昨日花を買いに行った。
ゆにの命日は今日なのだが、仕事で遅くなるので、1日早く供花した。
ゆにの祭壇にはいつも花を欠かさないのだが、花屋さんには特にこだわってはいない。
でも命日の花は特別。
値段は高めだが、品揃えもセンスもいい花屋さんへ…。
何にしようか考えていたら、目に飛び込んできた花が!
白くて可憐な花。
葉を見るとバラのようだが…。
店長さんに尋ねてみると、やはりバラであった。
ジャパネスク・ニキータという品種らしい。
珍しい花なので、普段はめったに入らないそうだが、この週末にウェディングの依頼があった為、特別に入荷されたとのこと。
元々一重のバラは好きなのだが、ニキータは優しい華やかさもあって、もう一目惚れしてしまった。
大好きな花が一つ増えた。
ニキータに、水色のラクスパーを合わせて花束を作ってもらった。
素敵に束ねられた花たちを見ながら歩いていると、不意に涙が出てしまった。
その花束はまるでゆにのようだったから。
白くてふさふさの毛、青い瞳…。
2年経っても、会えない寂しさは癒やされることはない。
そんなゆに母を、しょうがないなぁって思って、ゆにがニキータに巡り会わしてくれたのかもしれない。
ゆに、母は大丈夫だよ。
久々のブログ更新である。
ゆにが亡くなってから早くも10ヶ月が経った。
それでもゆに母は、彼がいなくなったことからまだ立ち直ってはいない。
生活はいたって普通である。
面白いことがあれば声を出して笑うし、遊びに行ったりもするし、欲しい物や食べたい物だってちゃんとある。
時間は至極スムーズに流れていく。
しかし何かが欠けているのだ。
今年は去年ほどではないが、それでも暑い日が多い。
その暑さは、ゆにの記憶を鮮明に呼び起こす。
ゆには去年の夏から介護が必要となった。
寝たきりになったのは10月だが、トイレの回数が激増したのだ。
腎機能低下による、尿量の増加が原因である。
多い時には一時間に一回トイレに出してやらないといけなくなった。
尋常ではない暑さの中、既に足腰が弱ったゆにが階段を上り下りして外に行くというのはかなり大変だった。
そのうち間に合わなくて途中で漏らしてしまうことも増えた。
なので、必然的にトイレは母がゆにを抱いて行くこととなった。
腰痛持ちのゆに母にはかなり厳しい作業だったが、それでも外でちゃんとトイレがしたいというゆにの意志は尊重したかった。
また、それまで一年近くも自力で食べていてくれたのが、いよいよ食べなくなったのも夏である。
強制給餌をせざるを得なくなり、団子が再開された。
ゆに自身の状態が悪化したのも暑くなった頃だった。
血液の数値はどんどん悪くなり、貧血対策として造血ホルモン剤の投与も始まった。
精神的に追いつめられていく日々。
そんな訳で、ゆに母の一日の時間はほぼ全てがゆにに使われるようになった。
心も体もゆにの為に動く。
意識はしていなかったが、そんな日々があの暑さと結びついて脳に刻まれたのだろう。
やはり五感と連動した記憶というものは強烈である。
暑くなってからというもの、頻繁にゆにのことを考えている。
春頃も思い出さない日はなかったが、今ほどではなく、少し立ち直ってきたのかなとも思っていた。
しかしそうではなかったようである。
最近は時に生々しいほど、まるでついさっきの事のように記憶が蘇ることもある。
かと思えば、ゆにがいたのは夢だったように思えてしまう、いつもの状態に戻ることもある。
さっき携帯電話で撮った写真を見ていたら、ちょうど一年前ぐらいのものがあったので、ここに載せてみた。
祖母のお墓参りに行った時のものだ。
まだ去年の今頃は一緒に出掛けられていたのか。
そう考えると、目の奥がじーんと痛くなってくる。
どうやら立ち直るのはまだまだ先のことのようだ。
これから涼しくなっていくにつれて、より辛かった時期の思い出が蘇ってくることだろう。
でもこれも必要な過程なのだ。
急ぐことなく、ゆっくりじっくり消化していこうと思う。
曇っていた空が晴れてきて、黙っていた蝉が鳴き始めた。
暑さはまだ続くようだ。