Y-Y03 尹秀珍(イン・シウジェン) ワン・センテンス ヨコハマトリエンナーレ2011
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR のレポートです。
作品番号 : Y-Y03(仮)
作家名:尹秀珍(イン・シウジェン) 【中国】 1963年 北京生まれ。首都師範大学美術学院油画科卒。北京在住。
作品名:ワン・センテンス
フィルム缶、布 used clothes, stainless steel
制作年:2011年
関連サイト http://shinwaart.blog43.fc2.com/blog-entry-179.html
http://www.alexanderochs-galleries.com/front_content.php?idcat=160&idart=416
Yokohama Triennial 2011 OUR MAGIC HOUR
Artist Name: Yin Xiuzhen 【China】
TITLE: One Sentence
http://www.culturebase.net/artist.php?1293
横浜美術館の正面エントランスを抜けると、中心にこの作品が展示されていました。
イン・シウジェンは、中国現代アート界において、数少ない女性の成功者です。
彼女は2010年に、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、中国人女性として初の個展を開きました。
まずこの作品の全体フォルムを見てください。これは2階バルコニーから見下ろしのショットです。
布の入ったフィルム缶が、渦巻き状にぐるぐると配置されています。
衣服を細く裂いた布をぐるぐる、そしてその缶の配置もぐるぐる、その中を見学者はぐるぐる歩きます。
始点は上の写真だと左上の外側で、手前に回って来て、右下のところから渦巻きの中心へと入ります。
中央まできたら今度は外に向かい、右下の外側がゴールです。
フィルム缶は108個あります。この数は仏教における、煩悩の数と一致しています。除夜の鐘の数ですね。
フィルム缶に入っている布は、ひとりの着衣を全部ほどいて、テープ状にし、順番に巻いてあります。
帽子から靴下まで、下着も全部です。ジッパーなども見えます。
缶の大きさは大きいものも小さいものもあり、缶のフタには、着衣の種類が漢字で書いてあります。
映画フィルムの缶に入った衣服が並んでいるのは、
まるで、108人それぞれの主演映画が存在するかのようです。
108の物語です。
イン・シウジェンは、文化大革命の3年前に生まれました。
1966年から1978年まで、毛沢東が推進した文化大革命は、文化を弾圧し、エリートが処刑されました。
成人男性のほとんどは人民服を着用していました。女性も多く着ていたそうです。
毛沢東の死後、1978年から鄧小平政権となり、資本主義ルールが一部で導入されました。
しかし、1989年の天安門事件が示すように、鄧小平の改革は経済活動だけに限定されていました。
中国には言論の自由がなく、真の民主主義ではないことを、世界中が目の当たりにした事件でした。
この時、イン・シウジェンは26歳で、学校の美術教師をしています。
資本主義的経済が導入された後に生まれた世代は、1980年の後という意味で「80后」と呼ばれていますが、
中国人は、毛沢東時代に育ったか、鄧小平以後に育ったかで、ものの考え方が全然違うのです。
中国現代アートを見る上で、この歴史の流れはとても重要なポイントです。
イン・シウジェンは、毛沢東時代に育っていますが、成功者となり、国際的な視野も持っています。
この作品は、現代の中国人が多様なファッションを選べるようになった、そのことが、
人民服時代には無かった煩悩を生んでいる様子をヴィジュアル化しているのです。
イン・シウジェンは、夫のソン・ドンとの合作を、日本郵船倉庫に出品しました。
中国では、美大に入学するだけで数千倍の入試を突破しなければならないそうです。
美大に合格したというだけで、もう、かなりのエリート!
世界的成功を収めたアーティスト夫婦はきっと、全中国アート界の「憧れカップル」なのでしょう。
使用機器:OLYMPUS E30
撮影日:2011.8.15.
撮影地: 横浜美術館 〒220-0012 横浜市西区みなとみらい3-4-1
Photo:松本由歌子
作品の場所へのアクセス
みなとみらい線「みなとみらい駅」 5番出口
又はクイーンズスクエア連絡口 徒歩5分
JR線、横浜市営地下鉄線「桜木町駅」 徒歩10分
地図のリンク
ヤフーマップ 【ここをクリック】
マピオン 【ここをクリック】
マップコード 8 736 391*36
ヤフー路線検索(乗り換え) http://transit.map.yahoo.co.jp/
ヨコハマトリエンナーレ2011 他の作品記事は、こちらのリンクからどうぞ!
http://ameblo.jp/yukko-i4r/entry-10979492016.html
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?ー
YOKOHAMA TRIENNALE 2011 OUR MAGIC HOUR - How Much of the World Can We Know? -
会期 2011年8月6日(土)~11月6日(日)[休場日:8月、9月の毎週木曜日、10月13(木)、10月27日(木)] ※
開館時間 11:00~18:00 ※入場は17:30まで
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
特別連携プログラム:BankART Life Ⅲ(新港ピア)、黄金町バザール2011(黄金町エリア)
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