バングラデシュ人のL君(仮名、25歳くらい)は、同国の仲間とアパートに共同で住み、路上で物を売って仕事している。
兄の結婚のため、国に帰るのに1ヶ月休暇をとり、1週間後に出発の予定だった。
バングラデシュの結婚はかなり派手で大掛かりなものらしい。animaさんのブログ でもありましたが。

ところが、L君、大変なことになったそうだ。
家が泥棒に入られ、スーツケースごとなくなったらしい。
被害はパスポート、滞在許可証といった重要書類や、チケットを買うための現金、お土産に買った数々。(もともと出稼ぎにイタリアに来ているから、そのお土産には奮発して大金をかけている。)
また、親からもらった大事な物や、思ったこと、いろんなことを書いてきた、美しい日記や、お金で買えない大切な品々.....
一緒に住んでる他の仲間は被害にあわず、L君だけなのだと。
「そりゃ、おかしいよ。普通の泥棒だったら、他の人からも取るでしょう?まして、現金だけとかならともかく、スーツケースや書類までとっていくなんて。」
「そう思う。でも皆、何も知らないって言うんだ。」
仕事も順調で、国に帰ろうとしているL君への"やっかみ"なのだろうか。
「気持ちわかるよ。私も、何度も泥棒にあったし、家でもあったよ。一緒に住んでた人たち、すごく信頼してたから、疑いたくなかったけど、他には考えられないし、ほんと、ショックだったわ。」というと
「僕だって、仲良くやってたし、ご飯も一緒に食べて、全く疑ったことなかったんだ。この先、どう人を信用していいか、わからないよ。」と、かなり落ち込んでいた。
2,3日後、「それで、国には帰れるの?」と聞くと、
「パスポートは大使館ですぐに発行してくれるんだけど、滞在許可証は半券(オリジナル受け取りの引換券)をくれた。オリジナルは3週間後にできるというから、出発には間に合わない。
警察では半券のまま、出発できるというんだけど、いざ出国や、帰国の時にだめって言われるのが怖いんだよね。」と言っていた。
つづく