コラボ連載 『ONE STAR』  Boy's side 1 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

お友達のなっちゃんとコラボ連載を書く事になりました!!

前からなっちゃんとコラボしたいと思ってて、今回思い切ってラブコールしたところ快く引き受けてくれました♪

ありがとう!!


テーマとしては『こんな風に愛されたい!!』って思えるお話です。

ヒロインを好きで好きでたまらない!!っていうのを感じていただけるような話にしたいと思っています。


この連載は、キャラ視点とヒロイン視点で交互に書き進めていきます。

私が謙也(キャラ)視点。なっちゃんがヒロイン視点です。

Boy's side 1⇒Girl's side 1⇒Boy's side 2⇒Girl's side 2って感じですね。

読まれる方はあっち行きこっち行きで大変だと思いますがよろしくお願いします(苦笑)


あまり前置きが長くなるのもダルイと思いますのでこの辺で・・・。ww



ONE STAR Boy's side 1



テニスバッグを肩に掛けながら教室へと入れば、いつもと同じ騒がしい朝の光景が広がっている。
教室を行き来する人影を縫いながら、俺の視線はある場所へと向けられた。

窓側から数えて2列目。
後から数えて2番目。

そこにあいつがいる事を確認した俺の胸は、ドクンと大きく跳ね上がった。
徐々に体温が上昇し、むず痒いような、それでいてホッと安心するような・・・そんな感覚が胸を駆け抜ける。

よくもまあ毎度毎度同じ反応ができるものだと自分自身呆れながらも、甘ったるいその感覚が嫌いでもない。

ゆっくりとした足取りで、呼吸を整えながら1歩1歩近づく。
「おはよう」と挨拶してくるクラスメイトに「おう。」と返事を返しながらも、俺の意識は前方に向けられたまま。

距離が近づくにつれ早まる鼓動。
沈めるためというより、誤魔化すために拳で胸を数回叩く。

俺ってめっちゃ純情やん。と、自分自身へのツッコんでみる。
そやろ?俺もびっくりしたわ。なんて答えつつ、最後の一歩を踏み出した。



「あぁ、重っ。」
「アイタッ!」



わざとらしく振り回したテニスバッグがあいつの左肩にぶつかる。
大袈裟なリアクションと馬鹿デカイ声に周りのヤツが何事かと振り向いたけど、俺とあいつを目にして、「またいつものことか」とその視線は散っていった。



「なにすんねんな!!」
「おう、悪いなぁ。ちっこくて見えへんかったわ。」
「めっちゃ痛い。骨折れた。」
「嘘こけ!脂肪で痛みなんて感じんやろ!」
「うわっ。それセクハラやで。」
「アホか。そんな脂肪見せ付けられて、こっちがセクハラ受けてるようなもんや。」
「なにぃ!?」



怖くもない顔で睨んでくるあいつに、フンッと鼻を鳴らしあいつの隣の席に付いた。

窓際の後から2番目の席。それが俺の席や。
この席になった時はただ窓際でしかも後から2番目やなんてラッキーやと思った。
今は・・・・窓際云々よりも、こいつの隣な事がラッキーやと思ってる。

何かが頬に当たり、それが机に落ちた。
黒い小さな塊は、よく見て見れば消しゴムのカス。
それがどこから飛んできたなんて考えるまでもない。
隣に視線を向ければあいつが憎たらしい笑みを浮かべながら消しゴムを机に擦りつけていた。
そして出来上がったカスを指で丸めて俺の方へと投げ飛ばしてくる。



「ほんまお前はガキやな。」
「ガキにガキって言われたないし。」
「俺はお前より大人や!」



周りのやつらは「どっちもガキやろ」と思ってることやろう。
けど周りにどう思われようとよかった。
こんなガキみたいでアホみたいな会話でも、あいつと話せてる事が嬉しくてたまらん。
もっとかまって欲しくて、俺もあいつと同じ様に消しゴムを机に擦りつけた。


――― 佐藤 玲奈 ―――

いまさら言うまでもないことやと思うけど、俺の好きなヤツ。

小っこくて童顔で、最初小学生なんかと思ったくらいや。
そのくせ生意気で、憎たらしくて、まったく可愛くない女。
胸はペタンこやし、くびれもないし、フェロモンなんてもんはこれっぽっちも感じんようなおこちゃま体型。
顔かて特に美人でも可愛いわけでもなく、中の中くらい。
「ちっちゃ」ってイメージが強すぎて、顔まで印象に残らんようなそんなヤツ。

それがなんで『好きな女』になったんかは俺にも不明や。

好きやと気づいたきっかけは、あいつが風邪で3日間休んだことや。
朝のHRで欠席と聞いた時、今日は1日静かに過ごせるわ。俺はそんな風にさえ思っとった。
放課後になって、なんやもの足りん1日やったな・・・と思ったけど、それがあいつがおらんからやなんて思わんかった。
2日目。誰もおらんあいつの席を見て、「つまらんな。」と無意識につぶやいる俺がおった。
別にあいつがおらんかてええやないか。なにがつまらんねん。
慌てて否定してみたけど、気がつけば誰もおらんあいつの席を見とった。
3日目はもう否定しようもないほどに、俺の頭ん中はあいつの事でいっぱいやった。
けどそれが『好き』と言う感情やとはまだ気づかんかった。いや、認めきれんかったんやと思う。
4日目。いつもの席にあいつの姿を見つけて、俺の足が止まった。
足が止まったかわりに、鼓動は猛スピードで駆け出し俺の胸を揺らした。
なにときめいてんねん。
自分の胸にツッコンでみたけど、ボケる余裕なんてないほど俺は舞い上がっとった。
あいつが来た。あいつに会えた。それが嬉しくてたまらんかった。

まぁこんな感じで自分の気持ちに気づいたわけや。

意識しだしてから、俺の目にに映るあいつは一気に変わった。
ちっこくて童顔なんは相変わらずやったけど、それが可愛くて守ってやりたくなった。
寸胴体型でドラム缶にしか見えんかったのに、どこをどう見ても女にしか見えんくなった。
一般的に普通の顔が、俺にはその辺のアイドルよりも可愛く思えた。

俺って重症やん。

自分自身の惚れっぷりに苦笑いする事もあるけど、『恋する俺』が嫌でもない。
あいつ次第で左右される感情も、恋してる!って感じで意外と楽しい。
そんなこと思ってるなんて、絶対誰にも言えんけど・・・。





飯や飯!!と駆け込んだ食堂で白石と本日のお笑い定食を頬張っていると、食堂の右奥に佐藤がおる事に気づいた。
一瞬箸が止まった事をこの包帯男が見逃すはずもなく、すぐに俺の視線を辿りあいつを見つけ出してしまった。

意味あり気に笑う白石に、こっち見んなと味噌汁を飛ばす。
顔面にかかった味噌汁を拭う姿でさえかっこよく見えるのが腹立たしい。

米を掻き込みながら茶碗から少し覗かせた目であいつを見る。
友達と楽しそうに笑うあいつの笑顔に胸の真ん中らへんがキュッと締まった。



「そんな覗き見みたいに見んでも・・・。堂々と見ても気づかへんで?」
「そんなんわかってるわ。」



俺がどんなに熱い視線を送ろうと、あいつはこれっぽちも気づきよれへん。
そんなこと他人に言われんでも俺が一番ようわかってる。

気づかれたら気づかれたで焦ってしまうんやろうけど、ちょっとくらい俺の視線に気づけと思ってしまう。

ぶすっとした顔で茶碗についた米粒を寄せる俺に、「ほんま謙也は可愛えなぁ。」と白石が笑う。
男が可愛いとか言われても嬉しないわと白石を睨みつけ、最後の一粒を頬張った。



「イグアナにしか恋できひんのちゃうか思ってたけど、ちゃんと人間に恋できてお兄ちゃんは一安心や。」
「誰が兄貴やねん。」
「あの子相手じゃゴールまでの道は程遠いやろうけど、相談ならいつでも乗るからな。」
「ほっとってくれ。」



ありがた迷惑じゃと思いながらも、痛い所を突かれたなとも思った。

確かに、恋のゴールは今の所見えそうにない。
見えへんというよりも、ないのかもしれん。

あいつにとって俺はクラスメイトで、隣の席のヤツ。
よう言うて『友達』って所やろう。
けどただの『友達』や。
そこに『男』はつけへん。
あいつにとって俺は『男』やない。
それは俺だけやなく他の男もそうで、あいつが異性と認識してるヤツはおらんように思う。
それをよかったと喜ぶべきか、悲しむべきかはわからんけど・・・・。

そんな幼稚園児相手の恋愛やから、前に進む事もなければ後に下がる事もない。
変化があるとするならば、それは俺のあいつへの恋心の大きさやろう。
同じ位置にながらも俺の想いは膨らむばかり。

前へ進みたいとは思うけどどうすればええんかもわからんし、無理に一歩踏み出すことで今の関係が崩れるのも怖い。
俺の恋はいつかちゃんとゴールする事ができるんやろか・・・?


無邪気に笑いながらとんかつに噛り付く佐藤を見つめながら、俺は大きな溜息を落とした。

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恋する謙也があまりに乙女で、自分で書いておきながらくすぐったくなりました(笑)


次はGirl's side です。

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