小さな大学町ブルーミントンにいた時、ギリシャ文字が書かれた建物や、特定のギリシャ文字が書かれたTシャツやトレーナーを着ている学生たちのグループをよく見かけ、いつも「何だろう?」と不思議に思っていた。


その謎がこの夏、ようやく解けた。


Middleburyで過ごしていた時の事。

ブルーミントンで大学時代を過ごしたとある友人が、例の「ギリシャ文字トレーナー」を着ていたため、


「前から謎だったんだけど、これって何?」


と聞いた所、


「ちょっとこっちへ。」


と人気のない所に連れて行かれた後、小声気味に教えてくれた。




アメリカの大学には「フラタニティ」、「ソロリティ」と呼ばれるそれぞれ男子、女子のグループがあり、

各グループがその文字の書かれた校舎(寮)にて共同生活をしつつ、社交、奉仕活動やらに力を入れているのだとか。


「私達はこのグループにとても誇りを持っているの。」


と、話す彼女の顔は実に誇らしそうで、内実を聞いていくうちに大笑いしたくなるのをグッと堪える必要があった。



どうやらそういうグループに入るってのもなかなか大変で、

ルックス、成績、ボランティア歴、スポーツ・・・等などを現行メンバーに審査され、許されたものだけが入れるのだとか。

で、白人率が高いインディアナ大学のソロリティはもちろん、金髪、青目、同じような服の趣味・・・といった人間しか入れない、という所が多いらしい。

で、大して信心深くもないくせに、キリスト教の人間しか受け入れない。


教えてくれた彼女も金髪、青目、「いわゆるアメリカ大学生の服装」だ。(写真中央)


yunのブルーミントン日記

そんな感じでアメリカ差別主義がモロに現れるソロリティであるが、

(ちなみにインディアナ大学には相当量の中国&韓国系アメリカ人大学生、中国人大学生がいるのだが、彼らは同じアメリカ生れでもそういう組織にはなかなか入れないらしい。)


さらに気色悪い特徴も持つ。


一言で言えば、「よう分からん秘密主義」。

メンバー内のみが分かる言葉、唄、握手の仕方などが存在し、それを見聞きして同じメンバーである事を確認したり、一体感を得たりしているらしい。


で、入会の際には、


「儀式」


が存在し(当然、「秘密の」。内容は教えてくれない。)、その中で団体への忠誠を誓う


その団体を表すギリシャ文字には、団体の人間しか分からない


意味(少し宗教的な意味も含まれる)」


が存在。この「意味」ももちろん秘密。


この秘密達は絶対であり、家族にも彼氏にも決してバラさない。

何十年後に孫とかいるおばあさんになっても秘密は守り続け、たまにある同窓会で同じ握手を交わし、唄を歌い、新旧メンバーが交流を深めたりするらしい。


気持ち悪い。


ちょうどこの話をきいた時、世界の犯罪組織についての授業を受けた後だったので、

授業中に先生が言っていた


「(世界の犯罪組織の共通点は)入会の際の儀式、宗教との関連性、そして秘密主義である」


という言葉とシンクロする。


さらに言うと、アングロサクソンが大好きなフリーメイソン的な要素でもある。


気持ち悪い。


「私達、最高!!」と異様なテンションを保ち、秘密を沢山もった中で、女子だけ何十人も一緒の寮生活。


一体何が楽しいのだろう。



頑張っても理解する事は出来ないが、もしかしたら自分のアイデンティティを必死で創りあげなきゃ、という多民族国家アメリカ人なりのアガキの一種なのかもしれない。

見た目も違う、家族の歴史もバラバラ、言語まで違うような人間たちが「アメリカ人」になるためには、やはりダッサイ星条旗の髪飾りやらTシャツやらを身に付け、どこでもかしこでも国家を大声で歌い、「アメリカ最高!」と叫び、アメリカがヒーローな映画を作り続けないといけないのかもしれない。


そんな中、学生たちもどこかに確固たる「居場所」を見つけ、同じような人間の中に埋もれていないと自分が何なのか分からなくて不安、


という感情があり、皆がそういう団体に属したくなるのかもしれない。


↑無知なくせに偉そうに自論を述べてみましたが、要は、



生活レベルに差もあり、メディアや政治家に左よりの意見も多い中で恐らく世界で唯一「母国を恥ずかしく思う」と言ってしまう国民も存在し、天然資源も少なく、地震や台風に怯えながら暮らしている我々だが、


何は無くとも「私は日本人」と無理せず自然に思える私達は幸せなのかもしれない


日の丸を掲げただけで、君が代を歌っただけでバッシングされるビックリな国。

バッシングしているありえない人達も、ちゃっかり「私は日本人」というアイデンティティは持っており、日本人であるがゆえの恩恵は受けている。



そんな事まで考えさせられた、カルチャーショックなアメリカ大学の実情でした。