山田太一の傑作「早春スケッチブック」

BS12で再放映されている。毎週月曜、19:00

 

「お前らは骨の髄までありきたりだ!」

山崎努が演じる沢田竜彦の言葉が平穏な日常を切り裂く。

高校3年の和彦の母は、10年前に再婚した。

母には小2の和彦、父には2歳の良子がいた。

それが今の望月家、平凡な家族だ。

死んだと言われていた実の父が

高校3年となった和彦の前に現れる。

和彦の現在の父は、実直な信用金庫の渉外課長。

取引先に頭を下げながら、

仕事一筋、家族のために生きてきた。

一方、実の父は、自由奔放に生きてきたフリーカメラマン。

普通の生き方を蔑視し、魂を震わすような生き方を問う。

二人の父の生き方に触れ、その狭間で揺れる和彦とその家族の人生模様。

生きるということについて、鮮烈な問いかけがある。

30数年前の作品だが、その問いかけは、今でも瑞々しい。

現代の若者たちにもぜひ、見てもらいたい傑作だ。

「早春スケッチブック」(昭和58,フジTV)

脚本:山田太一、音楽:小室等、キャスト:岩下志麻、山崎努、河原崎長一郎、

鶴見辰吾、二階堂千尋、樋口可南子、荒井玉青