侑士SS | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言


ぽかぽかと暖かいというよりは、もう暑いというた方がいいくらいの気温の中で

こいつはずっと俺に背中とケツを向け、必死に目的の物を探しとる。


話しかけても生返事ばかり返ってきて、俺の存在さえ今は忘れてもうてるんかもしれん。


俺と一緒におんのに、俺以外のものに心奪われてるなんて正直おもんないけど

真剣な顔で探し物をしてる姿はめっちゃかわええ。


それに、探し物が何かも知っとるから・・・・・。

やから余計に可愛く思えるんやろう。



幸せを運ぶ四葉のクローバー



俺かてこういうまじないとか迷信は嫌いやない。

一緒に探したってもええけど、もう少し必死なこいつを見ていたい。



そんな時、「あっ!!」っと、大きな声を上げ、

きらきらの笑顔で俺の方を振り返った。



「侑士!!見つけたよ!!」

「ん?どこや?」



よっこらしょ。と、腰を上げる俺を急かすように、早く早くと手招きする。


込み上げる笑いを堪えながら。「どれや?」と、隣に腰を下ろすと

周りの葉を軽く分け、目的のものを見せてきた。



「ほら!どう!?すごいでしょ!?」

「はんまや。よう見つけたな。」

「でしょ!?」



嬉しそうに笑う顔に俺まで笑顔になる。



「ほら、持って帰るんやろ?」

「うーん・・・。でもね、葉の端が茶色いの。」

「あかんのか?」



そう言われてよくよく見てみればたしかに他のクローバーに比べて葉が茶色い。



「せやけど四葉は四葉やろ?」

「そうだけど・・・。でももしかしたらもう他の誰かに幸せを運んじゃった後なのかも・・・・」



さっきの笑みが一瞬にして消え、少し悲しそうな顔でクローバーを見つめる。


他の誰かが見つけたんならとっとと摘んでもうてるはずや。

枯れとるようでもないし、踏まれたかなんかして葉が茶色うなってしもたんやろう。


やけどきっとそんな事言うても納得しそうには見えん。


「俺も一緒に探したるからもう1回探そうか?」

そう言いかけたが、パッと頭にひらめいた。


いまだに四葉を見つめるこいつの肩を叩き、俺の方を見たところでさっと唇にキスを落とした。



「なっ!?急になに!?」

「お前にはもう四葉は必要ないって事ちゃうか?」



突然キスをされて驚いたような顔が、俺の言葉を聞いて今度は怪訝な顔に変わる。



「どういう事・・・?」

「お前には四葉以上に威力のある『幸せを運ぶ侑士君』がおるやないか。」



自分で言うときながら、なんやクサイなぁとも思ったが、

目の前のコイツは、「うん、そうだね!」と笑顔を見せた。



ほんまアホみたいに単純で、天然で、どないしようもないヤツやけど、

そんなお前が俺はたまらなく好きみたいや・・・・・。



愛しい気持ちを伝えるようにもう1度唇を重ね、そっと耳元で囁いた・・・・・





―――  俺の四葉のクローバーは・・・・・・お前やで  ―――







 四葉のクローバー

               (自分で「侑士君」とか恥ずかしくない?)

                (そういう事真顔で聞かんとって・・・)


******************************************


久々の拍手用SS。

早く入れ替えねば春が終わる!!


昨日は幼稚園の親子遠足でした。

頑張って四葉探したけど見つかんなかったよーん。