朝/菊丸英二   | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

始まりの朝




「あんた何してんの?早く行きなさいよ。」

「わかってるよ!」

「変な子ね・・・」




玄関先で座り込んだままなかなか家を出て行こうとしない私に、

お母さんが訝しそうな顔で追い立ててくる。


まぁもう30分近くいるわけだしね・・・・。

そりゃ変にも思うだろう。


私だってこんな寒いところにいつまでもいたいわけじゃない。

だけどいつ聞こえるかわからないアイツの声をキャッチするにはこの玄関で待つしか・・・・・




「行って来まーす!!」




もう・・・まだなの?なんて溜息をつきそうになった時、

壁の向こう側から聞こえた声。


きた!!


私は鞄を抱え立ち上がり、姿鏡でさっと身なりを確かめた後、

深呼吸を1度だけして、玄関の扉を開けた。




「ん?あれ?美桜じゃん。」

「え、英二・・・。おはよう。」

「おう!おっはよーん。」




扉を開ければ、ちょうど私の家の前をあくびしながら通り過ぎる英二の姿。


私が出てきた事に一瞬驚いたようだけど、すぐに無邪気な笑顔を浮かべた。


あぁ・・・この笑顔を見るだけで胸がきゅんと締め付けられる・・・。

もう何年も見てるのに・・・相当重症だ私。



別に一緒に行こうとか言ったわけでもないけど、

自然と二人並んで歩き出した。




「美桜がこんな時間に登校とかめずらしいにゃ~?」

「え?そ、そう・・・かな?」

「わかった!寝坊したんだろ~?」

「あ・・・あはは。そうなの。寝坊しちゃって・・・・・」




寝坊なんてするわけない。


昨日の夜全然寝付けなかったのに、朝目覚めて時計を見たら4時だった。

私どんだけ緊張してんだか・・・。


隣の英二をチラッと見れば、頭の後ろに手を組みながら、

「俺も昨日遅くまでゲームしてて眠いんだよね・・・」なんてまたあくびをしている。


私が勝手に緊張してるなんだけど、ここまで気の抜けた顔をされるとなんだかムッとしてしまう。


なによ・・・。

一緒に登校とか、久しぶりなのに・・・・。

こんなにドキドキしてるのは私だけなの?


そりゃ・・・・そうか・・・・。

英二にとって私は、今も昔も変わらない『幼馴染』だもんね・・・・。


そんな事はいまさらな事で、それをわかった上で英二を好きになってしまったんだ。

だからこんな事で凹むのも、拗ねるのも間違っているんだろうけど・・・。



毎年英二の誕生日や、クリスマス、そしてバレンタイン。

イベントの度に告白しよう!!って思いながらも

結局勇気が出ぬまま今日まで来てしまった。


だけど今年こそは!!

来年高等部に上がる前に、告白しよう!!


そう心に決めた。


昨日何度も何度もシュミレーションしたし、プレゼントだって、毎年のように

『幼馴染の好で仕方なくあげてんだからね。』みたいなモノじゃない。


でも・・・・・


英二を前にして、盛り上げた気持ちが少しづつしぼんでくる。


やっぱりやめようかな・・・・。

だって・・・・英二のこの様子じゃ見込みマジでないもんな・・・。




「はぁ・・・・。」

「ん?どったの?」

「なんでもない・・・。」

「え~?なんか元気なくない?」

「そんな事ないし・・・。」




思わず漏れた溜息に、英二が目をくクリクリさせながら覗き込んできた。


鈍感なくせに、私が落ち込んでたりするとすぐに気づくんだよね・・・。

何でこういうとこだけ敏感なんだか・・・。


せっかく心配してくれてるのに、可愛気のない返答しかできない自分にも嫌気がさす。


自己嫌悪で膨れっ面をしていると、頬にぷすりと何かが突き刺さった。




「・・・・・何してんの?」

「はは。やっとこっち見た。」




頬に突き刺さったのは英二の指。


何がしたいんだ?と英二の方へ顔を向ければ、

「こっち見た」なんて嬉しそうに微笑みを見せるから・・・・

嬉しいけど恥ずかしくて、またプイッと顔を逸らしてしまった。


あぁ・・・ホント素直じゃない!

もうやだ・・・・。

先に行こうかな?


こんな事ならいつも通り家を出ればよかった・・・とか、考えていると、

「ねぇ美桜」と、どこか優しい英二の声が私を呼んだ。




「なに・・・・?」

「手、繋ごっか?」

「・・・・・はぁ?何言ってんの?」




聞き間違いかと思った。

だって・・・・『手、繋ごっか?』だよ!?


背けた顔をブンッと音がするほど英二の方に向けて目を丸くする私に、

英二は何てことないようにさっきと同じ笑顔を浮かべながら言葉を続ける。




「昔はよく繋いだじゃん?」

「そんなの幼稚園の頃の話でしょ!?もういくつだと思ってんの?」

「でも俺、今美桜と手繋ぎたいな~。」

「っ!?・・・バッカじゃないの!!」




もう!!なんなのよ!

いきなり手を繋ぎたいとか・・・・信じられない!!


心臓ががバクバク鳴って、顔に熱が込み上げる。




「美桜顔真っ赤。」

「う、うるさい!!」

「ヘヘッ。その反応。俺期待しちゃっていいのかニャ~?」

「・・・・え?」




期待って・・・?

期待って何よ!?


どういうつもりかわかんないけど、そんな事言われたら・・・・・・・

そんな事言われたら・・・・・私の方が期待しちゃうよ?


英二も・・・・自分の誕生日に2人の関係を変えたいとか・・・思ってくれてる?

英二も・・・・私の事、幼馴染以上に思ってくれてる?


いつの間にか足は止まっていて、2人向かい合うように立つ。

朝日よりも眩しい英二の笑顔に、期待とときめきを感じずにはいられない。


これは・・・英二がくれたチャンス?


素直じゃなくて、臆病な私だけど、

少しだけ勇気を出して一歩前に進んでみようかな?




「あのね、英二―――」




おめでとうの言葉と共に、私の想いを伝えよう。



校門をくぐる時には、二人の手も心も繋がれていますように・・・・・


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ちーちゃんの企画に参加させてもらった英二夢。

お題は『朝』デス。

美桜ちゃん。勝手に名前借りました。←


英二夢書いて思った事。

もう無理!!ww

むづいわこの子・・・。

思うように動いてくれない。



英二お誕生日おめでとう!!


英二って可愛いイメージがあるけど、実は男らしい子だと思います。

好きな子は身体張って守る!!って感じ?

きっと野生の勘で鈍感でもないと思います。

真剣な顔で試合をしてる英二は素敵やと思いますが、ネコ語は遠慮したいです。ww



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