～ 赤いマフラー ～
学校の帰り道。
隣には英二先輩がいて、ニコニコスマイルを振り撒きながら
大きなジェスチャーで今日1日のお話をたくさんしてくれる。
私はこの時間がとても好きだ。そしてとても大切な時間。
帰り道だからそう長い時間ではないけれど、
この時間が英二先輩への「好き」をどんどん大きくしていく・・・・。
今日もそんな帰り道になるはずだった。
だけど、待ち合わせの校門に現れた英二先輩の首には
今まで見たこともないようなマフラーがぐるぐる巻かれていた。
顔が埋まって大きな目だけが唯一出ている感じで、どう見ても長すぎるマフラーに
驚きがいっぱいで言葉が出ない。
「どう？昨日買ったんだ♪」
嬉しそうにマフラーの先をぐるぐる振り回す英二先輩。
英二先輩の髪と同じ赤いマフラーはすごく似合っていると思う。
思うけど・・・・・・
「それ・・・長すぎじゃないですか？」
だって・・・・先輩のかっこいい顔が半分くらいしか見えないよ？
だけど英ニ先輩は「そうなんだ！長いでしょ？」と、おおはしゃぎ。
え？今の褒めてないんだけどな・・・。
正直どう反応していいのかわからずに英二先輩を見続けていると
「どったの？」と先輩のどアップが迫ってきた。
「え？いえ・・・。なんでもないです・・・。」
「この長さのマフラーってなかなか売ってなくってさ～。」
そりゃそうだろう。
私もそんなの見たことない。
それを見つけてきた英二先輩がすごいよ。
「でもずっと欲しくてめちゃくちゃ探したんだよね～！」
そこまでして欲しかったマフラー。
もう1度先輩の首に巻かれたマフラーを見てみるが・・・・
何がいいのか私にはわからない。
もしかして私が知らないだけで今年は長いマフラーが流行っているのだろうか？
それにしても長すぎると思うんだけど・・・。
怪訝な顔でマフラーを見続けていたら、英二先輩と目が合った。
ニコリと微笑んで私からの言葉を待っているように見える。
こういう時なんて言えばいいんだろう？
「変だ。」なんて絶対言えない。
「・・・・・す」
「す？」
「すてきだと・・・・・思います。」
何か言わなきゃ！！と焦る気持ちから「素敵」なんて言ってしまったけれど
「ぶぅ～。違うでしょ？」と、英二先輩はほっぺを膨らませて拗ねてしまった。
先輩が欲しかった言葉はこれではなかったらしい。
「どうしてこんな長いの欲しかったんだと思う？」
「え？」
どうして？
それは私が聞きたいくらいなんですけど・・・・？
あっ。もしかしてこれを聞いて欲しかったのかな・・・？
「どうしてですか？」
質問に質問で返す形となったが、先輩はその言葉を待ってましたとばかりに
みるみる顔いっぱいの笑顔になって、
自分の首に巻きつけていたマフラーを半分ほど解きだした。
今日の英二先輩は私には解析不能だ。
何がしたいのかさっぱりわからない。
だけど、はてなマークを浮かべながら立ち尽くす私の首へ
「こうする為だよ。」と、解いた半分のマフラーを巻きつけてきた。
微かに残る先輩の体温と匂いが私の首元を包み、
甘酸っぱい気持ちが胸に広がる・・・。
「へへ。暖かいでしょ？」
1つのマフラーが私と英二先輩を繋ぎ、先輩との距離が密着するほど近くなる。
先輩が長いマフラーをずっと欲しかった理由は
私とこうして同じマフラーを巻きたかったから・・・？
そう思って・・・いいの？
恥かしさと嬉しさで、顔は赤くなるし、口元は緩んでくるし、
心いっぱいに溢れる喜びを隠しきれない。
「はい。暖かいです。」
きっと私の顔は真っ赤だろうけど、気のせいじゃなければ英二先輩の顔も真っ赤で、
その顔を隠すように、お互いマフラーに顔を埋めた。
「なんか・・・照れるね。」
「え、英二先輩がしたんですよ！？」
「そうだけど～！！・・・・・思ってたより恥かしい・・・。」
段々声が小さくなる英二先輩が可愛くて、「帰りましょうか？」と
私は思い切って英二先輩の手を取った。
私から手を繋ぐなんて初めてだったけど、英二先輩はその手を強く握り返してくれた。
｢赤色を選んだのは赤が好きだからですか？」
「それだけじゃないよん！」
「それじゃ・・・・」
「赤い糸ならぬ赤いマフラー・・・・・・なんちって。」
言った先輩も、言われた私も、この言葉に再び顔を赤くした。
いつもと同じ帰り道。
だけど今日は・・・・
首元のマフラーが
握り締めたお互いの手が
二人を繋ぎ、心と心を結び付けた・・・・
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だんだんSSが長くなってきてる気がする・・・。ｗｗ
もっと短くまとめられる文才が欲しいもんです。
サイト用拍手第5弾です！
飛鳥美桜さんにリクいただきました。
いただきました・・・・って言うかリクしてくださいって私から頼んだようなもんなんですが（笑）
1つのマフラーを巻き巻きする！！っていうのがリク内容でした。
どうでしょう？ご希望どうりになってますでしょうか？（ドキドキ）
リクありがとうございました！