神なんていないと思ってますから、宗教は嫌いなのですが、聖書や古事記ってのは伝奇物語として凄く興味があります。古事記はともかく、聖書をまじめに読めるかどうかを確認するために、西東社さんの「歴史が面白いシリーズ」(平均700円ほどと安くて手軽に読めるのでいいですよ)の「図解 聖書」を眺めています。

創世記では、神がアダムとイブ(エバ)を創る際に「我々に似るように、我々の形に人を創ろう」と言います。神は一人であるはずなのに”我々”という複数形が使われているのは、天使たちに囲まれていたという説と、神、イエス、聖霊の3者が一体であるという三位一体説があるということですが、僕には多くの人をだまくらかしてやろうという輩たちが集まって神創造の謀議をしているように思えます。

神は、まず海と陸の生物から創造し、そののちに土の塵(アダマー)を集めてアダムを創ります。塵から人を創るというのがいいですねw ちなみに沖縄の創世神話でも土で神のかたちに似せて人を創ります。

アダムは木々が生い茂るエデンの園に辿り着きます。神は「人間がひとりきりでは良くない」と言ってアダムの肋骨からイブ(エバ)を創ります。

二人は「善悪の知識の実」を食べることを禁じられていましたが、ある日、蛇が現れて「善悪の知識の実を食べることで、お前たちの目が開き、神のように善悪を知る者になることを神は知っているから食べるなと言うのだ」と言います。イブはその言葉に惑わされて禁断の実を食べてしまい、それをアダムにも勧めて食べさせちゃいます。

すると互いに全裸でいることが恥ずかしくなるんです。羞恥心が生まれたのですね。神が怒って二人に問いただすと「蛇が私を誘惑したせいです」と蛇に責任転嫁しちゃいます。神は蛇に「お前が一番悪いんだから、生き物の中で最も嫌われるものとして地を這い、塵を舐めて生きろ」と罰を与えます。

イブ(女性)には「子を産む苦しみ」を、アダム(男性)には「額に汗して労働をする苦しみ」を与え、さらにすべての人間に”寿命”を与えました。

「善悪の知識」の代償とされたのが”労苦と死”でした。

2.

アダムとイブの子はカインとアベルです(セトという奴もいます)。僕はこいつらに興味があります。兄のカインは土を耕す者となり、アベルは羊飼いとなります。ある日、二人は神に捧げものをします。カインは土から収穫した農作物を捧げ、アベルは羊の初子の中から最良のものを捧げます。しかし、神はアベルの羊のみ喜んで受け取ったのに対してカインの農作物には目もくれませんでした。

供物を無視されちゃったカインはアベルに嫉妬してアベルを呼び出して殺しちゃいます。これを知った神はカインに「一生、実りを生まない地を耕し、逃げ移ろわねばならない」という罰を与えます。するとカインは殺人の罪に恐怖し「次は自分が誰かに殺されるのでは?」と恐れおののくのです。

カインを憐れんだ神は”誰もカインを殺さない”という特別の印を与えます。カインは恐怖から解放されて地を流離い続けたのです。

日本では海彦山彦という神話があります。天照の孫瓊瓊杵尊と木花開耶姫の息子たちです。ホデリ、ホスセリ、ホオリ(別名アマツヒダカヒコホホデミ)の3人です。旧約聖書のカイン、アベル、セトと同じ人数ですな。

海彦は、古事記では海彦(ホデリ)、山彦(ホオリ)ですが、日本書紀では海彦(ホスセリ)、山彦(ヒコホホデミ)となっています。ま、兄弟であることは間違いないですな。

兄の海彦は漁業を、弟の山彦は狩猟を生業としていました。ある日、互いの道具を取り替えてそれぞれの仕事をやってみましたが思うようにいきません。しかも山彦は海彦が大事にしている釣り針をなくしちゃいます。海彦は怒って「俺の釣り針を返せ!」ヽ(`Д´)ノと怒り心頭。山彦は自分の剣から500本、1000本の釣り針を作って海彦に「これで勘弁してちょm(_ _)m」と謝りますが「あの釣り針じゃなきゃ嫌だ(  ̄っ ̄)ムゥ」と海彦が言うので、山彦は「どうしよっかなぁε=(・д・`*)ハァ…」とさすらっていると老人が現れて「船で海に出ろ」と言うのですが、素直な山彦は言われるままに海に出ると海神の娘、豊玉姫に一目惚れされて宮殿で歓待され、結婚までしちゃいます。

それから3年経って、山彦は「帰りたいんだもん(´;ω;`)」と豊玉姫に言うんだわさ。

3.

豊玉姫が父親に「山彦ちゃんが帰りたいと言っているんだけどどうしたらいいの(´;ω;`)」と言うと、それを聞いていた女性海神ワタツミが海に棲む魚を全部集めます。鯛だけが来なかったのでほかの魚に聞くと「鯛は口が痛いから行くのは(/ω\)イヤン」と言っていると聞き、「いいから呼んで来い!」と言って強制的に呼んで、鯛の口の中を見ると、鯛の喉に海彦の釣り針が引っかかっていました。

ワタツミは「この針を海彦に返す時に『この釣り針は、おぼ針、すす針、貧針、うる針』と唱えながら後ろ手に針を返しちゃいなよ。ほんで、兄が高い場所に田を作ったら、あんたは下に、兄が低いところに田を作ったら、あんたは上に田をつくればいいさ。それで兄が貧乏になって逆恨みしてあんたを殺そうとしたら、この塩盈玉(しおみつたま)で溺れさせ、『許してほしい』と言ったら塩乾玉(しおふるたま)を出して助けてあげな」と言って2つの玉を渡しました。

サメに乗って帰宅した山彦は、海彦に針を返す際にワタツミの言ったとおりにすると、海彦は貧乏になっちまいました。逆恨みした海彦は山彦を何度も殺そうとしましたが、山彦はそのたびにシオミツタマを使って海彦を溺れさせます。とうとう海彦は降参して「今後はあなたを警護しましょう」と言うのです。海彦は隼人族として朝廷の警護をすることになるのです。

山彦は朝廷民族であり、海彦は先住民族を表しているのだと思います。海は渡来系を表現したもので、ここでは隼人族と言っていますが、実は隼人だけでなく出雲や尾張、蝦夷などの先住民族全部を指しているものだと思います。先住民といっても大陸から先に日本列島に渡来した民族です。つまり…狩猟を生業とした縄文時代の子孫たちです。

山彦と言っていますが、これは列島に住むべき資格のある米を耕す者という意味だと思います。弥生時代になってからの渡来系のくせに、わざわざ”山”を強調している”のは、その日暮しの無計画な生活をおくっている先住民族なんかに日本国民を名乗る資格はない。米を作って計画的に収穫している我々こそが日本国民、大和民族なのだ”と言っているのですね。

旧約聖書のカインとアベルのように日本の天皇家も兄弟の相続争いに終始します。めんどくさいから有名なものだけ挙げます。

景行天皇の子、日本武尊は双子である兄・大碓を殺害します。仁徳天皇の長男・大兄去来穂別(履中天皇)が、弟の住吉仲が皇位を奪おうとしているとして、もうひとりの弟で後に反正天皇となる端歯別に命じて謀殺させます。雄略天皇も兄弟を殺し。天智、天武兄弟の後世代に至る骨肉の争い…などなど。これらの事件の裏には彼らを操る時の権力者がいるのですがね。

天皇家は血で汚れているのですが、我々日本人は、生き神としてありがたがって崇拝していたりするのです。人は生まれつき悪にまみれているのですから仕方のないことです。

神はノアの方舟の騒乱の後にノアに向かって「大地を呪うのはここまでだ。人の心が悪に傾くのは本来の性なのだ」と言うのです。