三菱自動車は、本件について、専用の問い合わせ窓口を設けたようです。
公的相談窓口へのリンクも貼られており、消費生活センターや自動車製造物事故相談センターは記載されていますが、弁護士会は記載されていませんね。弁護士に相談されて、損害賠償請求や代金返還請求をされると困るから、当たり前でしょうが。
前回、(1)詐欺、(2)錯誤、(3)消費者契約法違反という3つの構成による対応を書きましたが、これらは、原則として、契約の相手方(自動車の売主)に主張することなので、三菱自動車本体ではなく、各地域にある●●三菱自動車販売株式会社などを相手にすることになります。
(1)の詐欺は、第三者(本件では三菱自動車本体)による詐欺も対象になるのですが、販売店が燃費偽装を全く知らなければ、取消は認められません(民法96条2項)。その意味でも、(2)錯誤、(3)消費者契約法違反の主張の方が認められやすいと思います。
もちろん、直接の売主ではない三菱自動車本体に対しても、不法行為による損害賠償請求は可能なのですが、この損害(燃費偽装により多く支払ったガソリン代、中古車としての販売価格の下落分、その他関連損害)の立証が大変ではあります。
しかし、偽装により被害を被った消費者が費用をかけて立証しなければ賠償が受けられないというのは理不尽です。偽装により販売数を伸ばし、不当な利益を得ていても、その一部を返還すれば足りるのであれば、このような偽装はいつまで経ってもなくならないでしょう。
不正プログラムによって規制値を超えるNOxを排出する車を販売していたフォルクスワーゲンは、米国政府との間で、販売した全車の買取か修理することで和解したと報じられています。米国の購入者は個別に請求しなくても、このような救済が受けられるので、日本でも同様の対策が検討されるべきと思います。