図は瞳孔の大きさによる虹彩組織の変化を表しています。
散瞳時には散大筋の厚みが増しています。
この時の散大筋の様子を見ると下の図のようになっています。色素上皮と散大筋の背が極めて高くなっていることが分かります。
こうして瞳孔散大筋は交感神経刺激(α1作用)により収縮し、散瞳することになりますが、この時神経・筋接合部ではNA:ノルアドレナリンが伝達物質として働いています。
ノルアドレナリンは神経内でアミノ酸のチロシンから合成されます。
シナプス小胞に蓄えられたNAは神経刺激により放出されますが、放出されたNAはアセチルコリンのように分解酵素による分解を受けることはありません。神経終末のノルアドレナリン輸送体:NATにより神経細胞内に取り込まれることで、接合部から消失します。
この再吸収にかかる速度は、アセチルコリンエステラーゼによるアセチルコリン分解時間に比べかなり遅くなります。そこで交感神経による作用は副交感神経のデジタル的な反応と比べるとアナログ的な反応を示すことになります。
光による瞳孔反応を瞳孔計で見ると、縮瞳時間は短いのに対し、散瞳時間は遅く長いことが分かりますが、まさにこの両者の反応様式の違いが表れているのです。