日本航空の運命やいかに? | 株価が動く! 本日のイチ押し開示情報!

日本航空の運命やいかに?

日本航空と全日空の資金調達が明暗を分けています。


全日空は約1,500億円の公募増資実施を発表、市場からの資金調達で低燃費型航空機への投資を行っていくことを明らかにしました。


一方の日本航空は、日本政策投資銀行やメガバンク3行などから「政府保証」付で1,000億円の協調融資を受けることを発表、こちらは社債や借入金の債務返済に充当される見込で、全日空とは逆の後ろ向きな資金使途のようです。


日本航空を見ていると、一時のゼネラル・モーターズ(GM)と酷似していると思う人も多いのではないでしょうか。


GM倒産の要因は、退職者年金などの過剰なレガシー・コスト、労働組合との対立、旧型設備による低効率生産が挙げられると思いますが、日本航空もまさしく同様の問題を抱えています。


日本航空は、全日空と比較して社歴も長く、20年ほど前までは企業規模に開きがあったため、退職者年金の負担が大きいのは仕方ないかも知れません。


しかし労働組合数は、全日空が2組織に対して日本航空は8組織にものぼり、給与体系にまで踏み込んだ事業再生策が取りにくい構造になっています。


また、燃費効率の悪い大型機から低燃費の中型機への更新も遅れており、最新のボーイング777機が占める比率は、全日空の20%超に対して日本航空は15%ほどに止まっています。


ほんの半年ほど前までは、アメリカの雇用に重大な影響を及ぼすGM倒産はあり得ないとの論調が大半でしたが、結果はそれでも倒産となりました。日本のナショナルフラッグ・キャリアであり、国内線・国際線の過半を占める日本航空が無くなるなど大半の人が想像もしてないでしょうが、財務状況を客観的に見ると、いつGMのようになっても不思議ではありません。


くしくも政権交代が噂される状況で、もしも民主党政権になった場合、再度の政府保証はみとめられるでしょうか? 


日本航空の運命は、もはや市場の手元から政局の渦中に飲み込まれたといっても過言ではないでしょう。