おかげさまで忙しい毎日を過ごしています。
ブログ、また遅れがちですみません(作曲やレコーディングなどいろいろあっても発売日まで3か月以上あるとまだ書けなかったり…)。
ところで、4/1に「45分の恋人」というボーカロイド曲のPVがニコニコ動画で公開されました。SAKAMOTO-P feat.初音ミク、という名義でCDに収録されていた曲です。
すでに2万回以上の再生数ということで、多くの方に見てもらっています。
(※YouTubeはコチラ)
「R-18」と銘打ってあるように、大人向けの内容です。
風俗嬢が主役なのですが、エロさより「切なさ」を表現したいと思って仲間たちと作りました。
(18才未満でもちゃんと理解できる人も多いので別に問題ないのですが、一応R-18で)
作曲は1日、アレンジ演奏は2日間という通常ペースでしたが、初音ミクの音声編集(調教って呼びます)とミックスに5日もかかってしまいました(笑)。
最初は普通のミク声を使ってたのですが、どう調教しても自分が思い描く雰囲気にならず、世界観がブチ壊しになってしまいます。それで、それまで使ってなかった追加音声ライブラリ「初音ミク・アペンド」を使い、その中のsweetというウィスパー・ボイスを使ったらバッチリはまってくれました。
2年前に調教してニコニコ動画1位になった「LOL~Lots of lough」の時は機械的な歌声のほうが曲に合っていたのでラクだったのですが、「45分の恋人」は人間っぽくないとダメなのでけっこう限界まで頑張りました。
ただ、ウィスパーなのでそのままでは音量も小さく、コンプ、リミッター、EQ、ディエッサー、ディレイ、リバーブを何度も調整!
特にサ行の言葉(「シャワー」とか「背中」)はウィスパー系の歌に色気を出す大切な要素なので、ディエッサーの調整には時間がかかりました。このへんはプロ生活20年のワザがいろいろ生きてます。
逆に、今はプロもアマも関係ない時代なので、それくらい頑張らないとダメでしょうね(^_^;)。
アレンジのほうでもボーカルの邪魔になるサウンドは全部カットして、必要最小限の音数にしました。
ある種の懐かしさ出すために、ソフトシンセは極力使わず、ハードシンセでビンテージ系の音色を中心に作りました。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」で使われたフルート(サンプラーの元祖・メロトロンによる演奏)の音や、ジャズ系オルガンの音など。
ただそのままだと「ただのレトロ」で終わってしまうので、リズム・アレンジはティンバランドやポロウ・ダ・ドンなどHIP HOP系プロデューサーがよく使う新しめのドラム音色を隠し味的に使ってたりします。
懐かしさと新しさが同居する音楽、というのが僕がKey of Lifeでデビューした頃から一貫して考えてるテーマなので…。
元々この曲は、僕がプロデュースした初めてのボーカロイド・アルバム、
Lots of Love feat.初音ミク/初音ミク

¥2,000
Amazon.co.jp
…を制作してる時に、友人の作詞家・エンドケイプさんと1曲共作しようという話になり、どんな曲がいいかな?と考えていた時に、彼が4、5年前に発表した「イメクラの血液。」という小説のことが浮かびました。

池袋の風俗店に勤める女の子が日記風に綴った短編です。金原ひとみさんの芥川賞受賞作「蛇にピアス」に通じる、暗くて切ない世界観…。短編なのでストーリー展開は少ないのですが、あまりにリアリティーがあるので、「これホントに男が書いたの?」と驚いた記憶があります。
それで、せっかくエンドケイプさんとコラボするなら、今までの初音ミク曲になかったパターンにしようと、風俗嬢をテーマに選んだわけです。
最初にメロディーラインと「45分の恋人」というフレーズだけ作って渡したら、すごく良い歌詞が送られてきました。「歪んだ笑み=笑い方忘れたから」とか「2人の声 有線さえ掻き消して過ぎてゆくの 45分の空白」とかグッときます。
僕自身も時々作詞をするので、メロディーとの絡みにはかなりうるさいのですが、自分には絶対書けないフレーズが出てくるとすごく嬉しくなります(^_^)。
「割チケで愛を交わす」とか「喘ぐ」「白濁」とか、あまりに直裁的なフレーズはカットさせてもらいましたが…(^_^;)。
そういうフレーズも小説だったら全然問題ないのですが、歌だとちょっと…。
同様に、ヒロヨシ氏のイラストのほうも最初は18禁ゲームみたいな感じで、ミクが誘ってるみたいな表情だったので「もっと切ないテイストでお願いします」と書き直してもらいました。

曲とイラストが完成するまで紆余曲折ありましたが、天才動画師「三重の人」のPVによってアートっぽいイメージになり、報われた思いがします。PVの最初に出てくるベッドの3Dモデリングなど、ちょいちょいと作ってしまう早業はホントにすごいです。
センスとテクニックが両方ともトップレベルにある動画クリエイターはホントに希少なので、そのうちホントにハリウッドに持っていかれてしまうかもしれません。
でも、ニコニコ動画は辛辣なコメントが付く場合も多いので、「エロを売り物にした」とか「そこまでしてCD売りたいか?」みたいな批判が出る事は覚悟していましたが、ほとんどの人が好評価だったので安心しました。制作者の思いがちゃんと伝わってくれた~」と(^_^)。
ただ、念のために書いておくと、この曲は決してそういう職業に就いている女性を礼参しているわけではありません。
もし僕の知人や親戚だったら「お金以上に失うものが多いからやめたほうがいい」と言うかも。
(偉そうなこと言えるほど清廉潔白な人間ではないけれどw)
「職業に貴賤無し」という言葉のとおり肯定も否定もしませんが、いくら不景気といっても今の日本なら普通のバイトしても食べていくことはできるはずだし…。
ただ、何らかの事情で、どうしてもそういう仕事をせざるを得ない女の子もいるかもしれない。
身内が重い病気とか、借金を背負わされてしまったとか…。
「45分の恋人」の主人公のミクにはそういう事情があると思って、「バーチャル的な切なさ」を感じていただけたら…と思います。
ブログ、また遅れがちですみません(作曲やレコーディングなどいろいろあっても発売日まで3か月以上あるとまだ書けなかったり…)。
ところで、4/1に「45分の恋人」というボーカロイド曲のPVがニコニコ動画で公開されました。SAKAMOTO-P feat.初音ミク、という名義でCDに収録されていた曲です。
すでに2万回以上の再生数ということで、多くの方に見てもらっています。
(※YouTubeはコチラ)
「R-18」と銘打ってあるように、大人向けの内容です。
風俗嬢が主役なのですが、エロさより「切なさ」を表現したいと思って仲間たちと作りました。
(18才未満でもちゃんと理解できる人も多いので別に問題ないのですが、一応R-18で)
作曲は1日、アレンジ演奏は2日間という通常ペースでしたが、初音ミクの音声編集(調教って呼びます)とミックスに5日もかかってしまいました(笑)。
最初は普通のミク声を使ってたのですが、どう調教しても自分が思い描く雰囲気にならず、世界観がブチ壊しになってしまいます。それで、それまで使ってなかった追加音声ライブラリ「初音ミク・アペンド」を使い、その中のsweetというウィスパー・ボイスを使ったらバッチリはまってくれました。
2年前に調教してニコニコ動画1位になった「LOL~Lots of lough」の時は機械的な歌声のほうが曲に合っていたのでラクだったのですが、「45分の恋人」は人間っぽくないとダメなのでけっこう限界まで頑張りました。
ただ、ウィスパーなのでそのままでは音量も小さく、コンプ、リミッター、EQ、ディエッサー、ディレイ、リバーブを何度も調整!
特にサ行の言葉(「シャワー」とか「背中」)はウィスパー系の歌に色気を出す大切な要素なので、ディエッサーの調整には時間がかかりました。このへんはプロ生活20年のワザがいろいろ生きてます。
逆に、今はプロもアマも関係ない時代なので、それくらい頑張らないとダメでしょうね(^_^;)。
アレンジのほうでもボーカルの邪魔になるサウンドは全部カットして、必要最小限の音数にしました。
ある種の懐かしさ出すために、ソフトシンセは極力使わず、ハードシンセでビンテージ系の音色を中心に作りました。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」で使われたフルート(サンプラーの元祖・メロトロンによる演奏)の音や、ジャズ系オルガンの音など。
ただそのままだと「ただのレトロ」で終わってしまうので、リズム・アレンジはティンバランドやポロウ・ダ・ドンなどHIP HOP系プロデューサーがよく使う新しめのドラム音色を隠し味的に使ってたりします。
懐かしさと新しさが同居する音楽、というのが僕がKey of Lifeでデビューした頃から一貫して考えてるテーマなので…。
元々この曲は、僕がプロデュースした初めてのボーカロイド・アルバム、
Lots of Love feat.初音ミク/初音ミク

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…を制作してる時に、友人の作詞家・エンドケイプさんと1曲共作しようという話になり、どんな曲がいいかな?と考えていた時に、彼が4、5年前に発表した「イメクラの血液。」という小説のことが浮かびました。

池袋の風俗店に勤める女の子が日記風に綴った短編です。金原ひとみさんの芥川賞受賞作「蛇にピアス」に通じる、暗くて切ない世界観…。短編なのでストーリー展開は少ないのですが、あまりにリアリティーがあるので、「これホントに男が書いたの?」と驚いた記憶があります。
それで、せっかくエンドケイプさんとコラボするなら、今までの初音ミク曲になかったパターンにしようと、風俗嬢をテーマに選んだわけです。
最初にメロディーラインと「45分の恋人」というフレーズだけ作って渡したら、すごく良い歌詞が送られてきました。「歪んだ笑み=笑い方忘れたから」とか「2人の声 有線さえ掻き消して過ぎてゆくの 45分の空白」とかグッときます。
僕自身も時々作詞をするので、メロディーとの絡みにはかなりうるさいのですが、自分には絶対書けないフレーズが出てくるとすごく嬉しくなります(^_^)。
「割チケで愛を交わす」とか「喘ぐ」「白濁」とか、あまりに直裁的なフレーズはカットさせてもらいましたが…(^_^;)。
そういうフレーズも小説だったら全然問題ないのですが、歌だとちょっと…。
同様に、ヒロヨシ氏のイラストのほうも最初は18禁ゲームみたいな感じで、ミクが誘ってるみたいな表情だったので「もっと切ないテイストでお願いします」と書き直してもらいました。

曲とイラストが完成するまで紆余曲折ありましたが、天才動画師「三重の人」のPVによってアートっぽいイメージになり、報われた思いがします。PVの最初に出てくるベッドの3Dモデリングなど、ちょいちょいと作ってしまう早業はホントにすごいです。
センスとテクニックが両方ともトップレベルにある動画クリエイターはホントに希少なので、そのうちホントにハリウッドに持っていかれてしまうかもしれません。
でも、ニコニコ動画は辛辣なコメントが付く場合も多いので、「エロを売り物にした」とか「そこまでしてCD売りたいか?」みたいな批判が出る事は覚悟していましたが、ほとんどの人が好評価だったので安心しました。制作者の思いがちゃんと伝わってくれた~」と(^_^)。
ただ、念のために書いておくと、この曲は決してそういう職業に就いている女性を礼参しているわけではありません。
もし僕の知人や親戚だったら「お金以上に失うものが多いからやめたほうがいい」と言うかも。
(偉そうなこと言えるほど清廉潔白な人間ではないけれどw)
「職業に貴賤無し」という言葉のとおり肯定も否定もしませんが、いくら不景気といっても今の日本なら普通のバイトしても食べていくことはできるはずだし…。
ただ、何らかの事情で、どうしてもそういう仕事をせざるを得ない女の子もいるかもしれない。
身内が重い病気とか、借金を背負わされてしまったとか…。
「45分の恋人」の主人公のミクにはそういう事情があると思って、「バーチャル的な切なさ」を感じていただけたら…と思います。