神経インパルス | きくな湯田眼科-院長のブログ

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横浜市港北区菊名にある『きくな湯田眼科』

細胞内外で各種のイオン濃度は異なっており、およそ図のようになっています。



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基本的に細胞膜を拡散により通過できるのは、O2、CO2、N2などの疎水性(水との親和性の少ない)小分子、ベンゼン、グリセロール、エタノール、H2Oなど電荷を持たない極性小分子(内部電荷が不均一で、+とーの電気双極子を持つ物質。O-H結合は極性を示す代表でOはマイナス電荷を帯び、Hはプラス電荷を帯びています。反対にC-C結合は極性を示さない代表です。極性を持つ物質は水に溶けやすくなります)、それ以外のものは膜を通過できません。例えば糖は極性分子ですが分子量が大きく膜は通過しません。アミノ酸、ヌクレオチド、核酸などはやはり極性分子ですが、電荷を持つため膜は通過しません。イオンも電荷を持つため細胞膜は通過できません。



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これら膜不通過の物質が生体膜を通過するにはチャンネルやポンプ、あるいは輸送体などの細胞膜小器官を利用する必要があります。イオンはイオンチャンネルを通して拡散によるか(受動的輸送)、イオンポンプによりエネルギーを利用して(能動的輸送)細胞膜を通過します。




静止状態ではKチャンネルのみ開いていてKイオンは細胞膜を透過しています。細胞内Kイオン濃度は細胞外に比べ高く、Kイオンは細胞外に出ようとしますが、外に出ると細胞外のプラスの電荷が増えることになり、Kイオンを細胞内に戻す電気的な力が働きます。こうして濃度と電荷のバランスがとれたところで細胞内外のKイオンは平衡状態に落ち着きます。


こうしてKイオンのみが膜を通過することから、Kイオンが膜内外の電位差を生じさせることになり、およそ細胞内の電荷は-80mV程度の陰性となります。これが静止膜電位と呼ばれるものです。




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何らかの刺激で細胞膜のNaイオンチャンネルが開くと、細胞外で高濃度のNaイオンは濃度勾配に従い細胞内に流入し、細胞内の電荷はプラスに傾きます。これが活動電位です。細胞内に増えたNaイオンはNaポンプによりNaの濃度勾配に逆らって細胞外に出され、再び細胞内電荷は静止電位に戻ります。


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Naチャンネルを開くものが膜電位の変化であった場合(電位依存性Naチャンネル)膜電位の変化は次のNaチャンネルを開く作用を示します。こうなると一気に膜電位の変化は周辺に拡がることになります。この時、一旦開いたNaチャンネルはしばらく感度が鈍くなり、不活性な状態となり、膜電位の伝わり方に方向性が出ることになります。このようにして神経伝達は膜電位の変化として下流に伝わって行きます。



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このようにして神経軸索内を膜電位の変化が伝わって行きますが、この電気信号を神経インパルスと呼びます。神経インパルスが神経末端に伝わると、その電位変化により神経終末にある電位依存性Caチャンネルが開き、Caイオンが細胞内に流入します。



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これがきっかけとなり小胞内に蓄えられた神経伝達物質が神経末端から放出され、情報は次の細胞へと受け継がれていきます。この辺の所は次回にでも記載しましょう。