コンタクトやぁ~い! その3
洗面台の前で立ちつくしていた私は、とりあえず大きく1歩後ろに下がって、洗面台の下の辺りをコンタクトを見つけるべく這いつくばるようにして探してみた。するとっ!、綿ぼこりが積もっているだけであった。ちゃんと掃除しようと決意した私であった。
なにかの弾みで飛んだとしても、そんなに遠くに飛んでいるはずはない。そもそも、「なにかの弾みで飛んだ」などということはほとんどあり得ないのである。足下には落ちていなかったし、スリッパにくっついているわけでもなかった。
ということは、コンタクトケースの中に沈んでいるはずである。そうだ!そうに違いない。しかし、コンタクトケースの中にもなかった。なんでぇ~っ?
おっと、もう家を出なければいけない時間である。まだこれから着替えもしなければならないのである。
こういう場合にはどうすべきか。取り敢えずすべきことは一つである。鑑識さんが到着するまで現場を保存しておかなければならない。
というわけで、一応、洗面台の水たまりをそのままにして、できるだけ洗面台から離れたところを通ってリビングに戻り、寝間着代わりのトレーニングウエアを脱いでスーツに着替え、また洗面台の横を飛び越えるようにして通り過ぎ、部屋を出た。いつもの電車に乗り遅れてしまって、1本遅い電車で会社へと向かったのであった。
(続く)