衝撃の一書。



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 金融庁が地域金融機関に求めるものは大きく変わっています。

 それを森長官をはじめとする人、金融機関の行動様式(金融検査マニュアルと保証協会付融資に縛られる、思考停止、プロパー貸の起案をする力もない)、金融庁自体の問題(金融検査マニュアルに基づく精密な検査を繰り返してしまったこと)に分解して浮き彫りにしていきます。

金融庁の政策の変化については筆者の別ブログでも何度か触れてきました。

金融庁「モニタリングレポート」と金融機関の余命」2015.10.30

マイナス金利と赤字会社への融資・金融庁のもとめるもの」 2016.2.19

 その背景にあるものを理路整然、これでもか、と書き連ねていきます。

 地域金融機関のモデルとして北海道から稚内信金が紹介されています。金融機関自らではなく、稚内という地域を徹底的に優先して手を売ってきた稚内信金。浅学にしてこの事情は私は知りませんでした。

 この本の中で、「近年、地方金融機関そのもの、そして銀行員は大きく毀損している」というくだりがありますが同感です。

 お客様と金融機関を訪問する時、

 「御社、決算期はいつでした?」

 「転勤してきてまだ半年なんで資料読んでないんですけど業種は?」

 など耳を疑うような発言が何度もありました。

 「あなたたちは一応サービス業に分類される産業で働いていて、しかもこの会社におカネをかしているんですよね??」と聞きたくなるような対応は何度も目にしました。

 銀行員といえば言うことも計算も間違えない、という定評がありましたが、今は違います。

 

 「ちゃんとした利息額は明日にならないとわかりません」(機械計算しないとわかりません、手計算できません)

 

 なんて平気で言います。

 

 ほかの業種でいえば、商品を納品して、「お値段、明日にならないとわからないんですよ!」と言うのと大差ありません。

 

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