あー、最近ホントにイライラする。
何かツイテなくないっ!?
車を運転すれば事故に遭い。
バスに乗ろうとすれば間に合わなかったり。
電車に乗れば痴漢に遭い。
親には早く孫の顔が見たいと言われ。
気に入った部屋が見つかり契約までしたって言うのにいざ、引っ越しの前日。
「こちらの手違いで、もう決まってしまってたみたいで…。」
言われ。
そこで紹介してもらったのが、この家。
まぁ、見た目は悪くないし家賃だって払っていける。
トイレと、お風呂は別だし広さだって1人で暮らすには、ちょうどいい。
なんだっ、今までツイテなかった分あたしの運上がってきてんじゃね?
…って思ってたのに。
やっぱりツイテなかったよね。
それがコレ。
朝、昼、夜…関係なく聞こえてくる隣からの声。
「…ぁんっ…ぃゃっ…んっ…。」
女の喘ぎ声。
壁が薄いのか女の声が大きいのかは分からない。
そして毎日のように聞こえるソレは毎回違ってる。
つまりは毎回違う女。
そして麻痺してしまっている、あたしの脳。
BGMね、BGM。
それにしても毎晩ってどんだけイイ男なのよ。
一度文句がてら顔でも拝見してやろうかしら。
そんなことを考えていると時計の針は午後6時を、さしていた。
「お腹減ったな…。」
得意の独り言を、つぶやき化粧もせずラフな格好で近所のスーパーへと行くことにした。
「簡単なモノ…簡単なモノ…。」
誰にも聞こえない声で、つぶやきながら店内をウロウロする30歳。
どっかにイイ男はいないかなー?
なんて思いながらレジの、お兄ちゃんの笑顔に癒される30歳、独身女。
つづく…。