宍戸SS | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言


風の流れに身を任せるように、空を泳ぐ蝶を見つけ

あいつは突然俺の帽子を手に、走って追いかけだした。


そんなあいつと追いかけっこを楽しむように、蝶は右へ左へと飛び回る。

だけどそのうちそんな遊びにも飽きたのか、空高く舞い上っていってしまった。


小さな蝶はその色に溶けるように姿を消し、

それをあいつはなんだか楽しそうに見上げていた。


空をただ黙って見上げるあいつを見ていると、

そのままあの蝶のように消えてしまうような気がして、

俺はあいつを後ろから抱きしめた。


腕に感じる体温と、頬をくすぐる柔らかい髪に

傍にいるんだという安心感が胸に広がる。



「どうしたの?」

「なんでもねぇよ。」

「変な亮。」



確かに俺がこんな風に突然抱きしめるなんて事もそうある事じゃねぇし

変と思われてもしかたないかもしれねぇ。


それでも今はこの腕を解く気にはなれない。



「お前は・・・・・」

「ん?」

「あの蝶の様に、俺のこの腕から逃げていくなよ。」



本当に俺らしくない。

こんな情けない事を言ってしまうなんて・・・・。


あいつもそんな俺に驚いたのか、腕の中で向きを変え、

俺の顔をまじまじと見つめてきた。


自分が今どんな顔をしているのかはわんねぇが、

たぶん不安そうな顔をしている事だろう。


そんな顔を見られたくなくて、あいつの顔を胸に押し付け視界を塞いだ。



「どうしたの?」

「別に・・・・。」

「変な亮。」

「俺がこんなことしたら変なのかよ?」

「ううん。嬉しいよ。」

「じゃぁ黙ってこのまま抱きしめられてろよ。」



素直に身を任せてきたあいつの重みが胸にかかる。

今はその重みさえ愛しく、あいつの存在を強く感じた。



「この腕の中から消えたりなんてしないよ。」

「そっか・・・・。」

「でも・・・・。」

「あぁ?」

「こうやって捕まえててくれなきゃ逃げちゃうかもね?」



イタズラっぽい笑みを浮かべたあいつは、本当にさっきの気まぐれに飛ぶ蝶のようで、

俺はここから逃しはしないと、甘い蜜与えるように・・・・・・・・・そっと唇を重ねた。









    逃がすかよ

                          (亮の唇辛い!)

                   (あ、さっきミントガム食ったんだったぜ)


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昨日のピクニックねたを仁王で書くつもりやったんですが、

そろそろ拍手入れ替えせんとな・・・って事で、拍手用に切り替えました。


今の拍手は立海メンバーなんで、今度の拍手は氷帝メンバーで行くつもりです。