※この記事には創作的な内容が含まれています
苦手な方、閲覧したくない方は、バックしていただくことをオススメします。





※作中に出てくる団体、能力、アイテム等はフィクションの物もあります。全てが実在する物というわけではありませんので、閲覧の際にはご了承くださいますようお願いします。


















惑星ナベリウス、、、

ほとんどのアークスが初めて足を踏み入れる、森林や凍土が広がる自然豊かな惑星である。




そんなナベリウスの森林、大木が周りに生えている少し空き開けた林に、とある二人のアークスが何かを行っていた。



「ちゃんと周りを見ろ、そんなんじゃいつまで経っても実戦投入出来ないぞ。」



そう怒号を発している男は、赤いジャッジメントコートを着ていて、白く短い髪で片目を隠している。そして背中には白金の大剣を背負っていて、なぜか葉っぱをくわえている。

腕組みをして切り株に座りながら、もう一人のアークスに説教をしている。


「そんなこと言っても、こんなの避けきれないよー!」


そう文句を垂れ流すもう一人のアークスは女だ。長い金髪で、茶色のハートブレイカーを着ている。

どうやら木にくくりつけた幾数の丸太を無造作に動かし、それを避ける訓練のようだ。


幾つもの丸太が女アークスに目掛けて一斉に襲いかかる。


「ギャアァー!!」



女アークスは必死に避けようとするが上手くいかず、いくつか避けたところで死角から来た丸太に当り、弾き飛ばされてしまった。

その場でうつ伏せになり呻き声をあげている。


「うっ、うっ、、、

もう無理だよ、、、師匠、もう終わりにしよ?」


師匠と呼ばれるジャッジメントコートの男、彼の名はグレイ。
グレイは、表情一つ変えずに容赦のない言葉を浴びせる。


「なに泣き言を言ってやがる。

グレイシー、特訓が辛いのは当たり前だろうが。」


グレイシーと呼ばれたその女は、アークスになって日も浅く、師匠であるグレイに付きっきりで面倒をみてもらっているようだ。


「うう、せめて休憩だけでも、、、」


弱々しい声で訴えかけられ、グレイが頭をガリガリ掻いた後に、ため息混じりで言った。


「ちょっとだけだぞ、休めたらまた再開するからな。」

「やったー!」


グレイシーは休憩という言葉を聞くと途端に元気にはしゃぎ、自らのアイテムパックからいくつかの菓子を取り出した。


「、、、随分用意がいいな、俺が修行で休憩とってくれると思ってたか?」

「ううん!いつも常備してるだけだよ!」

「、、、そうかよ。」



お互いに近くの切り株に座る。グレイは目をつむり静かに、グレイシーは持参した菓子を食べている。

天気は晴れ。
周りの木々が風に揺れる音がざわざわと鳴り、空を見上げると真っ青な空にいくつかの大きな雲が流れている。


「師匠ー。」

グレイシーがもぐもぐと菓子を頬張りながらグレイを話しかける。グレイは目を閉じたまま、顔も向けずに返事をする。

「なんだ。」

「いい天気だねぇ、、、」



「そうだな、誰かさんはピクニック気分みたいだしな。」

「もう、なんでそう嫌味ばっかり言うの!?


「俺はいい天気の修行場所にいるより自室の方が好きだからだ。」

「うわー、出不精!」

「うるせぇ。」


グレイシーは空になった菓子の袋をアイテムパックに片付け、ごろんと切り株に寝転んで空を見上げた。

先程とかわらず、青い空に白い雲が流れている。


「雲っていいなぁ。」

グレイシーがポツリとこぼす。しばらくだんまりが続いたが、グレイが口を開いた。

「なんでだ。」

「だってさー、何もしなくても風に運ばれてどこにでもいけるんだよ?
最高じゃん、、、」


「俺は自分の意思で動けないなんてまっぴらごめんだな、つまらんだろうな。」


グレイシーはムスっとした表情になり、上体を起こして大きな背伸びを一つしてグレイに言う。


「もうー、師匠は夢が無さすぎ!

なんでそんなに、何もかもつまらなさそうに言っちゃうの!?」


グレイは静かに目をつむったまま返事をする。


「夢なんか見たってどうしようもねぇだろう。

目の前のことだけで精一杯だ、目に見えないものなんていくら見ても無駄だ。」


グレイシーはその言葉を聞くと、今度はげんなりとした表情を見せた。

「うわ、根暗発言、、、


師匠はいつも余裕があって、色んなことやってけそうだけどなー。」


「そうでもねぇよ、余裕なフリしてるだけだ。」



「ふぅーん、、、」



グレイシーが呆れたような声でそう言うと、グレイは目を開けて切り株から立ち上がった。


「ほら、休憩終わりだ。さっさと修行始めるぞ。」


「うげ、もう?


、、、あ、そうだ師匠!」


グレイシーはさっきまでとは、うって変わってニコニコとした表情でグレイに話しかけた。


グレイは蔑んだような目でその表情を見たあと、無愛想に返事をする。



「、、、なんだ。」

「師匠が精一杯ってさぁー、見ただけじゃわかんないんだよねぇー、、、」



「だからどうした。」

「それでさぁー、一つ組み手のお相手をしていただけないでしょうか!」



「修行が辛いから模擬戦に変えてくれ、ってハッキリ言え。」

「うぐ、図星、、、」




グレイはニヤリと笑ったあと、背中に背負っていた大剣を地面に降り下ろした。

ドスッ!と重い音をたてて地面をえぐった大剣を、片手で持ち上げて方に担いでグレイシーに言った。



「練習とは言え、楽に済むと思ったら大違いってことを教えてやる。

特別に相手してやる、かかってこい。」

グレイはニヤリとした表情のまま、剣を担いでない方の手でクイクイと挑発した。


「ちょっとは修行したもんね、成果見せてあげる、、、!」


グレイシーは腰に下げていた青い双機銃を構える。


大剣を担いだグレイと、双機銃を構えるグレイシー。両方じっとしたまま動かない。




しばらく見つめあった後、遠くで鳥が鳴いた。





「行きます!」

「来やがれ、、、」



それを合図に、グレイシーがグレイ目掛けて勢いよく走った。模擬戦の開始だ。




(その2へ続く)