(ど……どうしたらいいんだろ……)
修学旅行で京都に来てたはずだったのに、古道具屋さんを見てて、友美にからかわれて、カメラが光った瞬間、全く違う町になってて……
そしたら「そうじ」って人と「ひじかた」って人にこんなところ連れてこられて……
(……翔太君……どこいっちゃったんだろ……)
怖いよ…… 怖いよ……
誰か……助けてっっ……
??「―ー―邪魔するよ」
私は驚いて顔をあげた。驚いたのは私だけではなかった。
入って来たのは、あの古道具屋さんを出て、最初に会ったあの人……
「ああ、いたいた。乱暴なことはされなかったかい?」
「けいき」さんと呼ばれたその人は、私を怪しんでいる周りと違い、優しい笑顔を向けてくれる。
「この娘を俺に預からせてほしいって思ってさ」
「な……っっ?!」
「……いいよね?」
日本人にしては薄い色素の髪と瞳。
猫のような瞳をした彼は、優しい笑顔と凛とした声で、周りの反発を押さえ込んだ。
ねぇ 君は確かに 突然現れ 私の手を取って 歩き出した
そして少し笑って大丈夫ってうなづいて 私の暗闇に光さした
君は背に天使の羽をもつ
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あれからもう、いくつの時間が流れたんだろう……
世は激動の幕末、ここに翔太君と飛ばされてきた私には一体何をする為にここにやってきたんだろう?
ただ……願わくば…………
新撰組の研ぎ澄まされた刃のように真っ直ぐな沖田さん
鬼と呼ばれても誰よりも仲間を想い、思慮深い土方さん
突然の変化にも負けず、時代を見て生き抜こうとする翔太君
憎まれても罵られても、人の上に立ち続け戦い続けた慶喜さん
大事な人のため己のすべてをかけてきた秋斉さん
仲間の為、師の為、そして己の志を貫く高杉さん
これからの日本の為、前に進み続ける龍馬さん
恩師の想いを継ぎ、自ら危険な立場となって仲間を支えた俊太郎様
ただ……願わくば………これ以上皆が心に傷を追いませんように……
この悲しき時代の犠牲者に
君はどうかならないでほしい
切なる思いが届くようにと
私は今日も祈るように歌う……