細い茎をピンと空に向かって伸ばし、小さい花びらがいくつも寄って大きな花を作る。
太陽の日を浴び、春風に揺れるそのタンポポを、私は飽きもせずずっと眺めていた。
太陽のような花といえばヒマワリと言う人が多いだろうけれど、
私にはタンポポの方が、太陽のイメージが強い。
可愛いのに、逞しいその小さな花を眺めていると、とても暖かい気持ちになってくる。
「また見てるんですか?」
呆れたような、少し小ばかにしたような・・・。
そんな聞きなれた声が聞こえ、私は彼に背中を向けたまま「うん。」と頷いた。
「毎日飽きませんね。」
「日吉もね。」
彼は私がこうやってここでタンポポを眺めていると必ずやって来る。
そして毎度同じセリフを言う。
『毎日飽きませんね。』
だけどそんな事を毎日言いに来る日吉こそ、よく飽きないな・・・と思う。
「日吉もタンポポ好きなの?」
「別に好きじゃありませんよ。」
「じゃあなんで毎日ここに来るの?」
「あなたがここにいるからに決まってるじゃないですか。」
タンポポを揺らす風に乗せて柔らかい声が届き、
私はゆっくりと後ろにいた日吉を振り返った。
声とは正反対に表情はとても硬かったけど、それが日吉らしくて思わず笑みが漏れた。
「ふふ。そっか。」
「気持ち悪い。一人でニヤつかないでください。」
照れ隠しのそんな言葉さえも愛しく、そして可愛く思えて、
立ったままで私を見下ろす日吉を手招きして隣にしゃがませた。
「タンポポって太陽の花って気がしない?」
「それは向日葵でしょ?」
「でも私にとってはタンポポがお日様の花なの!」
誰が植えたわけでもなく、どこからか飛んできた種が根付き花を咲かせるタンポポ。
固い土の上でも、日の当たらない日陰でも力強く咲くタンポポは私に勇気をくれる。
「タンポポを見てるとね、励まされたり勇気付けられたり・・・・。暖かくて優しい気持ちになれるんだ。」
私の言葉に耳を傾けながらタンポポを見つめる日吉の目が少し和らいで見え、
ちょっとは同じ気持ちを感じてくれているのかもしれないと嬉しく思えた。
「だからいくら見てても飽きないの。」
「なら・・・・・。」
「ん?」
「俺にとってのたんぽぽはあなたですね。」
「じゃぁ・・・・・私にとっての太陽は日吉だよ。」
もう少しすればこの黄色い花も綿毛となって、風に身を任せどこかに飛んでいってしまう。
だけどそうやって場所を変えても、形を変えても、
太陽はきっと見つけ出し、また日の光を降り注いでいく事だろう。
だから日吉も、私がどこにいても、どんな姿をしていても、必ず見つけ出して・・・・・・
そして変わらぬ愛を注ぎ続けて・・・・・・・
タンポポと太陽
(笑ったらもっと太陽っぽいよ!)
(やっぱりあなたはタンポポというより雑草ですね)
(なにっ!?)
*****************************************
年上ヒロイン大好きです!!←
ツンデレ若。今回はデレの部分が多いかな?
まぁ春だからね。デレが多く出てきちゃったんだよ!ww