日本ではまず売っていないけど、イタリアではスーパーや薬局で普通に手に入る。
こんなに簡単に手に入って麻薬に使われるんじゃないかと思うところだけど。
修復のときに注射器を使う。油絵でも板絵(テンペラ画など)でも木材家具でも、フレスコ壁画でも、大活躍。
内側と表面をくっつけたり、すかすかになっている内側を補強するためだ。(注入するものは、その時に応じて違う)
詳しくはホームページの修復のページに書いています。
http://www.geocities.com/meixi_song/restauro/restauroJ.html
バチカンで修復の研修期間のとき、天井画のため、高いところでこの作業をしていたのだけど、手がすべって(ゴム手袋だったし、注射器の中身も乳液状のものだったので)注射器を落としたことがあった。
下は観光客が歩いているのに。幸運にも誰の頭にささらなかった。皆初心者だったので注射器を落としたのも私だけではなかったし、その他にも水をこぼしたりとか、いろいろありました。
私は修復のとき以外に日常注射器を使う使い道が思い当たらないのだけど、イタリア人は特に医学部や看護学校を出た人でなくても、一通り緊急処置や注射、採血を学校で勉強したりもするらしい。
インフルエンザの予防注射くらいなら病院に行かなくてもできるらしい。
日本で修復をされている先生と話したところ、日本では注射器が売ってないので、かかりつけの病院のお医者さんからゆずってもらうのだとか。
イタリアにいると、いろいろ物がなくて、日本は何でも手に入る、と感じることが多いけど、ときどきこういうこともあるんだな、と思った。