おしんスッチー 驚きのスケジュールチェンジ
先日の夜のことです。
無性にラーメンが食べたくなり、
女3人家を出たものの・・・寒い!
寒さでくじけそうな夜でした。
こんな寒い夜、私はいつも思い出すことがあります。
そうして、心の中で思うのです。
『あの時の寒さに比べたら、これくらい・・・』
その時も、そう自分に言い聞かせ歩いていました。
すると、長女が言いました。
寒くて死にそうだと?
そうして、語り始めたのです。
「ママが乗務員時代はね!!」
この言葉を口にすると決まって
長女は「また始まったよ」とうんざりした顔をします。
でも、そんなことなどものともせず、
母はまたいつもの昔話を始めるのでありました。
あれは、ソウルのホテル。
今くらいの季節かしら? とにかく寒い頃だったわ。
大阪の同期・Yちゃんとママは、
翌日からホノルル便に乗務することになっていたの。
日本が寒い冬に、暖かい国に行かれるって最高!
それに仲良しの同期2人でホノルルなんて!
わかる? 普段行いが良い人にはね、
こんな神様からのプレゼントがあるものなのよ~。
あら? 聞いちゃいない?
とにかくママたちは、浮かれていたわ~。
今、あの頃の自分に会えたら
「コパトーンなんか塗らないで、日焼け止め塗りなさい!」
って言ってやりたいけど、
ママたちが若い時はね、
美白なんておばさんの言葉、
日焼けしているのがカッコよかったのよ。
ママはYちゃんに新しい水着を自慢していたわ~。
「うちも持ってきたで~」というYちゃんの水着を見て・・・
敗北感に打ちのめされながらも、
ママは張り切って言ったわ!
「OK! Yちゃん、
ホノルルではこの水着で真黒に日焼けしましょう!」
そんな話で盛り上がっていた時よ。
部屋の電話が鳴ったのは!
出ると・・・
↑Msだったわ・・・スケジューラー? 一体何の用かしら?
するとね、スケジューラーは言ったのよ。
その時はまだ、出発時間が遅れるのかしら?
そのくらいにしか考えていなかったのよね。
すると、スケジューラーは言ったのよ。
すぐには理解できないくらいのことをね!
「カータンもYさんも、明日はHNL便じゃなく
○○○便に乗務して下さい」
pardon・・・?
ママは受話器を置いても、
なかなか現実が受け止められなかったわ。
何も状況がわかっていないYちゃんは、
日本に帰るの?なんてそんな暢気なことを!
ママは震える声で言ったのよ・・・。
「ホ・・・ホノルル…便が・・・・
変更になって・・・私たち・・・行くの・・・行くのよ・・・」
アンカレッジ!!
オーマイガーーー!!よ。
考えてもみてよ!
常夏の島・ハワイから・・・
急遽、アラスカへ飛べってか~~~?
言っておくけど、
ホノルルからそのまんま成田に帰ることになっていたから、
荷物になる厚手のコートとか、
ママは全部、成田のロッカーに置いてきてしまっていたのよ。
恐る恐るYちゃんに尋ねると、
Yちゃんは肩を震わせながら答えたわ。
それでもね・・・
飛べと言われたら飛ばなくてはならない
悲しい雇われの身・・・。
翌日、
ママたちは一路アンカレッジに向けテイク オフよ~~涙。
機内の中で、慌ただしく働いていたら、
なんて思ったりしたけど・・・。
やっぱりあれは夢ではなかった。
空港には、アロハシャツ着た地上職員がいるわけではなく、
代わりに白クマの剥製がお出迎えよ。
やっぱりここはアラスカなのね・・・。
空港の外に出ると、夜ということもあって、
街が冷気で灰色というか・・・なんていうか・・・
そうね、
まさにYちゃんの言葉がぴったりといった光景だったわ。
でね、普通、滞在先ではママたちはホテルに泊るんだけど、
なぜかアンカレッジには会社所有のアパートがあったのよ。
アンカレッジでは、そこに泊るの。
2ベッドルームにリビングという広い部屋で
最初はYちゃんと浮かれていたんだけど、
はたっと気がついたのよね。
ホテルと違って、ここって・・・
「でも、服がないじゃない!」 そうママが言ったらね。
そうね、Yちゃんの言う通りだわ。
もうこの際、ファッションなんてどうでもいいわね。
少しでも暖かく、着れるだけの服、着ればいいわね!
ママは早速、仕度を始めたわ。
なのに・・・
えっ? 何よ?
持ってきた服全部着ればいいって言ったのは
Yちゃんじゃない?
でも・・・
ママは着込んだわよ~。
制服のブラウスの上に水着!
シルク(風)のパジャマ、
ハワイで着ようと思っていたワンピースに
その上に制服のベストを着て・・・スカートをはき・・・
↑ベストの間違いねさすがにYちゃんに
「いくらなんでもパジャマのズボンはやめとき」と言われ、
それは脱いで・・・
最後に制服のジャケット着て、夜の街に繰り出したのよ。
キャビンシューズは歩きづらいし、
着こみ過ぎていてジャケットはきつく、
そして、寒さは半端なかった。
それに、どんなに目を凝らしても、
周りには何の灯りも見えなかったわ。
ママたちはただ灰色の街を肩を震わせながら歩いたわ。
すると!!!
しばらく歩いた頃だったわ。
遠くに・・・遠くの方に小さな灯りが見えたのは!!
無人島に漂流した人が、
遠くに船を見つけた時ってきっとこんな気分?
ママたちは灯り目指して走ったわよ!
それは小さなイタリアンレストランだったわ。
やっと見つけたレストラン・・・。
店内は暖かく・・・
そして、ようやくありつけた夕食は・・・。
アメリカのレストランにありがちな
うどんのようなパスタだったわ。
もし事前にアンカレッジに行くとわかっていたら・・・
ガイドブックを参考に
美味しいレストランを調べることもできたのに、
暖かいダウンコートも手袋もブーツだって、
万全の防寒服で臨めたのに・・・
悔やまれてならなかった初アンカレッジ。
あぁ、今夜は本当に寒いわね・・・
でも、ほら、見て!
あの灯りの先には
美味しいラーメンが私たちを待ってるのよ~。
さぁ、急ぎましょう!
寒い夜、外を歩いていると思い出す、
あのアンカレッジでの出来事。
スケジュールチェンジが巻き起こした悲劇。
悲劇? ううん、悲劇じゃないわ。
Yちゃ~ん、
きっとYちゃんもそう思っているでしょ?
やっぱり普段の行いが良い私たちに、
神様が貴重な体験をプレゼントしてくれたって!
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今日は土曜日なのに、長女は学校(これはいつものことだけど)次女は幼稚園があって、夫も出掛け、平日のような静かな午前を過ごしています。お昼何食べよう!さっきから頭の中はそればかり。
皆さんも楽しい週末を~!