今回ほど、レビューを書くのが難しい作品はないでしょう。
ここであらすじを書いても、
観る側によっていろいろな解釈がありますので、
あまり書かないでおきます。
元刑事のクライン(ジョシュ・ハートネット)は、ある大富豪から
彼の行方不明の息子、シタオの捜索を依頼される。
クラインは、彫刻家の猟奇殺人犯を銃殺したのだが、
殺人犯に同化してまで追い詰めたことによって、
精神を病んでしまい、今でもその幻影に憑依されている。
シタオ(木村拓哉)は、大富豪の息子であるが、
フィリピン、ミンダナオ島で、”死と復活”を遂げていた。
彼は、他人の「傷」を引き受ける特殊な能力を身につけていた
のである。
裏社会で恐れられているマフィアのス・ドンポ(イ・ビョンホン)は、
部下の造反に遭い、溺愛しているリリを連れ去られてしまう。
上映前の”美しい男たち”というイメージで行きますと
かなり印象が違うことを、予め言っておきます。
クライマックスでの木村クンは、
これがジャニのアイドル?というくらい、
今までの彼を払拭させるほどの演技でしたね。
イ・ビョンホンは、冷酷で残忍なマフィアなのですが、
なぜか、リリを溺愛している。
その理由は、描かれていませんでしたが・・・。
そんなクールな彼が、最後で流す涙。。
ファンの方でしたら、たまらないのではないでしょうか。
(『インファナル・アフェア』のような、残虐さでした・・・)
トラン・アン・ユン監督の描く世界は、
「十字架」、「水」、「泥」といった、宗教と癒しのモチーフが
ところどころにあらわれています。
また、オーバーラップを使った映像、アジアの音楽とが
合致して、より叙情的な感じになっています。
ある意味、宗教、または芸術色の濃い作品だからこそ
表現がかなり偏っているのだと思います。
次回作は、村上春樹氏の『ノルウェイの森』の映画化
ですが、どんな感じで描かれるのか興味ありますね。