浜離宮庭園を窓越しに見下ろすと、思い出すことがある。

立ち位置はここからではなく、モノレールからだ。

その日、商談に出かけて凹まされた。

開発商品は、最初8000点販売、以後随時下降線を辿り、6000点前後で落ち着くだろうという計画でいた。ところが予測に反して、8000点が9000点になり、12000点まで上り詰めた。

計画通りの推移でないこと、工場では２交代制で生産をしていること、工場はその他の業務委託を他社に回すなどの対応をしていることを説明し、発注制限・もしくは一時発売中止の上、再発売体制を整えてから、再発売に挑みたいことをクライアントに説明した。

説明はしたものの一蹴で却下された。

「君の努力がまだまだ足りんね」

「週明けにいい回答を持ってくることを待っているよ」

ただそれだけだった。

帰りのモノレール、「こいつら天災でも起きなきゃ解らんのだろうな…」

その日の午後、東日本大震災に至った。

今ひとつ思い出すのは、聖書の「バベルの塔」の逸話である。

人間が天に達する塔を建てようと試みたとき、神が介入し言語が乱された。

「盛者必衰」

いつか人間は自分の作り上げた文明を制御できずに、きっと自ら破滅に至るかもしれない。

きっとその時まで自分は生きていないだろうが…。

かつて大岡信氏の評論で、西洋文化と和文化の違いについて書いてあった。

西洋の文化は「自然をコントロールし」自然を人間が支配しようとするが、「和」について言えば日本庭園にも見られるが「自然に、その一部として人間が溶け込む」世界観を作ってきたということだ。

地上４６階から見下ろす「浜離宮庭園」は、ちょうどこの相違点を地表に描いている気がした。

浜離宮庭園 #1404