3.読みやすい文を書くための5つの留意点


Ⅰ、主述を必ず一致させる


①その実験の結果はこれまでの俗説が否定された。

その実験の結果はこれまでの俗説を否定した。

その実験の結果によって、これまでの俗説が否定された。

②文献Aによれば、これまでの仮説Bを支持することになった。

文献Aによって、(我々は)これまでの仮説Bを支持することになった。

文献Aによれば、(我々は)これまでの仮説Bを支持することになる。

③ここで問題となるのは、複数の助手を連れていく場合、多額の交通費が必要となる。

ここで問題となるのは、複数の助手を連れていく場合、多額の交通費が必要となることである。

複数の助手を連れていく場合、多額の交通費が必要となることが問題だ。


Ⅱ、修飾語の使用、修飾語と被修飾語の位置関係に気をつける

・修飾語の使用

東京方面からSFCへ行くにはかなり長い時間がかかる。

長年の研究の結果、この機種のパフォーマンスは大幅に改良された

  →具体性がない

・修飾語と被修飾語の位置関係

大きな建物+国道沿いにある建物

     →

大きな国道沿いにある建物? 国道沿いにある大きな建物?

短い修飾語は被修飾語の近くに置くようにする。


○アプリケーションソフトを大幅に入れ替える。


×大幅にアプリケーションソフトを入れ替える。

○システム管理者はOSを速やかに再インストールすべきだ。

△システム管理者は速やかにOSを再インストールすべきだ。

×速やかにシステム管理者はOSを再インストールすべきだ。

Ⅲ、重文・複文を不用意に用いない

彼は明日休暇を取る。

私はカルボナーラを食べてエスプレッソを飲んだ。

 (ここまでは単文の範疇。主語述語がひとつだから)

左脳は論理的な推論に関与し、右脳は直感的な判断に関与する。

 (ふたつの主語述語、対等な2つの文。=重文)

セロニアス・モンクは彼が好んで聴いたピアニストである。

        (ふたつの主語述語。

         一つの主語述語の中に修飾的に別の主語述語が入り込んでいる。=

複文)

              モンクはピアニストである+彼が込んで聞いたピアニスト


A氏に対するインタビューによって、人事異動に関する実質的な決定権がA部長の元にあることが社内では周知の事実であることが判明した。

→意味不明!!文を切る!!!!

平安時代には紫式部によって源氏物語が書かれており、また同時代には清少納言によって枕草子も書かれているが、これらの作品は当時の宮廷文化を知る上での格好の資料であると同時に、多くの人に今も読み継がれる女流文学の金字塔である。

      →長い!!!!切る!!!!!!

       重文、複文は、そうでなければならない場合に限って使うようにする。


Ⅳ、接続詞を不用意に用いない

・同一接続詞の反復

この学校には昼休みに当たる休み時間がない。しかし授業中の飲食が半ば黙認されているため、昼食をとりながら授業を受けることが出来る。しかし教員によってはそれを許さないこともあるため注意が必要だ。

湘南台駅からは小田急線に乗れば新宿方面へと出ることが出来る。また相鉄線に乗れば横浜駅へ約30分で出ることが出来る。また横浜市営地下鉄に乗れば戸塚方面を経由して京急線上大岡駅に出ることも出来る。

・接続助詞「が」の濫用

   順説にも逆接にも使えるため、濫用しやすい。

そのパンを食べたが、おいしかった。

わざわざ出向いてみたが、期待外れだった。

ブラインドタッチはキーをたたく指先を見ずに入力を行う技術であるが、ここでは短期間でブラインドタッチをマスターするための正しい練習方法を紹介する。

この調査に関しては多くの疑問が呈されているが、その中でも特にA氏による問題点の指摘は有名であるが、今回のレポートではそのA氏の見解に沿って調査の妥当性を改めて検証する。

Ⅴ、読点(、)の位置に気をつける

A社によるこの方式が業界標準として採用されたのは、今から3年前である。

A社によるこの方式が、業界標準として採用されたのは今から3年前である。

A社による、この方式が業界標準として採用されたのは今から3年前である。

A社によるこの方式が業界標準として、採用されたのは今から3年前である。(←意味がおかしい)



  ※読点の位置は

    ①息継ぎ ②強調したり、意味の混同を避けたりする(マーカー)

   の二つの意味がある。

   適当につけたのではダメ!!!


   長い文を書かなければこういうことは起こらない。

   簡潔な文を書くことを意識しよう。

4.次回までの課題

文章を書いて送る。


5.感想

 日常会話において日本語の特徴を意識したり、文法に気をつけたりすることは、私が想像する以上に、生徒はしないことなのかもしれないと思った。多少、文のねじれや主語述語の対応がおかしくても会話は成立するけれども、普段から言葉の構造や構成に意識を向けさせるようにすることが、正しい言葉遣いにもつながると思う。