診察の後にそのまま案内してもらって、ユウは精神科の閉鎖病棟に入院することになった。
なんていうか未知の世界って感じだった。
言葉だけ聞くと、なんか不安な感じもした。
まず一般と違うのは、面会に来たときに受付で名前を書くこと。
そして病棟に入るためにはインターホンで看護師さんを呼んで自動ドアを開けてもらうところ。
売店は一日のうち夕方の25分間看護師さんが連れて行ってくれるらしい。
でも外に自由に出られないってだけで、その階に自販機もあったしその隣に小さい喫煙所などもあった。
ユウは4人部屋に案内されて、寝ている人もいたため軽く挨拶をすませた。
看護師さんが入院のしおりなる紙を取りに席を外すと、ユウは疲れた顔でベッドに腰掛けた。
綺麗で明るいし休めそう?なんてユウと話していると、ある違和感に気付いた。
『カーテンがないよ。』と言って、ユウと何でだろう?と言っていたと思う。
看護士さんが戻ってきて聞くと、危険なものは排除してあるとのこと。
もう聞いてなるほどだったよ。
その後説明されたけど、もちろん果物ナイフ、缶きり、かみそり、はさみ、ライター、針等は危険物として取り扱うらしい。
ズボンのベルトは持って帰ってくださいと言われた。
コップもプラスチックにしてくださいねと。
入院生活のスケジュールは他にもいろいろあるけど(朝ゴハンはみんなで食堂で食べるとか)、ユウはご飯が食べられないためカロリーメイトのようなものを飲むことになっていた。
戸惑いながらも一通りの説明を受け、その日はとりあえず私は帰宅することにした。
朝から病院をはしごして、すでに夕方になろうとしていてユウもかなり疲れていたしね。
『毎日お見舞いに来る?』と笑って聞くと、『毎日はいいよ。』と苦笑。
ユウは『一人になりたくて入院するのに、疲れるよ。病室もカーテンないし…。』などと言っていた。
でも私は、なるべく毎日来ようって思ってた。
今は本当にいいって思ってるかもしれないけど、いざ来なかったら『やっぱり俺はいらないんだ』なんて思考になったら困るから。
それに投薬治療でどうなってるかも気になるし、ユウが嫌でも私は来るよってこっそり決意した。
そしてとりあえずまた明日~と言って病院をあとにしたのである。
入院初日はこんな感じだったなぁ。
なんかまぁいろいろビックリすることもあったけど。
イチが『今日からパパは病院にお泊りだよ。』って言ったら泣いたことは覚えてる。
入院することは言っておいたんだけどね。
子供は敏感だっていうし、我が家にせまる見えない脅威に気付いていたのかも。
…とまたまた長くなってしまった
さて今日の夕飯は何にしようかなぁ。