税務上の必要性からの鑑定評価(1) | 雑食不動産鑑定士のアドリブログ

税務上の必要性からの鑑定評価(1)

最近実際に仕事をした不動産鑑定のことを守秘義務に反しない程度にご披露して、皆様に不動産鑑定のことをより知っていただきたいと思います。

首都圏郊外の市街化調整区域の土地の所有者を税務上等の必要性からその法人から会社の役員に名義変更する場合の時価認定のために鑑定評価書により時価を証明するための不動産鑑定をしました。

時価より安いと寄付と取られて課税されてしまいます。

時価の算定は路線価のある地域ならば0.8で割り戻すなどのやり方はあるかと思いますが、本当の時価がこれより安い高いで影響があるようでしたら、鑑定評価を取った方が良いでしょう。

又、路線価の無い市街化調整区域であれば、鑑定評価で時価を証明した方が無難であります。


余談はこれくらいにして、市街化調整区域の場合は

都市計画法施行時に市街化区域と市街化調整区域と未線引き区域に区域区分された当時に
家が建っていたかどうかで、その後の扱いがまるで違うことがあります。

つまり、昭和43年6月15日の都市計画法施行時に家が建っていたことが証明できれば、
既存宅地といって、権利は保全されます。

対象不動産の場合は、登記簿謄本においてはその当時畑の地目であり、その当時の過去の住宅地図を入手して
調査しましたが、空き地の表示であり、家が建っていたことは証明できません。

逆に両隣の土地は登記簿謄本上、その当時家が建っていたことを証明する宅地という地目であり、過去の住宅地図上でも家が建っていました。

従って、対象不動産は既存宅地ではありません。

それでは、今後家が建てられるかというと、県の開発審査会の許可により家が建てられるのですが、
その許可基準があまり場当たり的な裁量によることを防ぐために包括基準とか提案基準というものが列挙されているのですが、詳細は割愛しますが、あてはまるようなものはありません。

県の方針により市街化調整区域の開発については比較的緩いところと厳しいところがあるのですが、
これは私の所感だけですが、市街化の進んだ行政ほど、この許可については厳しい感じです。

又、農業林業漁業従事者の住宅は建てても良いことになっていますが、もともとそちらにお住まいの方は、もともとご自分の土地をお持ちであって、わざわざ他の土地を買って家を建てることは合理的には考えづらいのでこれも無しです。

そうすると家を建てられないので、駐車場とか資材置き場とかの使用が最有効使用となります。
取引事例も市街化調整区域の事例を収集し、収益についても資材置き場や駐車場での賃貸事例を収集し
収益価格を試算して鑑定評価額を決定することとなります。

更地の収益価格を算定するうえでは最有効使用の建物を想定しての試算となるのですが、
コンプライアンス上、建物を想定することは適当では無く、資材置き場としての純収益を査定しての収益価格としました。

 又、周辺の駐車場や資材置き場としての需要は、地域における産業状況特に建設業系のなかでも足場等を置いておく必要のある鳶の仕事の稼働状況によるところが大きく、全体的な建設投資の減少の中、その需要は減少しつつある点を賃貸料や空室稼働率及び還元利回りにおけるリスク及び資材置き場用地としての取引価格の状況などで勘案するという視点を貫いています。

 このように一般的な事柄の要因、地域に特有の要因、個別の不動産に特有な要因と実際に採用した手法である取引事例比較法及び収益還元法に縦糸横糸のように有機的に影響し、最終的に鑑定評価額が求められる訳です。

 気が向いたら又書くかもしれませんが、今日はこの辺で、