動習慣を身につけるのに、早すぎる事はないという事は以前にもお伝えしましたが、認知面の保持に関してそれを支持するアメリカの論文が、以下に紹介されています。
2700人の若年者(18~30才)に体力テストを行い、25年後に認知能をみると、弱点時の体力が高い人の方が認知能がより保たれていたという内容です。
また体力テストは研究スタート時以外に20年目でも行っており、この20年間の体力の変化(平均的には大きく低下しています)の程度は、スタート時の体力ほどには25年目の認知能に影響していなかったのですが、それでも体力の低下が少ない者の方が、認知能賀より保たれる傾向があったとされています。

http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=43946&-lay=lay&-Find

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若いときにアクティヴだと歳をとってからの思考能力が保たれる
2014.4.3 , EurekAlert より:   
  
持久性運動を習慣的に行っている若年成人は、中年期(43~55歳)以降の記憶力や思考力などが若いときと同じくらいに保たれている傾向があるという研究。ミネソタ大学ミネアポリス校の研究者による報告。

研究では、平均25歳、2,742人の健康的な人々が研究開始時点でトレッドミルによる運動負荷試験を行い、20年後に再び同じ テストを行ってデータを比較検討した。認知機能試験が最初の試験から25年後に行われ、言語的記憶力、精神運動速度(思考スキルと身体制御活動の関連性の 指標)、また実行機能性について検査を行った。

トレッドミル試験では、被験者はスピードと傾斜が徐々に高くなる様に設定された状態で、運 動が継続できなくなるか、息切れを感じるまでウォーキングもしくはランニングを行った。最初の試験で被験者らは平均10分間トレッドミル上での運動を継続 することができていた。20年後、同じ試験では被験者らは平均2.9分の継続時間にとどまっていた。最初の試験でトレッドミル上に居る時間が1分づつ長 かった者毎に15単語の記憶力試験では0.12単語より多くの単語を思い出すことができた。また精神運動速度試験では25年後で0.92より多くの動作変換を行うことができた。これらの成績は喫煙や糖尿病、高コレステロール値などの関連因子について調整を行った後の数値である。

20年後の トレッドミル試験で運動時間の短縮が少なかった(つまり、体力がより残っていた)被験者では、短縮が多かった被験者に比べて実行機能性テストでの成績もより良い傾向が見られた。具体的には、インク色判別テスト(黄色と緑インクで書かれた文字について「緑色」と答えさせる)での正確性が高かったのだ。

これらの有意な結果は、決して大きな差ではなかったものの、1年間の加齢によるプロセスで生じる機能低下に比べて大きい差である、と研究者は指摘する。高齢者を対象にしたその他の研究では、本研究で用いたような試験の成績が認知症を発症するかどうかの重要な予見因子として有効である事が示唆されている。単語 記憶テストで記憶単語が1語増加するにつれて、その後10年間での認知症発症リスクが18%低下するという報告もあるのだ。

早期記憶試験などと運動負荷試験の成績を併用することによって、認知症リスクなどを早期に同定することが可能になり、結果として認知症のリスク者などに対する早期治療や予防などを可能にすることが期待される。

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英文要旨:
http://www.neurology.org/content/early/2014/04/02/WNL.0000000000000310.short

Cardiorespiratory fitness and cognitive function in middle age: The CARDIA Study

Na Zhu, MD, MPH, et al.

Objective: To investigate whether greater cardiorespiratory fitness (CRF) is associated with better cognitive function 25 years later.

Methods: We studied 2,747 participants in the community-based Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study of black and white men and women aged 18 to 30 years at recruitment in 1985–1986 (baseline year 0). Symptom-limited maximal treadmill test durations at years 0 and 20 provided measures of CRF. Cognitive tests at year 25 measured verbal memory (Rey Auditory Verbal Learning Test [RAVLT]), psychomotor speed (Digit Symbol Substitution Test [DSST]), and executive function (Stroop Test).

Results: Per minute of baseline CRF, the RAVLT was 0.12 words recalled higher (standard error [SE] = 0.03, p < 0.0001), the DSST was 0.92 digits higher (SE = 0.13, p < 0.0001), and the Stroop Test score was 0.52 lower (better performance, SE = 0.11, p < 0.0001), after accounting for race, sex, age, education, and clinical center. Compared with the lowest quartile of CRF, each cognitive test was 21% to 34% of an SD better in the highest CRF quartile. Further adjustment for lifestyle and clinical measures attenuated coefficients for RAVLT and DSST slightly, while the coefficient predicting the Stroop Test lost more than half its value (p = 0.07). Analysis in the subset of 1,957 participants who also completed the year-20 treadmill test showed that 20-year change in CRF was positively associated only with DSST (p < 0.001).

Conclusions: Better verbal memory and faster psychomotor speed at ages 43 to 55 years were clearly associated with better CRF 25 years earlier.
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