平成28年9月、日ハムは見事に大逆転優勝しました。

 

 道新に「11.5差誰もあきらめなかった・大逆転V日ハムの強さは」(2016.9.30)という特集記事でちょっとだけコメントを載せていただきました。

 

 そこに書ききれなかった、野球と事業再生・中小企業経営に共通するものについて書いてみます。(オチ付)

 

  • 大事なメンタル

 事業再生する企業に共通することは、「おカネと元気がない」こと。業績不振が続いているわけだからおカネがないのはその通り。怖いのは「おカネがないのが当たり前」になること。

 

 スポーツでいうと負けるのが当たり前、勝てなくて当たり前という感覚が根付いてしまうこと。

 

  • あきらめない心、執着する心、メンタルを保つこと

 百花繚乱の事業再生関連本の中に実は共通するものがある。「あきらめるな」、ということである。しかし、現場でこれができるかというと非常に難しい。

 

 ビジネスコーチングの進歩により、経営においてどうやってメンタルを保つか、研究が進んでいる。体を動かすことで習慣を定着させること。掃除を励行したり、ランニングをすることなどがこれに当たる。

 

 野球でもいろいろな選手が本に書いている。イチローをはじめ共通しているように見えるのは、「道具を大切に」「同じ動作を繰り返してメンタルをリセット」。動作には礼儀をまもることも含まれる。

 

  • 個人の力は一朝一夕には上がらない

 日ハムの場合、人材育成には定評がある。合理的な育成方法を確立している。もっとも育成は各球団、必死でやっている。シーズン中に選手の力が急に二倍、三倍になることはない。さすがの大谷君も球速200キロを投げられるかというとそうではない。今いる選手を正しく使い、選手の能力を引き出すことでこの逆転がなしとげられたのではないか。戦術の勝利、と感じる。

 

 事業再生なら、「今いる人、今ある設備、今ある経験でできることは?」

 

 野球で面白いのは、同じ能力の選手、監督がいて、常に同じ結果を出せるか?というとそうではないこと。来年も同じやり方で優勝できるか?というとそうではない。外的には今年の日ハムの戦い方はすぐ研究される。相手チームもプロ。日ハムの攻撃を分断し、ピッチャーの配球を読むことに血道をあげるはず。内的にはマンネリによる意識の低下リスクがある。選手自身、監督自身が「同じようにやっているのに…」という落とし穴にはまる可能性がある。

 

  • 成功のための「定番」

 南アフリカを破ったラグビー日本代表、箱根駅伝を連覇した青山学院など強くなったチームには共通点がある。明確な目標と練習。何をするために何をしていくのか、がクリア。そこに名指揮官のリーダーシップと励まし、しかりつけがミックスされたときに選手の力は最大限に引き出される。繰り返すが明確な目標と練習、いい指揮官がいれば「絶対」勝てるというわけではないが…

 

 再生やビジネスの現場を見るとそのような訓練を受けた社長はほとんどいない。つまり、一口で言うと社長は攻め(事業拡大)には強いが守り(立て直し)に弱い傾向がある。

 

 ビジネスの立て直しでいうと「ミッションの明確化」(何をすればこの会社ウレシイのか)「そのために何をしていくか」を共有できないと組織の強みが出てこない。

 

  • 北海道経済

 このブログでも過去書いたが、北海道は人口がデンマーク並み、GDPはポルトガル並み。サッカーでドサンコチームが日本代表に勝ってもおかしくない。ずっと言われていることだがポテンシャルはある。

 

 追い風になっているのは日本の人口減だと思う。高度成長期以降、道内の人は札幌が最高で札幌にはかなわない、北海道からみると、常に東京が最高で東京にかなわない、という権威のピラミッドのようなものが出来上がっていた。

 

 しかし、そのヒエラルキーは崩れだしている。広島現象など地方で独自色を出していく地域がどんどんあらわれてきている。

 

 最大の要因は人口だと思う。東京に人が集まる。その土台があるから高い山(権威の山)が東京にできた。企業も大学も。今、人の集まり方が鈍化しやがて地方からの若者の供給は途絶える。山の高さは低くならざるを得ない。

 

 もう一つの要因は情報(ノウハウ)の普及。いろいろな専門サービスが安く早く受けられるようになってきている。北海道で成功する、というよりダイレクトに日本で成功する、海外を目指す、というようにやり方や価値観が多様化している。

 

 高度成長期は日本の中で東京に高い山が一つあったようなイメージ。今は中くらいの山、低い山だがユニークな山が日本中に林立しているイメージ。

 

 周囲から成功、と言ってもらえるためには一定のレベル、ハードルがある。だが、手が届きやすくなっているように感じる。努力と才覚次第だと思う。

 

  • あきらめない! …中田選手の本音は(オチ)

 中田選手が今季を振り返った、インタビュー記事が出ていました。

 

 スポーツ報知、記事のページはこちら

 

 「二軍に行かせてくれといつ言おうかと思っていた」と述べ、

 

 「だって11・5ゲーム差あっただろ? 「あきらめてませんでした」というのはきれい事。「普通に無理」と思っていた。周りも口にしないだけで、そう思っていたと思うよ。」

 

 はらほらひれはれ。

 

 

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