1日遅れで・・・キヨHappyBirthday (夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

~ 2番目 ~


今日私は失恋した。

ずっと大好きだった先輩と付き合えて毎日ハッピー!!
なんて浮かれていたら、実は2股掛けられてました~!って事が判明。

「2番目でもいいなら付き合ってもいいよ。」
なんて開き直った先輩に1発ビンタを食らわせて、今はやけ食いの最中である。

「クソ!!バカにすんな!!」

机の上に置かれたお菓子を次々に食べ漁りながら、今頃になって出てきた涙を拭う。
甘いはずのチョコレートも涙でしょっぱい・・・・・。

本気で好きだったのに・・・・・。
2股だった事にもショックだったけど、「2番目でもいいなら」って言われた事が何よりもショックだ。
2番目なら。って事は私が浮気相手だったって事だよね!?
本命が別にいるって事でしょ!?
そんな事言う人だったなんて・・・。
そして、そこまでバカにされていたなんて・・・・。
私も想いの全てを踏みにじられたようで、楽しかった先輩との思い出も
全てが色あせて崩れていくようだ・・・・。

「うぅ・・・・・このお菓子マズイ!おいしくない!!」

何を食べてもおいしくないし、満たされるどころか吐き気がしてきた。

「うぇ・・・吐きそう。」
「きたないなぁ~。」

背後から聞こえた声に振り返れば、扉にもたれるように立っている幼馴染の姿。
腕を組んで呆れ顔で私を見る目になんだかイラッとする。

「勝手に入ってこないで!!」
「ちゃんとノックしたよ?」
「返事してないじゃん!!って、ちょっとなに座ってんの!?」

泣き顔を隠しもぜずに怒鳴る私に、いつものへらへらした笑顔を浮かべながら
さも当たり前のように私の隣に座りだしたキヨ。

「だからあの先輩はやめた方がいいって言ったでしょ?」
「あんたの占いなんて信じられるわけないじゃん!?」
「でも当たったでしょ?」
「たまたまよ!た・ま・た・ま!!」

先輩の事が好きだとバレた時も、先輩と付き合えたと報告した時も
「あの人は負のオーラが見えるからダメだよ!絶対不幸になる。・・・・って占いででてる。」
などど何の根拠もない、わけのわかんない事を言っていた。

確かに不幸になっちゃったけど、それとこれは関係ないはず!

「それよりさ、今日何の記念日か知ってる?」
「私の失恋記念日だよ!!」
「あはは・・・・それは・・・・記念日じゃないよね?」
「うっさい!!今はあんたと話してる気分じゃないの!出ってってよ!!」

オレンジ頭のヘラヘラ顔を見てるだけでイライラする。
お菓子の飽き箱を投げつけると、パコッと小気味いい音を立てながらキヨの頭に命中した。

「痛いなぁ。もう・・・・。」
「動体視力いいんじゃないの?」
「あのさ、今日は俺の誕生日なんだよね。」
「あっそ。」
「今年はお祝いしてくれないの?」

そう言えばなんだかんだ言いながらも毎年お祝いしてたっけ?
今年はそれどころじゃなくてすっかり忘れてたや・・・・。

「あぁ、おめでとう。プレゼントは・・・・・あ、このチョコ1つぶあげるよ。」

なんの用意もしてないし、とにかく今は早く1人にして欲しくて
手に持っていたチョコを1粒差し出した。
目の前に突き出されたチョコをきょとんとした顔で眺めるキヨ。

「ちょっと早くしてよ。溶けるでしょ?」

コタツに足を突っ込んでる私の体温は温かいのか、すでに指がヌルついてきた。
それでもキヨはチョコを受け取ろうとしない。

「なに?いらないの?なら私食べちゃうよ。」

そう言って口の中へチョコを放り込み、指についたチョコを舐めようとした時
何も言わず座っていたキヨが私の手を掴み、チョコのペついた指をペロリと舐めた。

「ちょっと!!なにしてんのよ!?」

慌てて指を引き抜くと、いつものだらしない笑みを浮かべながら
「ご馳走様。おいしいプレゼントありがとう。」なんて言い出すキヨ。
なに考えてんの!?

「何がおいしいプレゼントよ!!バカじゃないの!?」
「ねぇ?顔赤いけどちょっとはドキドキした?」
「はぁ!?こ、これは怒って顔が赤いのよ!!」

恥ずかしいやら、腹立たしいやらで私の顔は真っ赤だ。
それを隠すように手近にあったものを手当たり次第投げつけていく。

「もう!早く出てけ!!この変態!!」
「イテッ。痛いって・・・・。」
「最低だよあんた!人が失恋して落ち込んでんのに!!」
「俺だって誕生日祝ってもらえなくて落ち込んでるよ。」
「知るかそんなの!!」
「ねぇ。失恋記念なんて悲しいだけじゃん。そんな記念日塗り替えちゃおうよ。」
「何?塗り替えるって?意味わかんない。」
「俺と付き合っちゃえば、付き合った記念日になるでしょ?」

・・・・・・・・・・・・・。
とうとう頭湧いちゃった?なに言ってんの?

「俺は誕生日と付き合った記念で2つの記念日が出来るし。ね?」
「なにが、ね?なのよ!バカじゃないの!あんたさっきの話聞いてた?
私は今日失恋したの!!失恋って事は、まだ相手に私の気持ちがあるって事!
キヨと違って好きでもない人と付き合うなんて私は無理!記念日作りたいなら他当たれば?
あんたが声かければ喜んで付き合ってくれる子いっぱいいるでしょ?」

バカだバカだとは思ってたけどここまでバカだったなんて・・・。
私までもバカにされたような気がして気分が悪い。
幼馴染にまで私の気持ちを踏みにじられたようでまた涙が溢れてきた。

「ご、ごめん。泣かないで?」
「あんたのせいでしょ?」
「ごめんね?でも俺、誰でもいいから付き合おうなんて言わないよ?」
「嘘ばっかり。いつも手当たり次第声かけてんじゃん!」
「声はかけるけどさぁ。付き合おうなんて言ったことないし!」

言われてみれば・・・・・・キヨが誰かと付き合ったって話は聞いた事がない。
でもそれはただ色んな女の子と付き合いたいだけだと思ってた。

「俺・・・・・ずっと麗華が好きだったよ。」
「え?」
「あ、幼馴染としてじゃないよ。女の子としてね。」

なにそれ・・・・・・・?
そんなの知らないよ?

「だから、俺と付き合って?」

こんな真剣なキヨの顔は初めて見るかもしれない。

「俺はずっと麗華の事見てきたから、誰よりも麗華の事わかってると思う。」

それはそうかも・・・・・。
こんなに自分をさらけ出した姿を見せてるのってキヨだけだし・・・・。

「それにホラ、俺ってラッキー千石って言われてるでしょ?
だから俺と付き合ったら麗華のラッキー運も急上昇間違いなしだと思うなぁ~。」

どんなくどき文句だよ・・・・。
だけど飾らないキヨらしい告白に胸が熱くなってきた・・・・。

気付かなかったけど、いつもキヨはこうやって私を見ててくれたんだね。
我侭な私をいつも笑って受け止めてくれてた・・・・。

だけど・・・・・。

「私まだ先輩が好きなの・・・・。」
「そんなのすぐに忘れちゃうよ。」
「そんな軽い気持ちじゃないもん!!」
「う~ん・・・・。じゃぁ2番目でもいいから!ね?」

なんだと?2番目でも・・・・・・・・・・・いい?

ちょっとだけ淡い空気なっていたけど、今の言葉で一瞬にして崩れてしまった。

キヨの言葉に一瞬でもドキッとしてしまった私の乙女心を返せ!!
2番目でもいいだなんて、それじゃあ先輩が私に言った事と同じじゃない!
そんな惨めな立場でもいいって言うの!?そこまでしてでも私と付き合いたいって?

だけどそんなの本気の想いじゃないよ・・・・。
本当に私が好きなら・・・・・・・・・・・・

「2番でもいいだなんてバカじゃないの!?本気で私を手に入れたいなら、1番になってみせる!
ってくらいの気持見みせなさいよ!!それほどの想いもないら、そんなのお断りだね!!」
「わわっ、ち、違うよ!!今はって事!今は。もちろんいつかは1番になってみせるよ!」
「今頃言っても遅い。」
「麗華~。」

キヨに背中を向けると慌てた声が聞こえたけど、今は振り向いてやんないんだ。
私を本気にさせるくらい、真剣にかかって来なさいよ!!
そしたら・・・・・・・・・・・・・・・・その時は、考えてあげなくもないけど?

キヨの情けない声を聞きながら、怒った顔を浮かべる私。
だけど心にあったモヤモヤはいつの間にか消えていて、なんとなく温かい気持ちに包まれていた。

                                Happy birthday Kiyosumi 11.25
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すっかり忘れていたキヨの誕生日。
慌てて書いたらこんなんになりました。
可哀相なキヨ・・・・・・。
1日遅れでごめんね。

お誕生日おめでとう!!