VEGF | きくな湯田眼科-院長のブログ

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横浜市港北区菊名にある『きくな湯田眼科』

VEGF : Vascular Endothelial Growth Factor (血管内皮増殖因子)は1983年にマウスの腹水から発見されました。最初はVPF : Vascular Permiability Factor (血管透過性因子)と呼ばれていました。その後、血管の増殖や保持に関わっていることが明らかとされ、VEGFと名付けられました。


この因子は体の全ての組織の血管造成に必要な重要な因子です。眼球でも発生初期の網膜・脈絡膜を始め全ての眼組織の血管造成に関わりがあり、その欠損は重大な障害を引き起こします。この因子は組織の低酸素状態で活性され、逆に高酸素状態では抑制されます。これが未熟児網膜症ではその発症の大きな要因となっています。


VEGFは加齢黄斑変性での新生血管造成の主要因子と考えられており、現在様々なVEGF抑制因子が本疾患の治療に用いられています。


VEGFは分子量23kDaのサブユニット2つが結合した2量体型のシグナルタンパクです。その受容体は受容体型チロシンキナーゼで、3タイプの受容体(VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3)があります。


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受容体型チロシンキナーゼの作用機序は図のようになっています。受容体は細胞外・細胞膜・細胞内の3つの要素に分けられますが、膜を貫くのは1本のαヘリックスのみです。このため膜内で移動が容易となっていて、シグナル分子が細胞外の受容体につくと二つの受容体が接合し、お互いに細胞内のチロシン基をリン酸化します(自己リン酸化と呼ばれます)。リン酸化されたチロシンに細胞内のシグナルタンパクが結合し、活性化されます。活性化されたシグナルタンパクは細胞内にシグナルを伝達し、DNA合成などの指令を送ります。


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受容体の結合と自己リン酸化

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シグナルタンパクの活性化
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ヒトの脈絡膜新生血管ではVEGFR-1とVEGFR-2の両方が認められます。このうち主作用を有しているのはVEGFR-2の方と考えられています。


VEGFR-2を介してのVEGFの作用機序は図に示したとおりで、この場合重要なシグナルタンパクはPKC : protein kinase Cです。これが血管透過性を高め、網膜浮腫を導き、またDNA合成により血管新生を引き起こします。



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