『耳切れ』はアトピーにあらず | ゆら小児科クリニック院長のブログ

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神戸市東灘区御影にある小児科・アレルギー科の”ゆら小児科クリニック”です。
アレルギー外来・予防接種外来・乳児健診外来・食物経口負荷試験外来があり、ネットによる予約システムを導入しています。

また、一段と冷え込んできましたね。 

空気も乾燥してきました。

加湿など、風邪対策に気を使いましょう。



今日の話題は、赤ちゃんの耳切れ です。

 

『薬を塗ると治るが、またすぐに切れる』や、『アトピー性皮膚炎では?』と不安になって受診されます。

 

確かに、一般的にアトピー性皮膚炎を疑う初期症状の一つとして耳切れが上げられていますし、実際にアトピー性皮膚炎で見られる症状です。

 

でも実際のところ、『耳切れ』を主訴に受診されるほとんどが耳切れ=アトピー性皮膚炎ではありません。

 

『耳切れ』を主訴に来院したこどもを見ると、顔や耳たぶに湿疹があって、他の部位(体や四肢)はすべすべであることがほとんどです。

耳だけ湿疹がある場合も多いです。


『他の部位がすべすべ』であれば、アトピー性皮膚炎の可能性は低いでしょう



ただ、『すべすべ』の判断は、保護者の方の判断はあまい場合が多いので、必ずこどものアトピー性皮膚炎を見慣れた医師の判断が必要です。



 

では、『耳切れ』の原因は何でしょう


 

最大の原因は、顔 や耳

『汗・皮脂・よだれなどの汚れがちゃんと洗えていない』

です。


 

特に耳は、皆さんが考えている以上に汚れています。

 

例えば横を向いている時に泣いたら、涙が耳に流れます。

 

よだれも同じです。


 

そのよごれが、ちゃんと洗い落とされずに残り、皮膚がかぶれているのです。



また、赤ちゃんの皮膚が乾燥しやすいことも原因の一つでしょう。

皮膚に乾燥があると、かぶれやすくなります。



 

では、どうしたら耳切れを防ぐことができるでしょうか

 

それは

  石けんをしっかりと使って洗うこと

  皮膚の乾燥を防ぐ


です。


 

 について

確かに、耳は洗いにくいですよね。

 

では、洗うポイントです。

 

 石けんは泡で出るポンプ式液体石けんがお勧め

固形石鹸を使う場合は、泡出てネットを使って、しっかり泡出てましょう。

ガーゼなどに石鹸を付けて洗うのではなく、『泡』で洗います。

 

 泡を使って耳の表面と耳の後ろをしっかりと洗います。

 


 シャワーを直接かけるか、びしょびしょに濡らした(水がしたたる)タオル で拭き流し、石けんの泡をきれいに洗い流します。


石けんをしっかり洗い流すことも重要です。

石けんは意外と皮膚に残ります。

お風呂場って、よく洗い流しても、石けんかすがこびりつきますよね。   あれと同じです。

 

と、ここまで話すと『耳の穴に水が入って大丈夫 ?』って心配になりますね。

 

大丈夫です。



実際は、そんなに水が入ることはないでしょう。

 

入ったとしても、赤ちゃんはすでに鼓膜は出来上がっていますから、何の問題もありません。


おへそに水が入ることと同じです。

 

お風呂場から出た後に、綿棒で耳の中を掃除してとってあげれば十分です。



 について
 これは、保湿剤を予防的に塗ればいいでしょう。



以上です。


それでも『耳切れ』になってしまったら、薬を塗らないと治りませんから、塗り薬の処方を受けてください。