がつくっていう結論も得られますね。またサービスの相対価格の低下は国民全体の効用も上がりますしね、確かに。


僕はそれより円高って怖いなー、って思いましたね。

だって円高で円建ての価格が下がれば貿易財の生産性は下がりますよね。給与低下圧力になる。そしてそれが非貿易財にも波及していく可能性も否定できません。円高ってやっぱり悪いなー、って思いますね。

上に貼らせていただいたhimaginaryさんの2010年のブログに詳細なデータが載ってるんですが、円高で実際何が起こったかって言うと、輸出企業の賃金はそれほど下がってないんですね。でもサービス業の賃金はただ下がりなんですよ。つまり輸出企業は円高でも生産性を一定に保つために新規就業者を制限してる。そして溢れた労働者がサービス業に行って、労働供給過多になって賃金を落としている。サービス業の価格も低下してるんですが・・。そして大事なことは製造業とサービス産業の賃金格差が拡大していることですよね。これは顕著です。

1972年のデータではほぼ同じ動向で賃金があがってるんですが・・。

同一の国では賃金裁定が働くっていうのも明らかに違いますよね。まあ、先進国と新興国の賃金の違い程は開いてないんでしょうけどね。


まとまりがなくなってしまって恐縮ですが、何が言いたいかというと輸出産業の生産性って一国の為替水準、期待によっては内外価格差の原因になるほど重要なものって言うことです。そして非貿易分野の賃金にも・・。

そして為替はバラッサ・サミュエルソン効果だけで働くものじゃなく、実質金利差にも依存しますから購買力平価並みの為替水準の維持が是非必要と思いましたね。通貨高の進行は断固許容しないっていうスイスの意思もわかりました、あのなりふり構わない必死さの理由が。

つまり良い通貨高など存在しないのですよ。