~ 窓ガラスに書いた告白 ~
暑いくらいに暖房の聞いた教室は、
頭の回転を鈍くするどころか、うっかり眠ってしまいそうになり
休み時間になったと同時に、教室の1番後ろの窓を全開に開けた。
冷たい風が一気に教室の中へと流れ込み、ボーっとした頭がシャッキリとする。
ちょっと寒いけど、火照った頬を撫でる風は心地よくて
しばらく窓から顔を出して風を受けていた。
ふと視界の端に、ぞろぞろとジャージ姿でグラウンドに出てくる集団が見え
その中にダルそうにもじゃもじゃ頭を揺らしながら歩く赤也の姿・・・・・。
「赤也!!」
たいして大きな声ではなかったが、グラウンドにはよく響き、
私の姿を見つけた赤也がブンブンと手を振りながら窓の下まで駆け寄ってきた。
「今からマラソンなんッスよ!マジだりぃ~。」
「しっかり走んなさい。」
「だって部活でも走るんスよ~?」
グチグチ文句を言う赤也に、本当にこの子は・・・と呆れながらも、
真田に怒られたら可哀相だし・・・・なんて思ってしまい
「1番になったらご褒美あげるから!」と、物で釣っちゃえ作戦を実行してみた。
「まじッスか?」
「まじまじ。」
「んじゃ先輩のチューがいいッス!!」
いきなりの発言に私だけじゃなく、
赤也の後ろにいたクラスメイト達もギョッとした顔で驚いている。
そりゃそうだろう・・・・。
何を言い出すんだかもう・・・。
「早く行きなさい!!」
恥ずかしさを誤魔化すように怒鳴り声を上げてみたけれど、
きっと顔は赤いはずだし、照れ隠しだなんてバレてしまってるんだろう。
「約束ですよ!?絶対1番になりますから!!見ててくださいねー!!」
授業中なのに見れるわけないじゃん・・・。
だけどやる気を出したように元気に駆け出していく赤也を見てると
自然と自分の顔が笑っている事に気付く・・・・。
子供っぽくて、カッコイイというより可愛くて・・・
まだまだ手が掛かる彼氏だけど、
そんな赤也が・・・・・・・好きなんだ。
走り去っていく赤也の背中に「赤也~!!」とさっきより大きな声で呼びとめ
赤也が振り向いた事を確かめると、乗り出していた体を教室の中へ引っ込め、
結露で曇った窓に大きく文字を書いた。
『す き』
赤也の方から読めるように、反転文字で書いてみたけどちゃんと読めただろうか・・・?
不安げにちょこんとさっきの窓から顔を出すと、
遠目からでもわかるほどに顔いっぱいに笑顔を浮かべた赤也が
「俺も大好きッス~!!」
なんて馬鹿デカイ声で叫ぶもんだから、
今度は私のクラスメイトまで何事かと窓から顔を出しだした。
暑い教室で鈍った頭と火照った体を覚ます為に開けた窓だったのに、
チャイムの音と同時に窓を閉めた時には、
窓を開ける前以上に頭はボーっとして、体は熱く火照ってしまっていた・・・・・・。
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拍手第4弾。
これまた最初は違うキャラで書いてたのに、いつの間にやら赤也に・・・・。
最初かいてたキャラは蔵です。(蔵)
でも蔵がキャピキャピしてるのは何か想像できなくて・・・。(苦笑)
後1本書いたら拍手も半分埋まる~♪
次は誰にしようかな?