今回ほど、レビューを書くのが難しい作品はないでしょう。



ここであらすじを書いても、

観る側によっていろいろな解釈がありますので、

あまり書かないでおきます。



元刑事のクライン(ジョシュ・ハートネット)は、ある大富豪から

彼の行方不明の息子、シタオの捜索を依頼される。

クラインは、彫刻家の猟奇殺人犯を銃殺したのだが、

殺人犯に同化してまで追い詰めたことによって、

精神を病んでしまい、今でもその幻影に憑依されている。



シタオ(木村拓哉)は、大富豪の息子であるが、

フィリピン、ミンダナオ島で、”死と復活”を遂げていた。

彼は、他人の「傷」を引き受ける特殊な能力を身につけていた

のである。



裏社会で恐れられているマフィアのス・ドンポ(イ・ビョンホン)は、

部下の造反に遭い、溺愛しているリリを連れ去られてしまう。




■Jewel Box■
      ■Jewel Box■
               ■Jewel Box■


上映前の”美しい男たち”というイメージで行きますと

かなり印象が違うことを、予め言っておきます。



クライマックスでの木村クンは、

これがジャニのアイドル?というくらい、

今までの彼を払拭させるほどの演技でしたね。



イ・ビョンホンは、冷酷で残忍なマフィアなのですが、

なぜか、リリを溺愛している。

その理由は、描かれていませんでしたが・・・。

そんなクールな彼が、最後で流す涙。。

ファンの方でしたら、たまらないのではないでしょうか。

(『インファナル・アフェア』のような、残虐さでした・・・カゼ



トラン・アン・ユン監督の描く世界は、

「十字架」、「水」、「泥」といった、宗教と癒しのモチーフが

ところどころにあらわれています。



また、オーバーラップを使った映像、アジアの音楽とが

合致して、より叙情的な感じになっています。



ある意味、宗教、または芸術色の濃い作品だからこそ

表現がかなり偏っているのだと思います。




次回作は、村上春樹氏の『ノルウェイの森』の映画化

ですが、どんな感じで描かれるのか興味ありますね。





              十字架