金融サミットで必要なこと | 株価が動く! 本日のイチ押し開示情報!

金融サミットで必要なこと

いよいよ今週末、ワシントンで緊急金融サミットが開催されます。


このサミットは、先月の為替と株価の混乱がきっかけとなって開催が決定されましたが、その間に各国の利下げや財政出動が動きだしており、緊急策を決定する場ではなくなりました。


今回のサミットで重要なのは、今後も予想される経済環境の悪化の際に引き続き協調対策が打ち出せるよう、各国の方向性と足並みを揃えることですが、一筋縄ではいかないようです。


フランスのサルコジ大統領は「アメリカドルはもはや唯一の基軸通貨ではない」と語ったと報道されました。自国のユーロが対ドルで下落を続けることに対する危機感かも知れませんが、IMFの拠出金や中国・日本・産油国の外貨準備の大半がドルで占められる中でドルの価値を貶めるな発言を行うことは、今回の金融問題を揺さぶりこそすれ、安定化の助けには決してならないでしょう。


またアメリカのブッシュ大統領も、国内の演説において「アメリカの不十分な金融規制が危機の主因」との批判に反発したと報道されていますが、今後の金融規制をどうするかについてはオバマ次期大統領と民主党主導の議会がリードすることであり、危機の主犯的立場の国の代表としては、今回のサミットでは大人しく各国の意見の聞き役に回る方がよろしいかと思うのですが。


一方日本は、IMFへ1000億ドル追加拠出することを発表し、これ以上の金融危機を防ぐための対策をリードしようとしています。アイスランドのような経済破綻が今後も予想される中、IMFの存在は破綻処理の枠組みとして依然重要ですが、アメリカ主導で運営されてきたIMFの存在を快く思わない国があることも事実です。


日本のすべき事は、基軸通貨問題やIMFの運営といった時間の掛かる各論を抑えて、金融危機脱却という結果へ到達するための最短距離を走るためにはどうすればよいか、そのための議論をリードし、各国を協調へと導くことです。


国内の政局では混乱気味の麻生首相ですが、小泉政権下の外相時代に北朝鮮核問題に対する国連決議を我が国有利にまとめ上げたように、国際舞台での交渉力には実績があります。


今回のサミットでまずは協調体制を確立し、日本で行われるのではないかと言われる第2回目のサミットで更なる具体策を打ち出せるよう、積極的な行動を期待しています。