Googleの決済サービス「GBuy」、今週にもテスト
早ければ今週にも、Googleのオンライン決済サービス「GBuy」のテスト版が立ち上げられる。
2006年06月27日 15時50分 更新

(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 何年もの間、限られたオンラインショッピングの選択肢の中で、消費者はWeb小売業者に自分のクレジットカード情報を教えることを嫌がっていた。だが今週からは、別の電子決済の選択肢――それも利用者を取り込むためにメールインリベートを提供する――を利用できる。

 Web検索大手Googleは早ければ今週、オンライン決済サービス「GBuy」のテスト版をリリースすると、この計画についてブリーフィングを受けた人々は伝えている。eBayのPayPalなどのサービスと競合するGBuyは、数カ月前から登場が期待されていた。消費者を引きつけるために、GoogleはGBuyを使って決済した利用者に、金額は不明だがリベートを提供する計画だとブリーフィングを受けたある人物は語る。

 GBuyは次のような仕組みで機能する。消費者がGoogleで「靴」「乳母車」などの商品を検索するとテキスト広告が表示され、GBuy決済に対応した広告主には記号がつけられる。これまでは、通常はテキスト広告をクリックしても業者のサイトにリンクするだった。だが今後は業者のサイトにリンクするほか、GBuy対応業者の場合、消費者はGoogleと統合された決済プロセスを利用できる。GBuyの正式発表までに、詳細は変わる可能性がある。

 間もなくのGBuy登場は、オンライン決済市場の再編の前触れだ。これまで消費者にはPayPalなどの選択肢しかなかった。PayPalでは、料金を受け取る業者や個人に口座情報を教えることなく、クレジットカードや口座振替での支払いができる。また消費者はオンライン小切手や「Bill Me Later」などのオンラインクレジットを利用することもできた。Bill Me Laterでは、クレジットカード番号を明かさずに、身元情報とクレジット情報を照合できるだけの個人情報を渡すことで決済ができる。

 米メリーランド州ダマスカスに住むクリス・マリオ氏は、Googleの技術が好きなので「100%Googleの決済を利用する」と話す。同氏は今はPayPalを使っているが、一部のオンラインショッピングでは独立したサードパーティーのサービスを使う方がいいと話す。PayPalはオークションなどの電子商取引を扱うeBayの一部門だ。

 PayPalは1億人を超えるユーザーを抱えているが、伸びはピークに達しており、今はeBayでの購入に関連する決済事業から市場を拡大しようとしている。PayPalの広報担当者は、競合サービスにはコメントしないと語り、同社は厳しい競争の中で成功してきたと主張した。

 Googleの新たな決済サービスは、同社が中核の検索技術市場の外でも大きな成功を収められるかを試すものでもある。

 Googleの広報担当者は、課金・決済は以前から同社のサービスの一部であり、複数の製品で利用できるとしている。

 GoogleはGBuyを使った取引1件ごとに、30セントと売り上げの2.2%の手数料を業者に課す計画だとブリーフィングを受けた人々は語る。これはPayPalが公表している最低価格(1件ごとに30セントと売り上げの1.9%)よりも高い。

 Googleの料金には、AdWords広告プログラムに参加している業者向けの割引が含まれていないと情報筋は語る。Googleの広告プログラムに金を払っている業者は、Google経由の決済のコストをゼロにまで下げられるという。

2006年のオンライン決済市場のシェア
クレジットカード 55.8%
署名デビットカード 30.1%
PayPal 11.3%
その他 2.8%
(資料:Ceient)

[The Wall Street Journal]