予防医学の軽視
現在、病院や診療所で行われている医療は、西洋医学です。
西洋医学は治療が主体で、病気の予防には目が向けられていません。
治療内容も一部療法を除いて、ほとんどが症状を緩和する対症療法で、原因を解決する治療法ではありません。
がんや膠原病などの難病は、かかってから治療しても完治するものではありません。
これらの病気に対して使われる薬剤は副作用の強いものが多く、薬剤に頼る治療法は好ましくはありません。
病気になって治療するより、病気を予防する事を優先すべきではないでしょうか。
「治療より予防を」は当たり前のことなのに、多く医療関係者が忘れてしまっているか、関心がないのかわからないのが今の日本の医療現状でしょう。
そして予防に力を注げない事の理由の一つには、現在の日本の医療体制では、病気の予防がお金にならないからです。
予防医学の研究には、病院でも大学の研究室でも予算がつかず、結果として、予防分野では働く場所がありません。
そのため予防医学の研究は遅れているのです。
もう一つは大学の医学の講義に予防医学がない事です。
このことも、予防学の研究が遅れている、大きな原因になっています。
予防重視で国家負担も低減
いま、日本は別の観点からも予防学は重要になってきています。
日本は世界有数の借金大国になり、国家財政が窮乏している事はご存知の通りで、その中で医療費は年々増加しの一途をたどり、日本の医療保険制度はすでに財源が底をつき破綻状態です。
20年後には団塊世代が老人になります。その医療費を誰が払うのでしょう。
将来少子化が進むと、働く人の払う保険料は大変な額になります。
今こそ総医療費を大幅に減らす努力をすべきです。
個人にのしかかる無駄な医療費を減らすための方法は二つあります。
一つは、病気の予防をすること。もう一つは、必要ない医療を減らすこと。
しかし、医療を行う側、つまり病院や製薬会社などには、医療費を減らそうという意思はほとんどないでしょう。
ならば削減を可能に出来るのは、国と医療を受ける国民です。
すでに厚生労働省は、医療費自己負担率の引き上げを、段階的に実施しています。
例えば、健康保険本人の外来医療費の負担率を20%から30%へ、老人医療費の自己負担率増加、慢性入院患者の自己負担増加などを決定しています。
そのうち、外来の医療費については、30%から50%へ、もしかすると70%へと、加速的に自己負担率が引き上げられる可能性があります。
このままでは、お金がないと病院にかかれない時代が来るのは、避けられそうにない状況といえるでしょう。
これからは自分の健康は自分で守る時代になってきています。
そして、家で世話をすることができない老人や病人を、安く病院や施設に預けておける時代は終わります。
アメリカなどは、医療は自己負担のため、高額な医療費がかかります。
そして医療費が払えず自己破産する人たちが数多くいるのも事実です。
日本もそうした方向に進んでいるし、避けては通れない事でしょう
代替医療と共存の時代に
がんやアレルギー性疾患、膠原病、その他難病を減らすには、代替医療に取り組まなければ、解決しないでしょう。
これからの時代、徹底的に予防し病気にならないようにする。
そして万が一現代医学で解決できない病気は、代替医療を積極的に利用してゆく事が、日本国民にとって重要になってくるでしょう。
医師や薬剤師にも、代替医療の知識が必要となってくるでしょう。
そうした流れができてくることが、国民一人一人に為にも、国全体にとっても有益であり、必要不可欠なことなのです。
そして結果として、必要ない医師や薬剤師、製薬会社、医療機器メーカーなどは、淘汰されてゆくでしょう。
代替医療
欧米の医学界が注目
近代西洋医学では限界があるため、昨今のアメリカなどは医師が治療に際して、患者の意志に添えるよう選択させる事が行われています。
「西洋医学(薬)で治療しますか」
「漢方(東洋医学)で治療しますか」
「両方を併用しますか」
このような問いかけが医師から患者に伝えられ、患者自身が選択しますが、選択に際してはさまざまなアドバイスが行われるし、患者が納得しなければ、セカンドオピニオンをも薦めます。
こうした流れは、近代西洋医学では限界があることに気付き、この西洋医学に変わるものとして、欧米では15年前から代替医療(代替療法)の研究が進んできました。
代替医療は補完医療とも呼ばれ、インドや中国など世界各国の伝統的医療が中心となっています。
この代替医療は、天然の栄養素を用いる栄養療法、薬用植物を用いるハーブ療法、食事療法をはじめとして、アロマセラピー、整体、指圧、温泉療法などと幅広い療法を包括しているという特徴があります。
代替医療の特徴
① 病気の予防と治療の両方をカバーする
② 西洋医学による治療よりも、副作用が少ない
③ 西洋医学による治療よりも、優れた効果を生み出すことも少なくない
などです。
このため、西洋医学の欠点を補い、西洋医学を超える可能性を持つものとして、注目されているのです。
代替医療で用いられる主な療法
● 植物・土壌・動物が持つ天然の栄養素を用いる栄養補助療法
● 薬用植物を用いるハーブ療法
● 食事療法
● アロマセラピー
● 整体・指圧
● 鍼灸
● 足裏マッサージをおこなうリフレクソロージ
● 呼吸法
● 気功・太極拳
● ヨガ
● 温泉療法
● 心理療法
● 睡眠療法
● 音楽療法
● ハンドセラピー※
※てかざし・手当て・ハンドパワーなどともよばれています。
手から出る波動または極微細粒子のエネルギーを用いた療法
日本でも始まった研究
日本でも9年前の1998年に代替医療学会が発足し、一部の大学や研究機関でこの分野の研究が少しずつ始まったところです。
この研究は西洋医学を否定するのではなく、西洋医学と代替医療それぞれの長所を組み合わせた医療を「統合医療」と名づけ、世界中で統合医療の研究のための組織作りが始まりました。
これからの目指すべき方向は、統合医療が正しい方向といえるのではないでしょうか。
目を見張る各国の伝統医学
インド古来の伝統医学である「アーユルヴェーダ」や中国の伝統医学である中医学では、食養生、薬草、またヨーガや気功による呼吸法、精神のリラクセーション(緊張緩和)、鍼灸、指圧などいろいろな手段で、まず病気にかからない健康な心身を維持することが、最も重要な事とされています。
病気にかかった場合でも、西洋医学のように部分的な分析で薬に頼ることなく、人体を包括的、全体的に掌握し、これらのさまざまな方法を用いて元の健康状態に戻そうとします。
すなわち、人体の神経系、免疫系、内分泌、つまりホルモン系の三大ネットワークを総体的に理解していくのがインドや中国の伝統医学(東洋医学)の基本です。
近年、西洋医学の行き詰まりに気付いた欧米の医師たちが、この東洋の体系的な医学の素晴らしさを認識し、代替医療の中心として取り入れるようになりました。
薬草・薬用ハーブなど薬用植物の研究に関してはドイツが最も進んでいます。
ドイツでは30年以上も前から、さまざまな病気の治療に薬草が使用されています。
脳梗塞や認知症などの脳循環不全には、中国で古くから使われているイチョウの葉のエキスが他の化学薬品以上に有効である事が確認され、多くの患者に処方され使われています。
感冒の治療には北米の「エキナセア」というキク科の薬草が使用され、効果があります。
不眠にはカノコソウ(ヴァレリアン)、頭痛にはペパーミント・オイル、うつ状態にオトギリソウ(セントジョンズワート)、肝障害にオオアザミ(ミルクシスル)など
多くの薬草が臨床使用されて、その効果も満足のいくものであることが証明されています。
こうした東洋医学が見直される中で残念なのは、日本の伝統医学です。
日本の医学は江戸時代までは漢方が中心でした。
医師は中国渡来の薬草や、日本の山野に生息する薬草・野草を調合し、薬として患者に投与していたのです。
しかし、残念な事に、明治維新を境に、日本古来の伝統的医学は姿を消し、今では民間伝承的な知識が、口伝えで受け継がれているに過ぎません。
高血圧や化膿には、ドクダミ
下痢には、ゲンノショウコウ
腹痛や風邪に、ヨモギ
肝障害に、タンポポやアザミ
などが長い間、日本人に親しまれてきていたのです。
病院で使えない薬事法の壁
現在日本では、一部の漢方薬を除いては、欧米のように薬草成分や栄養成分で作られた製品が、病院や診療所では処方されません。
薬事法という法律で、医薬品として認められないからです。
医学部の学生が受ける講義でも、薬草学や栄養学はありません。
医学生はそうした知識を持たず医師になります。
そのため製薬会社で作られる化学薬品以外の知識がなく、化学薬品が体を治すと信じているのです。
多くの人から「そんなにいいものなら、どうして医師が使わないのですか?」
と問いかけられる事がありますが、答えは「日本が遅れているのです」
代替医療の未来は
いずれにせよ、当分の間は、薬草や栄養成分に関しては、栄養補助食品である「サプリメント」として、街の販売店や通信販売で入手する以外には方法はないでしょう。
私も栄養素や薬草が、人体の不調(病気)の原因を解決するという不思議な力を多くの人たちの実例で経験してきました。
サプリメントを上手に使えば、予防もある程度は可能だと考えていますし、不調の改善も可能であると思っています。
私の経験としても、父親が75歳のときに進行性がんになったのですが抗がん剤は使わず体内改善のための栄養補助療法を行い、7年元気に生きてくれました。
最後の4ヶ月は老衰状態でしたが、がんの痛み苦しみも出ずに笑顔で別れができました。
世界の先進各国には、西洋医学では治療が見込めない進行がん患者のための代替医療施設があり良好な治療成績を上げているといわれています。
治療内容は、今までに述べてきたような方法ですが一覧します。
食事療法
栄養素と薬草
気功や太極拳
瞑想
心理療法
温泉療法
運動療法
音楽療法
などです。
余命が短いと言われた場合でも、かなり長く延命する例が少なくありません。
副作用の強い抗がん剤や放射線で、残り少ない大切な時間を無駄にするような治療よりは、はるかに優れていると思います。
日本では、医師が医療保険で認められていない診療手段をとることには制約が多く、代替医療の施設を造るのは困難な事と思われます。
しかし、一日でも早く、心ある有志たちが集まり、代替医療を行う施設を実現させる日が来ることを願います。
私は、これまで再三に渡って、慢性頭痛は東洋医学でいう”未病”の観点から捉えられるべきであり、片頭痛がこの慢性頭痛のなかで、どのような位置を占めているかについて述べ、私達が日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から適切に対処することによって片頭痛まで移行させないようにすること、すなわち、片頭痛は予防していくべきであり、このことによって高価なトリプタン製剤を一生服用しないように努めることによって、無駄な医療費を減らすべきであると述べてきました。
また、アルツハイマー型認知症も同様に、日頃から、「健康的な生活」を送ることによって予防すべきであると述べてきました。
このようにして、医療費の削減を行っていく必要があります。
こういったことから、これまで以下のようなものを提示してきました。
「健康読本」 健康的な生活を送るために
http://taku1902.jp/sub542.pdf
「慢性頭痛治療のガイドライン」
前編・慢性頭痛の基礎
http://taku1902.jp/sub543.pdf
後編・片頭痛治療のてびき
http://taku1902.jp/sub544.pdf
生活習慣改善のポイント
http://taku1902.jp/sub545.pdf
「物忘れが気になる人に」・・改訂版
http://taku1902.jp/sub547.pdf