食虫植物の『ネペンテス・アラタ』が好調です。
ネペンテスは日本ではウツボカズラと呼ばれる代表的な食虫植物の一つで、ピッチャーと呼ばれる胃袋のような器官で虫を捕らえるユニーク極まりない植物です。
東南アジアを中心に中国南部からオーストラリア、マダガスカルにまで分布し、種類数が100を超える食虫植物の中でも大きなグループですね。
しかも自生地が熱帯雨林ということで前人未踏の土地に生えているものも数多く、現在でも新種の発見が相次いでいるという夢とロマン満載のミステリアスな食虫植物です。
このアラタという種はフィリピンの島々に広く分布する中型のネペンテスで、日本でも最も普及しているポピュラーな種です。
ヒョウタンウツボカズラという和名の通り、まるで瓢箪かフラスコのような下膨れのピッチャーが何とも特徴的な種類ですね。
産地によって様々なタイプや変種があり、中には真っ赤なものやマキシマのようなマダラ模様のある個体も見られます。
これは最もよく見られるグリーンタイプのアラタで、一昔前まではヒブリダという名で交配種として流通していたものです。
しかし最近の調査で交配種ではなくミンダナオ島産のアラタだということが判明したらしく、今ではヒブリダという呼び名は使われなくなりました。
グリーンタイプと言いつつ陽に当てると若干の赤みを帯び、場合によってはかなり赤みの強い袋を着けることもあります。
日陰で出来たピッチャー。緑一色です。
日に当たったピッチャーはこのように赤く色付きます。
全体像。
現時点で芽数は10本くらいでしょうか。
愛好家からすればありふれ過ぎてあまり興味の湧かない種類かもしれませんが、調子がいいと20cmくらいの袋を着けることもあり着袋数も多いので結構見応えのある種類だと思いますね。
ネペンテスの中では冬の寒さにも強い方なので、特別な設備がない一般的な家庭の環境でも十分に育てられます。
むしろ夏の暑さがあまり好きではないようで、夏バテするというほどではないですが我が家ではお盆の頃になると袋を着けなくなったりすることがあります。
普及種ですが実は何気に高山性なんじゃないの?って感じがするのですが、どうなんでしょう?
まぁ高山性というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、性質的には低地性のグラシリスやラフレシアナとかよりも高山性のベントリコーサに近い感じがします。
とは言え成長も速いし切れば切っただけ増えるような奴なので、春~秋の間はほとんど雑草のような勢いで繁りますね。
生育期間中は本当に面白いように茎を伸ばすので、1シーズン育てれば倍くらいの草丈になります。
ネペンテスは生長の遅い種類が多いので、これだけ生長が速い種類だと育てていて楽しいですね。
ただし我が家では冬場室内に取り込む時に伸びすぎた枝を切ってしまうので、草丈自体はあまり高くなりません。
今年は趣向を変えてポトスみたいに支柱を立ててタワー仕立てにしようと思うので、茎は切らずに伸ばせるだけ伸ばしてみるつもりです。
昔植物園で茎の長さが4mほどで大きなピッチャーを鈴なりに着けた見事なアラタを見たことがあり、出来ればそういう立派な株に育てられればいいなと思いますね。
ただ育てるだけでなくアラタの長所である強健さと生長の速さを活かし、一風変わった観葉植物として飾り方にも工夫してみたいと思います。