K-16 さとうりさ メダムK 高架下新スタジオ(空地) ヨコハマトリエンナーレ2011 黄金町
特別連携プログラム「黄金町バザール2011」
作品番号 : 16- (仮)
作家名:さとうりさ 【日本】 1972年東京生まれ。 1999年東京芸術大学大学院修了。
作品名:メダムK
制作年:2011年
関連サイト http://www.risacan.com/
http://www.youtube.com/watch?v=QmYjNhBAS7A
ボア、ウレタン、糸
Yokohama Triennial 2011 OUR MAGIC HOUR
Artist Name: Risa Sato 【Japan】
TITLE: Mmes.K
京急線の高架下スタジオの空地(2012年に何か建築されるらしいです)に展示されている作品です。
さとうりさ さんは、黄金町若手アーティスト向けのプログラム「アーティスト・イン・レジデンス」に賛同して、
2010年から横浜の地に住み、制作活動をしています。
「メダムK」の「メダム」とは、「マダム」の複数形で、Kは「黄金町」の頭文字です。
つまり「黄金町の女たち」を意味しています。
戦後から数年前まで、黄金町は娼婦街でした。
大きく股を広げて、「待ち」状態にある、顔のない人形は、娼婦たちをイメージしています。
娼婦を求める男の生理は、切ない。
普通の女性は、というか動物のメスは皆、心のつながりを大事にします。
心が受け入れた異性に対しては体も開く。そこには性の快楽も付随するけれど、
逆にそうでない相手に触れられると、物理的暴力よりも大きな苦痛を受けてしまうのです。
つまり、好きな人には抱きしめられたいけれど、嫌いな人と同じ空気を吸うのもイヤ!
だから、大部分の女性にとって、売春は、心を蝕まれて、人格崩壊につながる危険をはらんだ仕事です。
売春をしながら自己崩壊なく生きていくには、「その時だけ」心を空っぽにするか、
「ある種の悟り」が必要なのではないでしょうか。
その「悟りの正体」は、男性を「困った小さなぼうや」と認識して母性で包み、許す博愛かも知れません。
「メダムK」の濃紺ボア生地は、真夜中の空の色です。どこまでも終わりのない宇宙です。
そして、ふかふかで優しいボディは、「許し」の象徴です。
娼婦とは、「許す女」のことなのかなと、作品を見て感じました。
巨大な体は、包容力を感じさせます。
縫い付けられた、たくさんの小さな鈴は、キラキラと夜空に輝く星です。
作品が展示されている空間は、鉄板で囲まれた「無」の空間です。
一年もしないうちに、整然とした施設が作られて、消えてしまう
・・・そんな場所に、幻の様に存在する「メダムK」は、自由に触れる事を「許す」数少ない作品です。
そのボディは、どっしりと存在感があるようでいて、
不思議な透明感があります・・・「銀河鉄道999」の車掌さんに通じるような。
かつて黄金町に存在した娼婦街は、繁華街にある風俗エリアなどとは異なる、犯罪の温床だったそうです。
働いていた女性たちもきっと、騙されて連れて来られて、他の人生が選べない人たちだったのでしょう。
そんな怖い街は消滅した方がいいし、戦前に問屋街だった頃からの地元の方々は忘れたい歴史だと思います。
さとうさんも、作品を作る上で葛藤があったようです。
私は、この「メダムK」という作品は、ここに住んでいた女性たちの、悲しみと優しさの記憶を、
ファンタジーとしてうまく昇華させていると思いました。
二度と繰り返したくない物語だけれども、女性たちはきっと無実で、さとうさんも私も女性で、
だから負の歴史であっても、もう終わってしまったことであっても、
「鎮魂の祈り」を捧げたい気分にさせられるのかもしれません。
もうひとつの作品は、こちらです。
K-8 さとうりさ the bottom
http://ameblo.jp/yukko-i4r/entry-11105465838.html
※ヨコハマトリエンナーレ2011は閉幕しました。
作品の場所へのアクセス
京浜急行 黄金町駅 徒歩約10分
地図のリンク
ヤフーマップ 【ここをクリック】
マピオン 【ここをクリック】
マップコード 8 675 583*14
ヤフー路線検索(乗り換え) http://transit.map.yahoo.co.jp/
ヨコハマトリエンナーレ2011 他の作品記事は、こちらのリンクからどうぞ!
http://ameblo.jp/yukko-i4r/entry-10979492016.html
使用機器:OLYMPUS E30
撮影日:2011.11.3
撮影地: 高架下新スタジオ(空地) 〒231-0053 横浜市中区初音町1-21-7
Photo:松本由歌子
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?ー
YOKOHAMA TRIENNALE 2011 OUR MAGIC HOUR - How Much of the World Can We Know? -
会期 2011年8月6日(土)~11月6日(日)[休場日:8月、9月の毎週木曜日、10月13(木)、10月27日(木)] ※
開館時間 11:00~18:00 ※入場は17:30まで
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
特別連携プログラム:BankART Life Ⅲ(新港ピア)、黄金町バザール2011(黄金町エリア)
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