インテル、Ultra-Mobile PC向け新プラットフォームを来週発表?

600MHzまたは800MHzで動作する「Stealey」プロセッサを採用へ

(2007年04月13日)

 米国インテルが中国で来週開催する技術コンファレンスでは、同社の強力なサーバ向けチップに注目が集まると見られているが、IT関連ブログは、同社がUltra-Mobile PC(UMPC)向けの新しいプラットフォームを発表するのではないかという話題で盛り上がっている。

 いくつかのITブログは、4月16日から北京で開催される「Intel Developer Forum(IDF)」で、新しいUMPCプラットフォーム「McCaslin」が発表されるのではないかといううわさで持ちきりだ。McCaslinは、600MHzまたは800MHzで動作する「Stealey」プロセッサを採用し、マイクロソフトのWindows Vistaをサポートするとされている。

 インテル関係者はこの分野に取り組んでいることを認めているが、こうしたブログ記事の詳細を事実とは認めなかった。同社広報担当者のコニー・ブラウン氏は、「われわれは今月、うわさされている製品を発表する予定だが、それまでは憶測やうわさについてコメントしない」と、電子メールで述べた。

 インテル幹部は以前から、UMPCプラットフォームの投入を示唆している。インテルが昨年、サンフランシスコでIDFを開催した際には、マイクロソフトのUMPC向けソフトウェア・プラットフォーム「Origami」の製品化にインテルが協力する可能性があるという報道がメディアをにぎわせた。Origamiはサムスン・エレクトロニクスの「Q1」で市場にデビューした。

 また、インテルのウルトラ・モビリティ・グループのゼネラル・マネジャー、アナンド・チャンドラシーカ氏は今年1月、カリフォルニア州で開催された無線シンポジウムで、インテルは18カ月以内に、タブレット・キオスクが提供する「EO」シリーズなどのデバイスを対象に、無線ネットワークでWebをフルに利用できる、より小型で省電力化されたUMPCプラットフォームをリリースする計画だとコメントした。

 だが、こうした取り組みはインテルの利益に直結しないかもしれない。「ベンダーは、UMPCをバッテリ駆動時間がスマートフォンほど長くなく、搭載プロセッサがノートPCほど高速ではない設計で製品化を進めるなど、きわめてアピールしにくい市場に追いやっている」と、批判派は指摘している。

 すでにインテルは、Pentium Mプロセッサをバルカンの「FlipStart」向けに提供し、この分野での取り組みを試験的に行っている。しかし、FlipStartは、競合するサムスンのQ1、ソニーの「UX」、OQOの「Model 02」と同様に、ニッチなユーザーを獲得するにとどまっている。

 また、インテルは、競合するビア・テクノロジーズのC7-Mチップによって、UMPC向け市場で大きく水を空けられているという問題も抱えている。「インテルはMcCaslinプラットフォームでこの市場に食い込みたいと考えているようだ」とアナリストは指摘する。

 カレント・アナリシスのリサーチ・ディレクター、サミア・バブナニ氏は、どのチップを搭載したとしても、UMPCは、価格が400~600ドルに下がる2010年ごろにまで、多くのユーザーを引きつけることはできないと予測する。

 魅力的な価格を設定できなければ、ほとんどの消費者は、UMPCについて、ポケットに入れるには大きすぎ、タイピングのしやすさや作業生産性が高いといったメリットを得るには小さすぎる中途半端な製品だととらえる可能性があるという。

 バブナニ氏によると、第1世代のUMPCについての評価は、「少し良い」から「少し悪い」までの間に収まっており、「素晴らしい」と評価している人はほとんどいないという。同氏は、インテルがこの新市場への参入に積極的なのは、第2世代のUMPCで成功をねらっているためだと指摘している。

 インテルはノートPC向けのCentrinoプラットフォームなど、モバイル製品向けのハードウェア・バンドルで成功した実績を持つ。また、5月初めに、Centrino(開発コード名:Santa Rosa)をアップグレードした「Centrino Pro」を提供することで、無線ネットワーク機能の強化とバッテリ駆動時間の延長を図る予定だ。

 また、同社は4月5日に、Core 2 Duoプロセッサの省電力版「U7600」と「U7500」を発表している。これらは小型のミニノートPC、サブノートPC、タブレットPC向けに設計されている。ゲートウェイはこれらのチップをウルトラ・ポータブルPC「E-100M」に搭載している。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)




ここのところ精彩を欠く感じのあるインテルだが、再び活気を取り戻そうなニュースだ。

サムソンのQ1、台湾VIAテクノロジーとの競争でマーケットが盛り上がれば、UMPCも注目を浴び、モバイルコンピューティング&コミュニケーション市場も立ち上がり、広い意味で vs スマートフォン、vs 多機能ケータイと相互に競争し、それぞれの棲み分けが出来てくるのだろう。